第164話 健太のロープ
「ロープって6階層に置いてきたやつか?」
「そうそれ。縛り付けてあるからそこで切り落としちゃえば残りを持ってこれるだろ?」
「まあそうなんだが…」
言わんとしていることはわかるが、本当にまだリビングアーマーは縛られたままだろうか? ダンジョンの仕組みをわかっているわけじゃないので何とも言えない。もしかしたら一度消えて配置しなおしているとかもあるかもだからな。後放置した荷物がそのまま残っているかもわからない。
「んー…じゃあ俺とリノでロープがあるか見てくるか」
「俺は留守番か?」
「ああ、一応前衛も残しておかないと危険だろう?」
「ふむ…なら仕方ないか」
「まあ…うるさくていいなら近くのマンドラゴラでも狩ってろよ…」
「おっ そうするわ! まだアイテム落ちてないから気になるしなっ」
一度みんなでパネルの前まで戻りそこで俺とリノは一度6階層へと向かうことにした。たしかロープを使用したのは左側の通路だったはずだが…
角の所までリノと進んだ俺達はそこから奥を覗き込んだ。リビングアーマー達は以前と同じように壁側に並んでいる。ロープは…足元にズダボロになって転がっていた。
「あれ…ちぎられたのかな」
「…違う。残りの、ロープが、ない」
言われてみれば長すぎるロープは巻き付けるためのでかい装置がついていたはずだ。でもその部分がなかった。
「ということは…残りは持ってかれた??」
「多分、そう」
置き去りにしたのだから盗られても文句はないのだが、ロープがないとなるとどうやってマンドラゴラを引き抜けばいいだろうか。もう一度考え直さないといけないな。
「しかたない一度戻ろうか」
「そう、ね」
俺とリノは再び8階層へと戻ってきた。来たのだが…なんだこの光景は。健太とミネとファーナさんの前に火柱が上がっていて3人はそれを眺めている…これはいったい何をしているんだろうか?
「お、よっすーお帰り。ロープは?」
ぼーぜんと火柱を眺めている俺とリノを無視して健太はロープのことを聞いてきた。その前にこの状況説明が欲しいんだが…
「残念だがなかったぞ…それより何してるんだ?」
「無かったか~ で、何って見たままなんだがな。えーとマンドラゴラをまとめて燃やしてみてる。こうするとこいつら叫べないんだよどうやら」
なるほど…健太達なりに叫ばない方法を考えた結果なのか。ダメとは言わないが目の前にいたら熱いじゃないか。
少しすると火が消えた。その火が消えたところにはいくつかアイテムが転がっていた。魔石と細いうねった紐状のものだ。
「根っこかな…?」
鑑定してみるとマンドラゴラの根と出ていたので間違いないだろう。どうやら薬などの材料みたいだ。
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