第76話 その名はアイリーン

 デルク:よっ!また会ったな、ナレーターのデルクだ♪今まで半モブ状態だったカズクラフト総裁の秘書役をやってくれる人が見付かったぜ!というわけで、今日は彼女の1日を覗いてみよう。


 魔界時間4:24 帝王都サタンヘイルダム商業特区居住エリア内


『ナイトメアヒルズ最上層』


 一杯のコーヒー片手に窓の外を眺める秘書


 アイリーン:やあ、ご機嫌如何ですか?これまで半モブ状態だった秘書ですよ♪え?モブって割には普通にレギュラーで出てないかって?ご冗談を、文章だからそう見えてますが、実際は手だけだったり足だけだったり酷い時には画面から見切れてたりしてたんですよ。


 デルク:彼女こそ、毎回エリカさんに悪戯いたずらばっかりしてた奇子きこ・秘書コンビの秘書の方、アイリーンさん。種族はハイエルフと狼の亜人のハーフ。母親の遺伝子がまさったせいか、狼の耳と尻尾の付いたハイエルフの見た目になってるぜ!


 アイリーン:長々と紹介ご苦労様です。さて、私の朝は一杯のコーヒーと・・・


 大量の書類の机に向かうアイリーン


 アイリーン:始末書から始まります。はい?魔界は完全デジタル化の筈なのに手書きなのですかって?手書きじゃないと反省の気持ちが伝わらないとか言って書かせてるんですよあの女性ひとは。


 デルク:大銀行の総裁秘書って割には始末書ばっかり書いてると無能なんじゃないかって思うだろう?あの始末書は全部悪戯関連なんだぜ。


 アイリーン:まったく、ユーモアの通じない方で困っております。


 魔界時間6:00 金融エリア 黒耀銀行本店こくようぎんこうほんてん


『総裁執務室』


 アイリーン:秘書室長たる者、総裁や他の秘書が出勤前に来て総裁の業務の準備をしたりスケジュールを事前チェックして・・・


 色々仕掛けるアイリーン


 アイリーン:悪戯の仕込みを致します♪え?肩書きはただの秘書じゃなかったのかって?こう見えて私は500人の総裁秘書を束ねる秘書室長なんですよ。魔界宇宙の4分の1の金融機関を束ねる大銀行の総裁秘書ともなれば500人は当たり前なのです。


 デルク:ここで魔界宇宙の金融機関のおさらいだ。魔界宇宙には魔界宇宙帝王様のお膝元である魔王界、魔獣の住む獣王界、邪神の住む邪神界、そして司法機関のある地獄界の4つ。その金融機関を統治してるのが黒耀銀行こくようぎんこう牙城銀行がじょうぎんこう・ネメシス銀行・妖魔銀行ようまぎんこうからなる4大メガバンクだ。


 アイリーン:あ、総裁が来られた様ですね。


 エリカ:おはよう。


 椅子に座ろうとした時違和感に気付きクッションを勢いよく取るエリカ


 エリカ:甘い!このクッションに何か仕込んで・・・


 クッションの下から勢いよく水が噴き出す


 エリカ:おぶっ!


 アイリーン:惜しい、正解はクッションの下でした♡


 エリカ:アンタは毎回毎回・・・


 机のタブレットを取り出した瞬間タブレットの下から水が噴き出す


 エリカ:水の二段構えかよ!


 アイリーン:ナイスリアクション!リアクションクイーンの名は伊達ではありま・・・


 エリカのゲンコツが炸裂する


 エリカ:今日の予定は!


 アイリーン:この後役員会議を行い、浄土銀行じょうどぎんこうの暁総裁との会談。その後は・・・


 魔界時間12:00 銀行内食堂


 周囲の行員が注目する中全く気にせず昼食を食べるアイリーン


 アイリーン:今日のお昼は3メートルのどんぶりにトンテク・・・あ、トンテクは人界の豚に似た家畜ですね。そのトンカツ6枚にカールス、これは牛に似た家畜でそのカルビを1メートル積んだテラ盛りスタミナ丼です♡おや?総裁は生姜焼き定食ですか?


 エリカ:アンタ、私が毎週この日は生姜焼き定食頼むの知っててわざとそういうやつ頼んでるでしょう。


 アイリーン:ハテ?ナンノコトデショウ?


 魔界時間20:00 商業特区飲食街


 アイリーン:魔界宇宙は次元工学が発達してるので移動はトランスゲートと呼ばれる空間転移装置での移動となります。総裁の終業後は飲み友達と飲みに行くのでここで私の業務は終わりです。それにしても、こんな事ばっかりするから婚期を逃すんですよねぇ。


『居酒屋店内』


 エリカ:誰が行き遅れよ!


 騒つく店内


 エリカ:あ、すみません。


 魔界時間20:48 ガンショップ スナイプショット


 アイリーン:私の趣味は射撃と銃コレクションです。こう見えて私、少し前はクレーン射撃の競技で金メダル獲った事あるんですよ♪


 店長:いらっしゃい、例のブツ入荷してるぜ♪


 店長が出した銃を手に取るアイリーン


 アイリーン:軍事超大国ウエポニア帝国製22口径ロングライフル。弾倉であるマガジン部分内部にはMD小型空間加工加工が施され、最大200万発分の弾丸を収納可能。後部照準器・照門であるリアサルトは50キロメートル先の豆粒にまで照準を合わせられる高性能、素晴らしい♡


 店の奥を指す店主


 店主:試し撃ちするか?


 アイリーン:はい♪


『店内奥射撃場』


 アイリーン:魔界の建造物は全てDC空間加工が施されているので、一軒家ほどの大きさでも中は都市1つ分の広さがあります。そのためここの射撃場は凄く広いのです♪


 射撃場から出るアイリーン


 店主:どうだった?


 アイリーン:買います♪


 店主:支払いは?


 アイリーン:電子決済で。


 店主:はいよ。


 魔界時間22:00 ナイトメアヒルズ最上層アイリーン自宅


 アイリーン:魔界の住宅には店舗を転送する技術があるのですが、魔界の銃刀法上の関係でガンショップ等の様なお店はここに転送出来ないのです。


 コレクションルームにロングライフルを飾るアイリーン


 アイリーン:う〜ん、この眺めもまた最高ですねぇ♪


 宙に浮いた液晶モニターに映る奇子きこ


 奇子:そろそろこっちに戻れそう?


 デルク:このお嬢さんに関してはこの物語の3話を読んでくれな♪


 アイリーン:はい、明後日にはそちらに戻れるかと。


 奇子:戻り次第するよん♪


 アイリーン:了解です♪







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る