未来が見える男

るろのべ

第1話

予知夢


ガガガガガガガガ…

ブォーン、ブォーン。

何体もの戦車で街中の車線を埋めつくしていた。映画でしか見た事のない戦慄の風景がそこにはあった。

走るルト

ルト「はぁはぁはぁ、マジかよ!」



ホントに戦争なのか、、


見上げた空には、爆撃機が今まさに空爆をする最中をひたすら走っていた。街中は混乱し皆恐怖に満ちていた。


勉強が出来てスポーツ万能。一部の女の子から人気はあるが反面、あまり女子に興味を見せない一面から変わり者と囁かれる事も。

ある日予知夢を見ている事に気付き、自分の能力を気にするようになる。現実味を帯びた嫌な夢を何度か見ていたルト、

ルト「ん、ん…あっ !夢か…何だったんだろ。」


ルトは目が覚め起きると眩いばかりの光の朝を迎えさっきまでの悪夢を現実と区別がつかない程リアルに感じていた。そんないつもの朝何かの違和感を覚えていた。


建築会社で勤務するルトは車を走らせ、緑生区の現場へと向かった。今日はシステムキッチンの据付。搬入が終わり設備業者が据付工事をしていた。ようやく仕上げ工事になり少し落ち着いていた。

業者「神家さん、そういえばここのお嬢さん時間になったらちゃーんとお茶出してくれて、しっかりしてますよね。結構可愛いーし」


設備業者は1人で来ていて退屈しのぎに話しかけてくる。作業は慣れているせいかテキパキとこなす。

ルト「そうなんですね…」


正直気になっていたルトは、照れ隠しかそつない返事でかわした。


この現場が始まり3回目くらいに大学生の娘さんとは会っていて、おとなしそうで可愛いらしい子だなぁとは思っていたけど大学生ってだけで自分とは別の世界の人に思っていたからだ。

業者「彼氏とかいるんかなぁ?聞いて見て下さいよ」

ルト「えっ、無理ですよ…そんな事聞けないですって」

昔から自分から行くほうではなく女の子から声をかけられる方だったのもありクールな感じに見られていた。飲み会で男子がガツガツ行って引いてる女子を見て以来は、そうゆうのに嫌悪感を持っていた。

業者「モテそうなのにもったいないなぁ」

ルト「そんな事もないですって…」

ガチャッ、

佳奈「お世話になります、良かったらどうぞ!」

大学生の佳奈が休憩にお茶を持って入ってきた。まだ幼い顔立ちで恥ずかしそうに入ってきた佳奈は、業者の言うように可愛いらしい娘で時間になったらお茶を出しては片付けていた。丁度、夏休みともあって1日家にいる事もあったからだ。

業者「あざーす。学生さんですよね、しっかりしてますね!」

佳奈「いえ、丁度夏休みで今日はお留守番なので…」

佳奈は1人っ子で幼少期からおばあちゃんに見てもらう事が多くて、優しい子でしっかりした子に育った事もあり親しみやすい性格だった。

佳奈「それじゃあ私は出掛けますので」

そう言うとそそくさと家を出ていった。


(キーーーン…急に頭痛が。。夢の断片から記憶が蘇る。確か、、、この近くの交差点で事故が。。何だっけ?…あっ、確か女の子がトラックに引かれるんだった!)

業者「神家さん大丈夫っすか?」


すぐに大学生の佳奈だと思い返し慌てて外に飛びだすルト。

業者「どうしたんすかっ?」


業者がびっくりして問いかけるも、ルトは外に出ると1つしかない交差点に向かって急いだ。

コンビニがある100m先の交差点で信号待ちをしてる女の子に居眠りのトラックが突っ込んで大事故になる光景を鮮明に思い出していた。

(間に合ってくれ…)

信号待ちしている彼女が見えた。

ルト「すみませーん!!!」


大声で呼びかけるルト。


彼女が振り返り不思議そうに見ている。

ルト「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」


ルトが追いつき近くへ寄る。

ルト「良かった…」

佳奈「どうしたんですか?」

ルトはキョロキョロしながら

ルト「あっ、えっと。。。何だったかな…

あの…次の現場に行くんで出ますね」

佳奈「は、はい。ご苦労様です」

交通量も少なくトラックも走ってなかったし

ただの思い過ごしにそんな筈もないと安心しその場を後にした。

家に帰るルト。週明けの始まりともあって疲れたルトは、深い眠りについていた。

コンビニのある交差点で信号待ちをしている彼女の姿があった。

はっ、あの光景。。昼間のつづき…居眠り運転のトラックが近づく。叫ぶルト。

ルト「危なーーい!!」


ガシャーーン!

一瞬の出来事だった。。

交差点から外れたトラックが突っ込み、家屋に大穴を開け煙をもくもくと上げ彼女の姿が見えなかった。ガソリンが焦げ付いた嫌な匂いが辺りを包む。

通行人の1人が叫んだ「キャーーー!!!」

その場が凍りつくほどの光景に周囲が騒然となり一度言葉が出なかった…

ルト「はあ、はあ、はあっ、そんな…間に合わなかった」

ルトは膝から崩れ落ち、愕然とした。

昨日の事を後悔した。。彼女に伝えておくべきだったと…


うす暗い闇の中から聞こえる。

ピロロ、ピロロ、ピロロ、

ピロロ、ピロロ、ピロロ携帯電話の目覚ましが鳴る。

はぁっ!目を覚ますルト…

又あの夢か、、

ルトはホッとした。同時にバカげてるとは言え伝えておこうと決心をした。

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