第4話
ため息をつきながら次の授業の準備をしていると、1人の女の子が駆け寄ってきた。
「おはよう!ハル!!」
私のことを下の名前で呼ぶ唯一の友達、秋山美波だ。
「おはよう。同じクラスになったね。」
「ねー!去年違ったからさ、さっき見た時声かけようと思ったんだけど、ハルの顔死にかけてたからやめとこーって。」
「あのメンツ見て元気でいられる方がおかしいでしょ。」
「まあ、そうだよね。私も不登校になりたいって思いかけた。」
クラスの隅では、富田と橘に声をかけている女子が多くいた。
「あれって誰でも入れるもんなの?」
情報通の美波に聞いた。
「よっぽど悪い人間じゃなければ入れるよ。莉奈は自分が偉いって証明したいから、人いっぱい集めてる。あおいは自分にその力と度胸はないから、莉奈と一緒に権力高めて自分も王様気取りってわけ。」
美波も私と同じで反富田派だ。基本的に反対派の方が圧倒的に多いが、自分の身を守ろうと富田のグループに入る人も少なくないから、私や美波みたいな根っからの反対派はそこまで多くないのが現状だ。
「それもそうだけどさ、ハルが学級委員になったのも驚きだよ。」
「本当はやりたくなかったけど。あそこで断ったらあいつらの敵になるから。なるべく目立ちたくなかったし。」
「でも、また同じことあるかもしれないじゃん。大丈夫なの?」
そう。私は去年も学級委員になった。だけど、それが地獄だった。そのクラスは問題児が何人かいた。誰か1人が問題を起こして怒られると、クラスメートや先生は私1人に責任を押し付けた。
「学級委員がしっかりしないから……」
何度も言われた。小さないじめもあった。ものがなくなったり、机に落書きをされたり、水をかけられたり。
だが、ある日いじめがぴたっとなくなった。飽きたのかな、先生に怒られたのかなと思った。こんなことが起こるのは嫌だから、今後学級委員をしないと決めていた。
「なんかあったら言ってね。私がぶっ飛ばすから。」
「うん。ありがとう。」
人と関わる方ではなく、美波に話しかけられた時にもツンツンしていた私。だけど、今では親友になっていた。私の事を本当に思ってくれる美波の存在がありがたかった。
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