第10話(ウォーゲーム・2)
ダダダダーー! 平気で人殺しをしているプレーヤーの名前は〝ハワード〟だ。アールとは違うギルドの奴。M4カービンをフルオートで撃ち、逃げ遅れたプレーヤーをナイフで次々に刺していく。
「後70人……後70人……」
アールとバイオレットは逃げて、ゲームからアウトしようとする。ライガーを探すどころではない。
「アール君、チュートリアルはやった?」
「ああ。ログアウトはコンビニに入ればいいんだよな」
走ってる国道153号線の左にコンビニがあった。
「逃ーがーすーかー!」
ハワードが追ってきた。猫を抱いてる。アールとバイオレットはコンビニの建物の陰に隠れた。
「アール君。いち、にの、さんでコンビニの入り口を開けるよ。…………いち……」
「待て、バイオレット」
「何よ? 敵は猫を持ってるだけよ」
「あれは、ネコーナーショットだ。コーナーショットに猫のぬいぐるみを被せた銃。俺がアサルトライフルで援護するから、その内にコンビニに入るんだ」
アールはファマスを構える。
「アール君はフランス人?」
「記憶は戻らないままだが、多分、違う。カラシニコフを持ってたら、ロシア人か? さあ! バイオレット、行け!」
「うん!」
バイオレットは動く。ダダダダーー! バーン! バーン! ダダダダーー! カシャン! アールは、ハワードのネコーナーショットを武器破壊した。しかし、カチカチ。アールはフルオート射撃をしていたから、残弾数を見誤り、リロードでもたつく。ホァン。バイオレットはコンビニに入れた。
ハワードもコンビニに入る。
アールもゲームから出ようとコンビニに入ろうとした時。バーン! 弾は外れたが、ハワードが待ち構えていた。次にナイフを持ち、ジリジリと距離を詰めてくる。アールがファマスを構えた瞬間に、ハワードはゲームから離脱した。
アールは8番フィールドに戻ってくる。バイオレットが待っていてくれた。
「アール君。あのハワードって奴を倒した?」
「いや。アサルトライフルを構えた瞬間に逃げられた。キノコさんは生きてるか?」
「ボイスチャットが届くから、生きてると思うよ」
「アールの旦那ぁ~。お疲れでさあ」
相変わらず、ふざけた顔のスマートモンキーだ。
「ハワードって奴が100人、プレーヤーキルを目指してる。何とかしてくれ」
「そんな危険な奴が…………いや、いずれ出現してもおかしくないでさあね」
「ハワードは後70人と言っていた。スマートモンキーと同じ情報を知ってたと推測する。奴にも案内AIが着いてるのか?」
「おそらく。何のゲームで10レベル以上になったかによって、スマートアニマルが決まるでさあ」
「ライオンとか狼とか強そうなのがよかったな」
「同じ〝仲間〟として頑張りましょうや」
「同じ仲間って。霊長類でも人間と日本猿じゃ雲泥の差があるぞ」
「ウキー! 言い忘れたことがあるでさあ。ギルドメンバーが二人死にやしたぜ」
「ハワードに殺られた?」
「おそらく。〝ひなあられ〟さんと〝八木〟さんが死んでしまったでさあ」
キノコもスーパーガンユニコーンから戻ってくる。
「皆、話は聞かせてもらった。ハワードって奴を倒そう。許さないぞ」
「あっしは、賛成しねえでさあ。それより、生きてログアウトする方法を見付けるのが最優先でさあね」
「そうだな。仲間を殺られたのは、良い気がしないが、スマートモンキーの言うとおりだ」
アールは冷静だった。どちらかと言うと、キノコのが感情的になってる。
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