ようこそプレハブダンジョンへ!~由緒と健太のプレハブダンジョン奮闘記~
れのひと
第1話 プレハブ掃除
6/16、健太視点を後半に追加しました
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それは暑い夏の日だった。俺は自分の部屋が欲しく頼んだところ庭にある使っていないプレハブで出来た建物を貰った。掃除と片付けを全部自分でやることが条件だ。
「どうせあんたの要らなくなった教科書や漫画雑誌が置いてあるくらいだからねぇ」と言われ、今後ちゃんと自分でそれらを何とかすればいいと言うことだ。
貰った鍵でプレハブの入り口を開けるとドアノブをひねり中を覗いてみる。うん…中は薄暗いな。倉庫にしてたくらいだから電気は通していないってことだ。これじゃあ片付けても夜とか使えないじゃないか…まあ何か明かりを置くか電気を通してもらうかしないとだめだな。
そんなことを考えながら中へ足を踏み入れる。一応部屋にするつもりなので靴を脱いで入ったら靴下が真っ黒になった…
「げ…床掃除するまで脱ぐんじゃないなこれは…」
掃除をするにしてもまずは中にある荷物を見て処分するものとかを確認しないといけない。ビニール紐で縛られている雑誌や古い教科書などをとりあえずプレハブの外へとだしてから掃除をしようと行動を開始した。
「……ん?」
数往復雑誌の束を外へと出したときにそれに気がついた。プレハブに入って右奥あたりに大きな穴が空いていた。古くなっていて床が抜けてしまったのかもしれない。近づいて穴の中を覗きこむが暗くてよく見えない。
一度家の中へ戻り懐中電灯を持ってくるとまずは建物の下を覗き込む。だがこちら側に穴は開いていないみたいだ。
「よかった貫通はしてないみたいだ」
ほっと胸を撫で下ろし再びプレハブの中へと戻る。今度は穴のほうから懐中電灯で照らして中を覗く。するとそこには階段が奥へと続いていた…
「え…?いやでも……は?」
もう一度外へ出てプレハブの下を懐中電灯で照らすがやはり穴は開いていない。
「そんなばかな…」
何度見ても外からだと開いていないのに中からだと奥に続く階段がある。穴を見つめどうしようかと悩んでいると背後から声がかかった。
「よっすー何してんの?」
「健太…?」
「おっす。おばさんに聞いたらこっちにいるって言うから来たんだが、片付けしてたんじゃねーの?」
懐中電灯を持って立ち尽くしていた俺は健太が来たことでほっとしていた。
「片付けしないんならどっか遊びいこうぜーっ」
「いや、片付けはしたいんだが…まあこれ見てくれよ」
俺は懐中電灯の明かりを床に開いている穴に向け中を照らした。 するとやはり中には下へと続く階段が見える。それを一緒に眺めている健太は目をパチパチと高速瞬きをし、こんなことを口走ったのだ。
「地下があるプレハブとかってすげぇな…」
「地下っておいおい…普通に考えて壊れた床の穴だろうがっ」
外に出てプレハブの床が地面に繋がっていないことを証明すると、再びプレハブの中へと戻る。
「…な?」
「……ふむ」
くいっと健太は眼鏡の位置を直すとプレハブから出てどこかへ行ってしまった。
再び1人になってしまった俺はぼんやりと穴を眺めどうしようか思案する。
「降りて確認するしかない…か?」
「まあそうなるわな」
「うをっ」
独り言をつぶやいていたら健太が戻ってきていた。急に喋るもんだから驚いてびくついてしまった、ちょっと恥ずかしい。
「俺もついてこうと思ってな、ほら懐中電灯。あと…軍手?それと水と携帯食料持ってきたわ」
「懐中電灯はわかるが、他はなんでだ…」
「え、こういったとこはいるなら少しぐらい準備したほうがんいいんじゃないかなーと?」
ま、まあいいか…準備もできたところで、俺達はその階段を一段一段確実に地下へと降りていった。
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夏休みが始まって俺はいつものようによっすーの家へ向かっている。大体この休みは8割がよっすーのところで他2割を別のことですごしている。もちろんこの2割の中には課題も入っていて、はっきり言ってやらないでいいならやりたくはない。まあ…困ったらよっすーにでも手伝ってもらおう。
よっすーの家に行くと健太は庭のプレハブの掃除をしていると聞いた。玄関から外へと出て庭を方に周ると見慣れた建物が立っていた。まあ入ったことはないが、よくあるプレハブだな。その建物の扉は外側に開いているので、中によっすーがいるのは間違いないだろう。その開いていた扉から中を覗くとよっすーが立っていた。
「よっすー何してんの?」
「健太…?」
「おっす。おばさんに聞いたらこっちにいるって言うから来たんだが、片付けしてたんじゃねーの?」
ゆっくりとこっちを向いたよっすーはなんか少しだけぼんやりしていて様子がおかしかった。
「片付けしないんならどっか遊びいこうぜーっ」
「いや、片付けはしたいんだが…まあこれ見てくれよ」
そんな気分を吹き飛ばそうと遊びに誘ってみるとなんか見ろっていうんだけど…なんだこれ?床に穴が開いているように見えるんだが。
「地下があるプレハブとかってすげぇな…」
「地下っておいおい…普通に考えて壊れた床の穴だろうがっ」
地下は流石に苦しかったか…でもただの穴じゃなさそうだな。
よっすーに連れられプレハブの外に出ると床下を懐中電灯で照らしている。どうやらそこを見て欲しいみたいだ。
「…な?」
「……ふむ」
どいうやら普通じゃないことが起こっているみたいだな。層思った俺は眼鏡の位置を直し、それを確認すべく準備のため一度家に帰ることにした。
準備を終え、再びプレハブに戻ってくるとまだ健太はその場に立ち尽くしていた。
「降りて確認するしかない…か?」
「まあそうなるわな」
「うをっ」
いきなり話しかけたから驚かせてしまったみたいだ。こう見えてよっすーは案外チキンだからな。俺がついていないとほんと自分から動かねーし。
「俺もついてこうと思ってな、ほら懐中電灯。あと…軍手?それと水と携帯食料持ってきたわ」
「懐中電灯はわかるが、他はなんでだ…」
「え、こういったとこはいるなら少しぐらい準備したほうがんいいんじゃないかなーと?」
どうやら準備をしてきたことは正解だったみたいだ。俺とよっすーはその地下へ降りて確認をすることになった。さてさて、一体何が出てくるのやら少しだけ楽しみだ。
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