第126話 リビングアーマー

 轟音を立てて壁にぶつかった魔法は煙を上げており視界が悪くなっている。その煙がゆっくりと晴れてくるとそこには少しだけ壁にめり込んだ鎧の魔物がいた。ガラガラと音をたてそこから進み出た鎧は真っ直ぐに健太に向かって来た。やはりリビングアーマーで合っていたみたいだ。

 盾を構える健太だがあれから一度も盾を変更していないし防御力も上げていないやつなのであっさりと盾を破壊される。このリビングアーマーは剣を手にしていたことからそれで盾を破壊したみたいだ。思ったよりも威力があったのか健太の盾が弱いのかわからないがまあ後者だろう。


「やべっ」

「ちょっとーーっ この威力の魔法で倒せないとかなんなのこいつ!」


 言われてみれば壁にめり込んだだけで普通に動いているなこの魔物。少し検証が必要か?


「『ソリスト』、『プチメテオ』!」


 壁を無視して小さな隕石が降り注ぐ。これなら視界を埋めないから様子も見れるだろう。その様子を眺めていると落ちてくる隕石はことごとく鎧に弾かれ落ちて消えていった。すぐに『ソリスト』を解除する。


「効いてない、ね」

「あれか、魔法が効かないとか」


 魔法が効かないとなると物理しかないが…とりあえず剣で殴りつけてみる。がんっと音がして鎧がへこむと同時に何かパーツが落ちる。それでもリビングアーマーは執拗にマントを装備した健太を追い回す。


「ふむぅ…表面はただの鎧ってことかな?」


 となると…


「リノ殴りまくれ。ファーナさんは鎧のつなぎ目をナイフで。健太はがんばって逃げろ。ミネは…」

「うん、私は?」

「…休憩だ」

「ええええええーーっ」


 叫ぶミネは放置して俺も剣で殴りかかる。リノが杖で足元を崩し、倒れたのをいいことにみんなでめったうちだ。その状態になったら健太もナイフで殴り始めた。


 タコ殴りされたリビングアーマーは見事ばらばらにされた。その鎧をどかして確認してみたけど中身はない。少しするとすーっと跡形もなく消えていった。跡形もなくは違うか。さっきまでリビングアーマーが振り回していた剣だけが残った。その剣を拾い上げてみるが結構重たくて俺には使えそうに無い。それならば合成材料にするか売ってしまうのがいいだろう。ということでとりあえずファーナさんのマジックバックに預かってもらた。


 通路を曲がるとその先には壁にずらりと似たような鎧が立ち並んでいた。それを見た俺は慌てて健太のマントを奪いすぐにリュックに押し込める。流石にあの数にこられたらたまらない。さて、どうやって1匹づつ引っ張ろうかね。

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