救出☆法術キッスは誰の為?
「ガンシップに乗っているのはゲップハルト隊長です!」
「正気に戻ってください!」
「放せこの下種野郎」
「汚い手で私を触るな!」
ブレイとハルト君はブランとレイスを抱きしめる。しかし、彼女たちは洗脳が解けないのか反抗的で暴れている。
「ハルト君。やりますよ」
「ええ。ブレイさん」
ブレイはブランを抱きしめ、ハルト君はレイスを抱きしめる。そして熱い熱いキスを交わす。その瞬間ブレイとハルト君の唇を中心に巨大な法術陣が形成され、まばゆい光が四人を包んでいく。
「成功した。ブレイとハルト君に予め法術陣を設定したの。強固な精神支配を解除する私特性の法術で、吸血鬼化していても有効なのよ」
「そ、それはすごいですね。マユ姉さま」
「ここではミスミス総統よ」
「失礼しました」
「ゲップハルト、
「了解」
上空のガンシップが降下しつつ緑色の
オイ車の操縦席で唖然としているララだった。ラシーカはミスミス総統の法術に感嘆していた。
「素晴らしい術です。ミスミス総統閣下。さすがはララちゃんのお姉さまですね。胸も私より大きいし……もう好きになっちゃっていいですか?」
「いいわよ」
「やったー」
両手を上げ喜んでいるラシーカだった。しかし、その間にもオイ車に降りかかる風雪は止まることがなく、車体全てが厚い積雪に覆われてしまった。
「姉さま。この積雪は不味いのでは?」
「問題ないわ。次はオルガノの番ね」
「オルガノに何をさせるつもりなのですか?」
「内緒よ。見てなさい」
オルガノは日本刀をリュウへと投擲した。
リュウは背負っていた大剣を振りその日本刀を叩き落す。その隙にヴァイに向かって走っていき彼女を抱きしめた。そして躊躇することなくその額に唇を当てた。
その瞬間、ヴァイの額が輝き巨大な法術陣を形成した。ヴァイとオルガノが眩い光に包まれる。そしてヴァイは意識を失い、オルガノへともたれかかった。
ヴァイを抱きしめるオルガノ。彼はオイ車の方を向きにやりと笑った。
「うまくいったわ」
「唇ではなくて、額にキスするだけで効果があったんですね」
「一応、顔や頭部ならどこでもいいのよ。ここからよ」
「何がですか?」
「ほらほら」
ワクワクドキドキといった風にモニターを見つめるミスミス総統。ララとラシーカも状況に魅入っていた。
「おい、リュウ。この美少女の貞操を守りたかったら投降しろ(棒)」
オルガノが放った思いっきり棒読みのセリフにオイ車内は爆笑の嵐に見舞われた。
「うは(笑)」
「やだ。何あのヘタレ(爆)」
「セリフを噛まなかっただけ良かったのでは?(微)」
「あれじゃヤラセだって即バレちゃうじゃないの(爆)」
「オルガノさんって使えませんね(笑)」
「今からこの娘の唇を奪い、舌を絡めた濃厚なディープキスを始めるぞ。覚悟はいいか(棒)」
「オルガノさん頑張って(笑)」
「情けない(微)」
「余計なセリフ言ってる。ウケる(爆)」
「胸をももも揉みまくって下着も引っぺがして、ああああんな事やここここんな事をしちゃうぞ(棒)」
「本人も恥ずかしいんだろうな。セリフ噛んでる(微)」
「ああ。でも、エロシーン見てみたい(笑)」
「しっかりしろ。お前のモテ期は今しかないぞ(爆)」
意識を失っているヴァイの胸にオルガノの手が伸びる。
リュウは顔を真っ赤にして激怒していた。
「止めろ。触るな。その女は俺のモノだ」
「ほざけ。吸血鬼の手下にはもったいない上物だ。俺が美味しくいただいてやる(棒)」
「ぐわあああ。止めろ。彼女に手を出すなああああ。俺は吸血鬼の手下ではないいい」
ドレスの上からヴァイの豊胸に手を伸ばすオルガノ。リュウはそのオルガノを渾身の右ストレートでぶん殴った。
「俺は吸血鬼の手下ではない。このおおおおお。いい加減にしやがれ!!」
リュウの眉間に光が点り、そして全身が光り輝く。リュウの全身には黒い鎖が張り巡らされていたのだが、その光の圧力で黒い鎖は千切れ飛んだ。
「はあはあ。馬鹿野郎。やっとあの戒めを引きちぎってやったぜ」
「リュウ。よくやった」
「ミスミス総統?」
「お前なら自力でその戒めから脱出できると踏んでいた」
「申し訳ありません。記憶が混乱してまして」
「分かっていると思うが、さっきの芝居はヤラセだからな。オルガノを見てやれ」
「はい」
リュウは倒れているオルガノを抱き起す。オルガノは首を振りながら右手で制した。
「そこのお嬢さんを見てやれ。お前の恋人なんだろう?」
「ああ。ありがとう」
リュウはヴァイを抱き起した。そして強く抱きしめた。
「すまない。俺がついていながらこんな事になるなんて……」
ヴァイは目をつむったままだったのだが、その表情は穏やかで、まるで「あなたには責任がないのよ」と言っているようだった。
「リュウとオルガノは後方へ退避しろ。あのデカ物が来るぞ」
「了解」
ヴァイを抱えたリュウとオルガノがオイ車の後方へと下がっていく。しかし、オイ車は分厚い積雪に包まれたままだった。
「ここここのミスミス総統め! 手下をすべて奪われたではないか」
「落ち着いてください。アリ・ハリラー様。我々にはまだこのハイペリオンがあります。敵の戦車は雪に埋もれたまま動けません。今がチャンスです」
「主砲発射だ。撃て!」
「発射します」
俯角に取った主砲が火を噴いた。しかし、砲弾は厚い氷雪を剥がしただけでオイ車にはダメージを与えていない。
「あの氷雪の壁を引っぺがせ。機関砲を全力射撃だ!」
アリ・ハリラーの命従い、ハイペリオンの両腕に装備された機関砲が火を噴いた。35㎜砲は200発。25㎜ガトリング砲は500発ほど搭載してあるのだが、その全てを撃ち尽くすのに十秒程度しかかからない。しかし、オイ車を覆っていた氷雪を剥がすのにはそれで十分だった。
「ありがとね。アリ・ハリラー。邪魔な雪を取っ払ってくれて」
「確かに。これで動くことができます。重力子砲を撃ちますか?」
「そんなことしたら一気に片付いちゃうじゃないの。ここは格の違いを見せつけるのよ」
「はい。それでどうするんですか?」
「うふふ」
ミスミス総統はにやりと笑いパネルを操作する。
「レイカさん。変形よ。オイ車からハイペリオンへ」
「了解しました。オイ車からハイペリオンへと変形いたします」
ゴゴゴゴゴ……。
地響きのような重低音が響き渡る。
オイ車の装甲はいくつかの細かいパーツへと分離し、別の形状へと再構成されていく。主砲塔は右肩、副砲塔は胸部へと移動しそして変形していく。キャタピラは背中へ、そして二本の腕と脚が形成されていく。
そして完全に
※注:(微)は微笑しているの意でララ。(笑)はラシーカ、(爆)は爆笑の意でミスミス総統。(棒)は棒読みセリフの意でオルガノ。
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