【異世界で魔導兵として生活します】

艦本式

第1話


本当なら一日の業務(ネトゲ)を終えて、就寝してたはずなのだが、長波 皐月(ながなみ さつき)こと俺は違和感を感じて、目を開けると、周りには暗い水面が広がっていた


「………へ?」


自分が何処に居るのか分からなかった。


「…って、しょっぱっ!」


ここは…海なのか?

自分が浮いている水はしょっぱかった


落ち着け、これは夢に違いない

そう、夢なのだ


「いや…夢じゃ無いか…」


試しに、アニメとかで良くある自分の頬をつねってみる事にしてみた

普通に痛い…


「本当に起きてる事なのか…?」


なおさら信じられなかった。何が起きているのか




あの後、自力で近くにあった孤島に上陸する事が出来たため、なんとか助かった…


「それにしても一体…ここは何処なんだ…」


全く検討もつかなかった。最後の記憶では、深夜アニメを鑑賞していて、いつの間にか寝落ちした所までだ

外出した記憶も、この場所に見覚えも無い


「とりあえず、親に連絡……おいおい、マジかよ…」


ポケットに入っていたスマホは動かなかった

…まぁ、海水に浸かっていたから当たり前なのだが


「ここからどうするんだよ…」


持ち物は水没したスマホと、財布だけだった


「こんな所に助けなんて来る訳ないよな…」


辺りは自分のいる小島以外、海しか見当たらなかった

もし、助けが来なかったら…俺は死ぬのか?

そんな事を考えながら、ふと空を見上げるとそこには


「…え、飛行機?」


その飛行機は低空飛行しながら上空を旋回していて、しばらくすると、こちらに向かって来たのだ


「ん?でも、あのままだと海に墜落するぞ…」


だが、その飛行機は海面との距離があまりに近かった。そして、海面に衝突した


「あぁ墜落した!……あれ、浮いてる?」


墜落したはずの飛行機は海上を滑るようにしてこちらに近づいて来た


「あんた、大丈夫?」

操縦席から顔を出したのは、美しい少女だった


「あ、えーと…墜落しなかった?」


その顔に見惚れていると、変な事を言ってしまった


「墜落?この機体は飛行艇よ?フロートが付いてるじゃないの」


話を聞くと、この機体は二式大型飛行艇と言って、水上にも降りる事が出来る優れものらしい


「まさかこんな所に人が居るなんてね…何してたの?」


俺が聞きたい。なんで俺はこんな所に居るのか


「まぁ、なんでも良いんだけど。一応、身体検査させてもらうわよ?」


あり得ない所に居た人なんて疑って当たり前だよな…

飛行艇の乗員も怪訝な目でこちらを見ている


「この飛行艇は戦闘機なのか?」


美少女に身体中を触られながらそう言った。こういう体験も悪く無い


「確かに武装は積んでるけど、戦闘機では無いわよ。どちらかって言うと、輸送機ね」


どうやら身体検査は終わったらしく、身体を触るのを止めて立ち上がった


「あなたが、敵国のスパイでは無い事は分かったわ。…ただ、これは何なの?」


そう言ってスマホを見せてきた。どうやらこの国にはスマホは無いようだ

しかし、いつの間に取ったのか…触られてただけだから、取られては無かったはずだ…


「それは…魔力の結晶です…」


とっさに嘘をついてしまった…それも、かなり幼稚な嘘だ


「魔力の結晶?…確かに見た事無い物質を使ってるみたいだけど…魔晶石には見えないわね…」


お、信じてもらえるのか?


「そうねぇ…嘘っていう証拠も無いし…信じてあげる。その代わりに、これは預かるわよ」


どうせ水没してるし、使い物にならなかったから…まぁ、良しとするか


「ただ、あなたの素性は分からないから国に着いたら色々調べさせてもらうからね」


そう言って飛行艇に乗せられた。中には他にも数人乗っていたのだが、あまり良い印象では無いみたいだ…

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