食性、及び感染力など
続いては、ゾンビの食性について。
創作物等において、ゾンビは人肉を食べる。(変化球的に脳を食べる奴もいたりする)
618事件におけるゾンビの食性も、これと同じと考えてよいと思う。
作者は、活動停止したゾンビを百体近く検める機会があったのだが、腐敗等で崩れ落ちなかった歯型が確認できた傷は、主に『二の腕』と『太腿』にあった。
まあ、これは動物の本能として柔らかい部分に齧りついている、というのと六月の暑さの所為であろう。(つまり暑かったから、露出している部分がそこだったわけだ)
ちなみに、腕や足に次いで多かったのは、『鼻』と『唇』だった。これは、転倒した際に噛みつかれたのではないかと考える。
しかし、創作物でお約束の、腹部への攻撃を、私は確認できなかった。
これは暑いとはいえ、六月では、へそ出しまでしている人が少なかった。もしくは、腹に噛みついたが、分厚い脂肪に阻まれて、内臓まで辿りつけなかった――かどうかは、全く判らない。
『熟成ゾンビ』達の腹は一様に、内臓ごと消失していたからだ。
これは前述にある、『腐敗』の影響で、『ガス爆発』が起きたのではないか、と作者は推察する。
通常、人間が生命活動を停止すると、数時間で腸内に腐敗ガスが発生し出す。これが遺体を著しく変形させる要因になるのだが、(これがゾンビの容貌を凄惨な物に変える一因だったに違いない)、限界まで充満したガスは、鯨の死骸が爆発するように、ゾンビの腹も爆発させたのではないかと考えるのである。
とすると――ゾンビは内臓等が無くても人に襲いかかる、ということになってしまう。
つまりは『食べている』わけではない、のではないか?
そう考えて動画サイトなどを漁っていくと、ある共通点に気づく。
ゾンビは人に群れるが、すぐに離れてしまうのだ。
誰か、『ゾンビに食い散らかされた死体』もしくは、『喰い散らかされた状態のゾンビ』を見たことがあるだろうか?
じゃあ――何故人を襲うのだろうか?
ここで連想されるのが、寄生虫の類だ。
虫や魚に寄生し、体を操って死に至らしめ、繁殖していく寄生虫の記事を、読者諸君も読んだことがあるだろう。ゾンビに寄生虫と来れば、ゲーム等で有名なのだが、各国政府、及び公式はそれについて一切触れていない。
この事についても、作者は掘り下げていく勇気が無いので、ここまでとするが、個人的には『細菌感染』よりも説得力があると考えている。
また、見落とされがちであるが、ゾンビは死後硬直を起さない、という点も、この寄生虫が深く関わっている為ではないかと、考えている。
寄生虫の一部は『健康に良い』物もいるという。つまりは、宿主を、『少なくとも自分の子孫を残すまで』は守らなくてはならないからだ。
つまり、人を襲うのは、『繁殖行為』の可能性があるのだ。
そうなってくると、果たしてゾンビは本当に死んでいる状態なのか、という哲学問答じみた展開になってくるのだが、心臓及び脳は完全に機能停止している、という公式発表、及び、動画等でも有名な、『ゾンビの体温=外気温』(動画サイトのサーマル映像を読者諸君も一度は見ているであろう。我々も実際に行い、この目で確認した)、活動状態のゾンビの解剖動画(これはフェイクの可能性がかなり大きいが一応取り上げる)から、やはり生物学的には死んでいるとしか言いようがないわけで――いや、限が無いから、やはり止めておくべきだろう。(とはいえ、前述のように、筋力は弱っていたと思われるので、寄生虫であったとしても、個体の維持は、長期間はできないと思われる)
ところで、好事家の中には、ゾンビの脳を保存している人もいると聞く。確かに、トロフィーとしては、インパクトが高い物であるが、細菌にしろ寄生虫にしろ、地震等による容器破損で、感染が引き起こされる可能性が非常に高い。
くれぐれも注意されたし。(作者としては焼却することを、お薦めする)
更に余談だが、ネット上には『ゾンビの脳を回収し、そこから寄生虫を取り出す動画』が存在する。その際に使用されるのは、市販の『熱帯魚の寄生虫を取る薬』である。
作者はこの動画を、興味深く視聴した――と言っておこう。
続いて感染力だ。
前述で寄生虫の話題を出したが、ここは公式にのっとり、ウィルスで話を進めていく。(このウィルスの部分を、寄生虫の卵や千切れた体節と変換すれば、述べている事は同じである)
まずは、感染経路だが、ゾンビウィルスは唾液の中にしかいない、というのが通説及び公式発表である。
だが、噛み痕の無いゾンビが確認されているという点を忘れてはいけないし、鳥類の一部で『半ゾンビ化した個体が確認されている』のも忘れてはいけない。
後述するが、私はゾンビの体液全てに感染の危険がある、と考える。
次に、感染力の持続期間。
作者の地域では、後述するが、(私が調べた限りでは)ゾンビは発生しなかった。
これは、公式発表の、『ゾンビウィルスは時間が経つにつれて、感染力が無くなっていく』に合致しているように思われる。
だが、つい先日――618事件から約一年後――東京メトロ内で繰り広げられた掃討作戦では、感染者が発生しているのだ。(これを最初は公式が否定していた点を見逃してはいけない)
これは、『時間とともに感染力が弱くなる』のではなく、『感染させる手段自体が貧弱になっていたから』ではないかと作者は考える。
つまり、活動を停止したゾンビからの感染、突然変異等による空気感染の恐れは、今現在も続いている可能性があるのだ。
やはりゾンビを処理する際は、時間が経った今でも防疫対策を万全にするべきなのだろう。(ここら辺も、寄生虫による感染と考えると、しっくりくるのだが……)
また、活動を止めたゾンビを焼却すると、その灰が新たな感染者を産む、という噂が立ったが。これは現時点では、デマだと言いきれる。
作者の地域では、掃討作戦後、盛大な火葬(要は穴を掘って、遺骸をそこに入れ、ガソリンをかけて燃やした)を行ったが、前述通り感染者は発生しなかった。
勿論、突然変異の事を考えると、適切な処置であったとは言えないだろう。
だが、あの時は『皆が参っていて、それ以外の方法は嫌だった』ので仕方が無かった……と言い訳をしておく。
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