第153話 7階層ボス戦

 ボス部屋の扉の前で少しだけ休憩を取りその後扉を開けて中へ入った。全員が入ると扉が閉まり部屋中央あたりに魔方陣が現れ光を放つ。相変わらずのまぶしさに少しだけ目を細め現れるであろうボスを待った。

 光が収まるとその場所にはまあ予想通りというかなんというか…大きなスライムがいた。大きくて黒いスライムだ。ほんの少しだけ透けて見えるのがせめてもの救いだと思う。そうじゃなかったら核が見えないので攻撃しても倒せないだろう。


「うへぇ…相変わらずボスはでかいな~」


 スライムを見上げながら健太がどことなく楽しそうそうな顔をしている。やっぱりスライム博士と自分で言うくらいはスライムが好きなんだろうか?


「ん、くるっ」


 動き出したスライムを見てリノが前に出た。すかさずそれに健太も続く。2人が相手をしている間に俺たちはどう動くか軽く相談する。


相談した結果まずは普段通りに攻撃を仕掛けてみることになった。ミネが『エレメンタルストーム』の詠唱に入り、ファーナさんはひたすら矢を打ち込む。ほとんど黒いので中々核には当たらない。俺の魔法は周りを巻き込んでしまうので止めておき、剣で少しでもスライムの意識をミネとファーナさんに行かないように切りかかるだけだ。大きなスライムの体は弾力があり、あまり剣が効いている気がしないんだけどね…


「詠唱完了!!」


 ミネの詠唱が完了した。あとはリノと健太がタイミングを見てスライムから離れるだけだ。ミネの声に気が付いた2人はちらりとお互い視線を合わせた。先にリノがスライムから離れようとするとスライムがリノを追いかけてくる。健太がその間に入り込みスライムの移動を止めた。健太の盾は防御力がかなり高くなっているので使用者本人がよほど無茶なことをしなければある程度強い攻撃も防げるだろう。


「撃つわ! 『エレメンタルストーム』」


 撃つとミネが宣言してすぐに健太が走ってスライムから離れた。少し離れたところで盾をスライムに向けたまま後ろ向きでさらに下がり続ける。

 ミネの魔法がスライムに届く瞬間、さらにそこからカラフルな光が健太めがけて飛び出した。


「うをおおおおおおっ!?」


 盾を構えていた健太はその光に押されてどんどん後ろへと下がっていく。突然のことながら頑張って受け止めたと思う。最後には受け止めきれず後ろへ倒れこむとその光は盾にはじかれるようにして壁へと激突した。


「あ、あぶねぇ~…」


 どうやらミネの魔法はちゃんとスライムにあたったらしく1階層の時と同じように、たくさんのスライムが散らばっていた。その種類は7種類…7階層で見かけたスライムと同じ色同じ種類数だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る