VOL4
俺は一人を縛り上げ、もう一人が気絶している間に、傍らに置いてあった俺の装備を手早く身に着けた。AKは一丁だけ肩にかけた。
そうしておいて一人に喝を入れて無理やりたたき起こす。
『起きろよ・・・・目が覚めたら俺に付き合ってもらう。「ルイ」って女の子の居場所を知ってるだろ?』
男は何も答えようとしない。
俺は構わず、M1917の銃口を奴の額にねじ付けた。
『3秒だけ待ってやる・・・・い~ち、に~い・・・・・』
『わ、分かった!撃たないでくれ!』
ひどく情けない声で奴は言った。
『ちゃんと連れてけよ。俺はウソは大嫌いだ』
奴を立たせると、俺達二人は廊下に出た。
すると、泡を喰ったような顔をして、俺を散々いたぶってくれたプロレスラーが走ってきた。
『おい!デカブツ!下手に近づくな。下手をするとこいつの命もないし、お前さん達も穴だらけになるぜ。』
プロレスラーはぎょっとした顔をして、銃口を下げた。
俺だって、いざとなりゃ、このくらいの啖呵を切れるんだ。
俺は拳銃を突き付け、腕をねじり上げて歩いた。
プロレスラーは眉根を釣り上げたまま、俺達の後をついてくる。
やがて、一つの大きな扉の前についた。
『ここか?』俺が言うと、奴は黙って頷く、カギ出させ、ドアを開けさせる。
『ご苦労さん!』
拳銃の台尻で、俺は奴の首筋を思い切りどついた。
前のめりに意識を失って倒れる。
『や、やろ・・・・』
プロレスラーが言いかけたのを、俺は、
『近寄るんじゃないぞ・・・・さもないと、もっと酷い目に遭うぜ』
内側に向かってドアをゆっくり開ける。
そこは一応の調度品は揃っているが、寒々としていて、お世辞にも環境が整っているとは言えなかった。
『誰?』
怯えたような声がした。
そこにはグレーのスウェットに、ジーンズと言うラフなスタイルだが、目鼻立ちのはっきりした美少女が、ベッドの上に腰かけてこちらを見ていた。
『ルイさん・・・・だね?』
『貴方は?やっぱりあの人たちの仲間?』
『泥棒だよ?』
『ええ?』
クサイねぇ、俺も、何もこんな時に、昔の某有名アニメのセリフを盗用することはないじゃないか?
『冗談だよ・・・・乾宗十郎ってもんだ。日本語、分かるか?』
彼女が頷いたので、後は全部日本語で喋った。
『訳は後だ。ここから逃げるぜ』
『え?で、でも・・・・』
俺は彼女の手を掴むと、ベッドから起こして立たせる。
『そこまでだ!ジェームズ・ボンド君』
ドアの向こうから、あの目つきの悪い男の声が聞こえてきた。
俺が振り返ると、リーダーらしきあの男、そしてプロレスラーが立っていた。
『ふざけるな・・・・斜陽国家の好色スパイなんかと一緒にして貰いたくはないね。』
俺はにやりと笑って銃口を向こうに向けた。
『君のそのリヴォルヴァーと我々の武器とやり合って、勝ち目があると思っているのかね?』
『俺を舐めて貰っちゃ困るな。あんたら最初に俺を尋問した時、良く調べなかったのか?それじゃテロリスト失格だぜ』
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