第九話 国王一家帰還の前日に
その1 お買い物ツアーを敢行します
一晩眠ると昨晩の事がまたわからなくなってきた。
私の知識の中にはアトラスティアにはキスという風習は無い。
そしてキスを要するような魔法も一般的には多分ない。
なら昨日のシェラのは何だったんだろうか。
単なる夢だったのだろうか。
さて本日はお買い物の日だ。
ペンションのオーナーには、近くのショッピングセンターまでマイクロバスを出してくれるように頼んである。
「昨日のジェットコースターほどじゃないけれど、この車という乗り物はやっぱり速くて便利ですね。うちの国にも持って行けないかなあ」
「馬車が使える広い道でなら使えるような気がする」
「車って、動くには魔法じゃ無くてガソリンという燃える液体を使うの。それを作る技術が向こうには無いから、あまり使わないうちに動かなくなっちゃうよ」
「そうか、残念」
今日も座席中程ではマリエラが今日も王子や王女に解説中の模様。
車で10分も走らないうちに目的地に到着した。
さて、行くとするか。
まずは100円ショップだ。
「店内の通路はあまり広くないので、他のお客さんの邪魔にならないように歩いて下さい。あと、何か欲しいものや説明が必要なものがあったら、私か昨日の引率者か、シェラに言って下さい。では行きます」
そして店に入ってすぐ女性陣の足が止まってしまった。
化粧品だ。
「この化粧水って何に使うの」
「肌を保湿したり滑らかにするのに使う。たまに肌に合わない人もいるけれど、使えれば結構お勧めだ。あとは乳液も一緒に買っておくといいかな。顔を洗った後、両方を顔に付けて伸ばしてみて効果を確かめてみればいい」
という事で乳液を女性陣人数分、化粧水を女性陣人数分かける2ほど籠に入れる。
「ここにあるのは?」
「お化粧を肌にのせるためのパフとか筆」
「それは」
「唇を赤く塗る口紅」
100円コスメで早くも動きが止まってしまう。
これでは男性陣の方へ行けないので助っ人に頼ろう。
「マリエラ頼む。自分のも買っていいからこの辺説明して買う物をまとめてくれ。300個以下なら今回は許す!」
300個でも3万円ちょいだから大した事はない。
「了解、任せておいて」
そんな訳で私は他の皆さんを探す。
「この透明な器は結構高価なのだろうか」
いえ100円です。200円商品もあるけれど。
「気軽に買える値段ですよ。ただ割れやすいので注意が必要ですけれどね」
「出来ればこのタイプだけでもいい。パーティで使う分があると、テーブルも華やかになるだろう。それにこっちのタイプは私室で酒を飲むときに良さそうだ」
はいはい。店員さんを呼ばせていただきます。
「このタンブラー、まだ他にありますか? あれば箱で買いたいんだけれど……」
シェラとアミュはマリエラを手伝って化粧品コーナーにいる模様。
ジーナすまない。君も女の子なのに。
そんなこんなで1時間半も使ってしまった後。
我々は100円ショップだけで7万円ちょい使ってしまったのだった。
店員さんには大変申し訳ない事をしてしまったと思う。
レジ2台を専用に使って10分以上ひたすらレジ打ちをさせるなんて苦行をさせてしまったのだから。
しかも物が多すぎるので、レジを打つ横で店員さんが箱詰めもしてくれた。
そうしないととても持ち運べる量では無かったので。
なおその箱は車に積むふりをして台車を借り、外に出たところでしれっとアイテムボックスに放り込んだ。
隠蔽魔法を使ってアイテムボックスを使えば、魔力が外に漏れることも無い。
「この店にはプラレールは無かった」
「それは後にある店に行きますから」
まだまだ今日の買い物ツアーは始まったばかりだ。
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