第58話 3階層の魔物
「うわああああああああっ痛い痛いいた…くない……?」
「「……」」
健太の右足にはでかい魚が食いついている。でもよく見るとちょうどすね当てのところに食いついていて、怪我とかはなさそうだ。健太はそーっと足を下ろすと魚を引き剥がそうと尾ヒレを引っ張ってみているが中々取れない。
「あー…なんか執念深そうな顔してますもんねこの魚」
「もうそのまま歩けば?」
「よっす~…流石に無理あるってっ」
はっきり言って自業自得だから自分で何とかしろって話なんだけどな。
「倒せばいいんじゃないですか?」
そう言うとファーナさんは魚に短剣を突き刺した。するとあっさり倒すことが出来、魚は鱗を落として消えていった。
「鱗か…」
「ちょっと透けてて綺麗ですね~」
鱗とか何かに使えそうだよな…ゲームとかで鱗を使った装備とか見たことがあるきがするし、集めてみるのもいいかもな。
俺はおもむろに治癒の杖を水溜りのほうへ差し出した。すると魚が2匹ほど噛み付いてきた。
「ははっ…魚釣りみたいだな」
「ちょっよっすー何してんだ?!」
「あー物でも魚引っかかるのかなーとな。まあ見ての通りだが…」
釣り上げた魚をそのまま地面に叩きつけるとやっぱり鱗を落として消えていった。これで鱗が3枚になったな。
それからは健太も大人しく道に沿って歩くようになった。まあ痛くないとはいえ魚に食いつかれるのは面倒だからそのほうがいいだろう。
少し先の正面が行き止まりなのを確認したのでそのまま右へと曲がる。するとそこで初めての魔物に遭遇した。あ、魚も魔物かもだけどこれはなんか仲間に入れたくない気がしてカウントしないことにした。
「ファーナさんあれは何?」
「ええと…あーイノランタですねそれと、トンヤー」
猪みたいなのがイノランタ、どう見ても子豚にしか見えないのがトンヤーというらしい。これはまた…健太のターンじゃないのか?
「イノランタってもしかして突っ込んできたりする?」
「ああそうですね。ヨシオ知ってたの?」
「そんな気がしただけ…」
「ふぅん?」
ちょっと目を離していたらいつの間にかトンヤーという魔物が視界から消えていた。ほんの数秒のことだったのに意外にすばしっこい魔物なのかもしれない。いないということは逃げたのだろうか…
「あれ?トンヤーがいないぞっ」
それに健太も気がついたらしく周りをキョロキョロと見回しだした。だが、俺はそれよりも目に入ってしまったものに視線が釘付けになってしまった…
「健太…それ新しいファッションとかか?」
「ファッション…?いや、よっすーダンジョンの中で一体何を言って…ほわっ?!」
健太の黄色いマントの両端にトンヤーが食いついてぶら下がっている。やっぱり健太のターンだったみたいだ。
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