裏切り

城を出て少し歩いていると


「あ、あの!」


同い年くらいの美少女が声を掛けてきた。

王女の時は顔を隠していて雰囲気で美少女なんじゃないかと思ったが、目の前の子は正真正銘美少女だ。芸能人にいてもおかしくない。服装はこの世界の服じゃなく、地球の服装だった。

俺はそんな美少女に見惚れていた。


「あの、もしかしてあなたも召喚されてきた人ですか?」


「え?じゃあやっぱり君も召喚されてきた人?」


「はい。」


目の前の美少女は俺と同じで異世界召喚されたらしい。確か国王が「また失敗か」って言っていたな。


「私、カレンって言います。あなたは?」


「あ、えっと俺はレオって言います。」


その後この世界について知っていることや、元の世界にいたときのことなどを話した。


話して分かったことはカレンは最初に召喚された。カレンの時は皆敬語だったらしい。やっぱり魔王を倒してほしくて召喚したんだとか。それと、説明も丁寧にしてくれたみたいでこの世界の事を俺よりも知っている。まぁ、俺あんな格好だったし態度も悪くしたからしょうがないのかな。


カレンは城の近くで他に召喚される人を待っていたらしい。数時間後に俺は2番目に召喚されたみたいだ。


「そうだ!レオくんのステータス見せてください。私の見せます。」


そう言うとカレンの前にステータスボードが表示された。


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名前 カレン・タチバナ Lv 1

種族 人間 女


体力 8

攻撃力 3

防御力 4

魔力 10

俊敏性 6


魔法スキル

全初級魔法


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え?全初級魔法って全ての初級魔法が使えるって事だよな。Lv1でこれって強くないか?


「すごいな。これがカレンのステータスか。それにカレンは俺と同じ苗字だったんだな。俺もタチバナって言うんだ。」


「そうなんですね。同じ召喚者で苗字が一緒なんて凄い偶然ですね。」


「あぁそうだよな。でもなんで城を追い出されたんだろうな。全初級魔法ってことはこの先Lvが上がれば中級とかそれ以上使えるかもしれないのに。もしかしてこの世界の人は全初級魔法以上使えるとか?」


「それは違います。魔法は3種類以上使えると凄いって言ってました。」


「え?じゃあなんで?」


「えっと、鑑定石にはステータスの能力値が表示されるだけで、スキルは表示されなかったんです。勇者だと能力値が初めから100近くあるそうです。私は城から追い出された後に自分のステータスを見たので城の人達は私のスキルの事はしりません。」


「なるほど。そういうことか。」


それにしても勇者強すぎだろ!初めから100近くってカレン一桁しかないのに。


「あの、レオくんのも見せてください。」


お、そうだった。あれ?そういえばステータスってどうやって出すんだ?ステータスって念じればいいのか?とりあえずそれでやるか。"ステータス"


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表示できません。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


は?え?なんで?


「これってどいうこと?」


「さぁ?私も分かりません。」


じゃあ俺って自分の強さがわからないってことかよ!魔法使えるかもわからないってどうすれば。ってことは俺やばくね?まぁなんとかなるだろ。


その後も話しながら城付近で3人目が来るのを待っていると、城の方が騒がしくなった。もしかしたら3人目で成功したのかもしれない。

俺とカレンはもう暗くなってきたし宿を探すことにした。

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