汚水ポンプ施設にあったら恐いモノ(元ネタ:篠崎ポンプ所女性バラバラ身元不明殺人事件より)

ここは、市の下水道局が管轄しているポンプ所。

そこへ夜更けに汚水を溜めて置く水槽の入り口に

何かを次々と投げ落とす人影があった。

その人影は満月の月明かりに照らされ顔が黒光りする。

次々と投げ入れられ、最後のひとつを投げ入れるのを確認すると

その何かを投げ入れた人物の顔は妖しい笑顔を浮かべる。

その表情は、満月の光に照らされて

余計に不気味さと恐ろしさをかもし出す。

そして投げ入れられたモノが流れて行ったのを

確認すると、その人影はその場を後にした。


それから数日後。

午前の10時を回った辺りで

ここの職員が汚水を溜めて置く水槽の4号沈砂地で

何らかのトラブルを示す警報が鳴り、

警告ランプが点滅しているのを見る。

「ん?何か様子がおかしいぞ?竹崎、お前様子を見て来い。」

「はい。様子を見てきます」

このポンプ所の所長にそう言われた竹崎と呼ばれた所員は

早速、水槽の4号沈砂地に行って様子を見てくる。

それから五分して、竹崎から連絡が入る。

「所長!大変ですッ!!」

「どうした!何があったッ!?」

所長が訊ねる。

「人間の死体が浮いてますッ!他の浮いてるゴミと一緒にッ!?」

「何だってッ!?」

それを聞いて所長は驚き、監視カメラを操作する。

すると、よくよく見ていると確かに、

色んなゴミに混じって人間の死体らしきモノが見える。

所長はすぐにその4号沈砂地を停止させて警察を呼ぶ事にした。

そして警察が呼ばれて、その4号沈砂地を調べた。

多くのゴミを仕分けしてしている内に、

確かに人間の手とかありとあらゆるモノが見つかった。

警察が調べた所によると、この死体は女性であると確認した。

ただ、その死体は身元が不明であった。

それに、下半身だけが見つかっていない。

その女性の特徴は、

年齢が16歳から25歳位と若く、身長は160cmぐらいだ。

身体的特徴については顔は面長で両耳にピアスの穴があり

両手の爪にピンクのマニキュアが綺麗に塗られていた。

また、わきは脱毛されていた。そして血液型はA型である。


警察は犯人が女性を殺害後、切断したうえ、

道路脇にある雨水用のU字溝やマンホール、

下水の工事現場などの開口部から下水道に投棄したとみて、

捜査を進めたが、いまだに女性の身元すら不明のままである。

その後、熱心な聞き込みやポスターにより

広範囲にわたって情報提供を呼び掛けていたが、

殺人と遺棄した犯人や犯行の動機、被害者の身元も

分からず遺体の下半身部は見つからずに結局迷宮入りした。

身元不明者リストとして当時のポスター・歯形を併せてビラや

ネットに掲載までしたものの、結局は進展しなかった。


そして、その捜査の進展の行き詰まりを嘲笑うかの様に

ネットカフェ内においてその事件のサイト画面を見て、

薄ら笑みを浮かべる男の顔があった。

(ククク、バカめ。未だに俺による仕業と気づいておらぬわ?)

そしてサイトをブラウザバックして閉じ、いつもの

画面が幾つものショートカットが浮かんでいるスクリーンに戻されると

男は、すぐに席を立って出入り口に行くと

受付で時間の超過分の利用料金を支払って

店を後にし、夜の繁華街の中へと消えて行った。

そしてその後、この男の消息は誰にも確認されてない。

この男の嘲りを象徴する様に、事件は一向に進展せず

未だにあぐねているばかりだ。



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