工場の終わり


おれたちはガムを作っていた

そして豚肉の味がするガムを開発した

おれたちの工場は深刻な経営不振となった

再起不能だった

「嫌な予感がしたんだ………」

おれはそう口にした

何故やる前にそう言わなかったんだと社員から糾弾された

「どうかしていた」

今となってはあの狂乱の異常性がよくわかる

だがその渦中にいる時、何一つ気付けなかった

ブタニクガム

それに全てを賭けた

工場の所有権も抵当に入れた

まるで洗脳されているかのようだった

頭の中でハッピー大佐が手を振っていた

これが一息ついたら社員一同グアムにでも行くつもりだった

「ブタニクグミも作らなくっちゃなっ」

早くも姉妹品の作成に乗りかかろうとしていた

頭が完全にいかれていた

輸出先の国のことにまで考えを巡らせていた

今は名ばかりの会長職に就いているおれの祖父が眉間に皺を寄せながら助言をしてきた

「よく聞け、まずは特許だぞ」

完全にとち狂っていた

そして社員のいなくなった工場の一角に山積みされたブタニクガムが取り残された

一つ取り出して包装紙を破き口の中に放り込んでみた

白米が欲しくなった


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