第78話 ダンジョンマスター
次の日俺は無意識にプレハブへ足を向けダンジョンへと入っていく。そして1階層のパネルの前でぼんやりと昨日のことを思い出していた。
ダンジョンマスター…管理者…まあその名の通りなのだろうけど、外に出られないと言っていた。こういうときにあまりこの手のことを知らないのが痛いところだ。健太に聞けば少しはわかったりするのかもしれないが、そんなことを考えているとファーナさんがやってきた。
「わー早いですね。いつもは私が先なのにっ」
「ファーナさんはダンジョンのことってどのくらい知ってる?」
「ふぇ?えーと…ダンジョンは今回のとこが初めてだから実はあんまり知らないんだけど、そこらでよく見る魔物も出るってことくらいかなー?」
なるほど…だから知ってる魔物のことだけは説明出来ていたってことか。じゃあダンジョンマスターのことなんて知らないんだろうな。
「ダンジョンマスターのことは何か知ってる?」
「えーと…ダンジョンを管理している人のことですよね。それくらいしか…すみません。というか久々に顔合わせたのにいったいなんなの??」
ファーナさんも知らないのか…後は健太が参考になることを知っているといいのだが。
「ちょっと聞いてます?ヨシオ…」
「なんだ、よっすー先に来てたのか。というかファーナさんおひさーんで、なに騒いでんの?」
「あ、お久しぶりです。聞いてくださいよヨ…」
「なあ健太。お前ダンジョンマスターのことってどのくらい知ってる?」
「ちょっと人の言葉遮らないでってばっ」
2人のやり取りを無視して俺は聞きたいことを口にする。
「んーゲームとかラノベとかの知識だけどいいのか?」
「ああ、たのむ」
健太の説明によるとダンジョンのモンスターの配置や環境を整えたりする人のことで、ダンジョンを攻略してもマスター自身はなんともなく、ダンジョンコアというものがあり、それを破壊するとダンジョンもマスターも消滅してしまうものが一般的だと聞かされた。
「ふむ…じゃあ外に出れるようになるにはどうすればいいんだ?」
「ダンジョンマスターがか?」
「そう」
「ん~…本人の死とか、後はマスターの交代くらいか??まあ実際は知らんが」
交代か…なかなか厄介な存在なんだな。
そんなことを考えていると突然両頬に痛みを感じた。目の前では両手を俺の前に出しているファーナさんがいる。気のせいか何か怒っているみたいだ。
「いい加減にしてくださいっ久しぶりに会ったのに2人で会話ばかりして私は放置ですか!2人で出来る話は後で帰った後でもいいでしょう?それに低レベルとはいえここはダンジョンの中なんだし、あまり気が抜けたことしていると危ないんだよ!?」
どうやら俺はファーナさんにしかられているようだ。年下にしかられるのは中々こたえるものなんだな…と。そんなファーナさんの行動に俺は少しだけ驚いてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます