第398話 指名依頼達成報告

 ようやく騎士組の相手が終わったケビンは、イルゼたちの相手をするべくそちらへと向かう。


「ケビンさん、休まれなくて大丈夫なのですか? 5人もお相手をなされてること自体信じられないのですが……」


「ああ、全然大丈夫。いつも朝までやったりするから」


「「「「……はい?」」」」


 ケビンによる朝まで体験談を聞いてしまったイルゼたちは、その性欲の強さと持久力に戦慄するのだった。


「あの……普通は1回出されると終わりますよね? あいつらも1回で終わっていましたし、私たちはこの身1つだったので1回で終わらず何人もの相手をさせられて何回もされましたが」


「若いからね。あいつらっておじさんだろ? 枯れかけの出がらしとは基本的に性能が違うよ」


「その……お手柔らかにお願いします」


「朝まで寝かせないからね」


「「「「……え!?」」」」


 こうしてやる気に火のついたケビンは早速イルゼからお相手を始めて、4人とも抱いてしまうのだった。


 その後ひと息ついたケビンのところへ復活している騎士組が群がると、次々にケビンへ襲いかかっていく。


 そしてしばらく全員での熱きバトルが終わると満足した女性たちはそのままに深い眠りへとついて、女性たちが全員満足してダウンしたのでケビンも復活させることなく素直に寝ることにしたのであった。



◆ ◇ ◆ ◇ ◆



 翌日、目が覚めたケビンは女性たちを起こしたら魔法で綺麗にしてみんなで朝風呂を満喫する。


 それからロナとプリモを起こして全員で食事を摂ったら、盗賊たちが占拠していた村へと転移するのであった。


 幸いなことに売り物にならない衣類等には手をつけられておらず、全員が村人服装を手に入れることができたところで、ターニャたち騎士組へアジトで回収しておいた騎士装備を渡して装備させた。


 そして準備が終わったところで全員を引き連れて、王城にあるケビン用客室へと転移する。


 客室についたケビンは使用人を呼ぶために通路へ出ると、用意されていたベルを鳴らして誰かが来るのを待った。


 やがて駆けつけた使用人にヴィクトール国王への取り次ぎを言付けて、室内へ戻るとのんびり待つことにする。


 謁見の間にでも通されるかと思っていたケビンがしばらく待っていたら、国王夫妻と大公夫妻が客室に現れて依頼を達成したケビンを先ず労うと、そのあとは腰を落ち着けて報告をすることになった。


「先ず騎士たちを救ってくれたことを感謝する。お前たちも無事で何よりだ」


「はっ、勿体なきお言葉」


 ターニャたち騎士組はヴィクトールたちが現れた時点で膝をついており、それを見たイルゼたちも見よう見まねで同じような格好をとると何もわかっていないプリモだけはポカンとして立っていたが、ヒラリーが言いつけてわけもわからないままヒラリーと同じ体勢になる。


「お母さん、あの人だれ?」


「プ、プリモ!」


 唐突に指をさして誰かと問うプリモに対してヒラリーは顔面が蒼白となり気が気ではなく、すぐさま平伏するとヴィクトール国王へ謝罪するのだった。


「ど、どうかお許しを。私の命だけで何卒ご容赦を」


 必死に謝罪するヒラリーに対してヴィクトール国王が言葉をかける。


「構わぬ。たかだか子供の言うことに一々目くじらを立てて不敬罪にしようものなら、ここにいるケビンから叱られてしまう。そなたも一緒にいたのなら知っているのだろう? ケビンのその辺が無頓着なのは」


「寛大なご処置、あ、ありがとうございます!」


「お母さん、何かしてもらったの?」


「王様に許してもらったんだよ」


 自分の取った行動が不敬罪に当たるなど露ほども理解していないプリモへケビンが説明すると、プリモは勘違いをしたままヴィクトール国王へお礼を言う。


「王さま、お母さんを許してくれてありがとう」


「はは、素直な良い子ではないか」


「プリモは良い子だよ。お母さんの言うことちゃんと聞くもん」


「ところでケビン君、その抱いている子は誰の子なの?」


 プリモの言葉が場を和やかにすると、マリアンヌはケビンの抱いている子のことが気になったのか尋ねるのだった。


「この子は盗賊たちから酷い目に合わされて心が病んでいるんだよ」


「え……?」


「パメラよりも状態が酷くてね。色々と介助しないと生きることが難しいんだ」


「どういうことかしら?」


 それからケビンは村が盗賊たちに乗っ取られていたことや、女性たちが盗賊たちの慰み者になっていたことをヴィクトール国王たちへ告げていく。


 その内容を聞いてヴィクトール国王たちは怒りを顕にしたが、ケビンが既に制裁を加えてゴブリンやオークの巣へ放ったことを伝えた。


 ヴィクトール国王たちは死罪となるよりも酷となる仕打ちに表立った怒りを鎮めるが、燻った感情が心の内に残る。


「そういえば第3騎士団ってどうなってる? まだ捜索中なら知らせた方がいいよね?」


「第3騎士団はケビンが依頼を受けたから出発はさせずに、その日のうちに通常勤務へ戻したのだ」


「そっか。あとでアジトの場所を地図で教えるから後処理を頼んでもいい?」


「ああ、それくらいは構わんよ」


「それと、もう村の復興は移住させない限り無理だから、女性たちは俺が連れて帰るね」


 ケビンの言葉を受けたヴィクトール国王は、女性たちへ体を向けると頭を下げて謝罪する。


「君たちの惨事に気づかぬ至らない国王ですまない」


「あ、あ、頭をお上げください、陛下!」


 ヴィクトール国王の思いもよらぬ行動に度肝を抜かれたイルゼたちだったが、我に返ったイルゼが慌てて対応してあたふたした。


「次は第4班のみんなを連れて帰りたいんだけど、まずいよね?」


「ターニャは確かケビン君のお気に入りの子よね? 他の子はどうして?」


 マリアンヌは以前にサラから聞いた話を覚えておりターニャに関しては納得ができたのだが、他の班員たちについてはどういうことなのかサッパリだった。


 これに対してケビンが伝えたのは、ターニャたちも睡眠薬で眠らされて盗賊たちに捕まっていたという事実だった。


「もしかして……」


 マリアンヌに限らず他の者たちも、盗賊に女性が捕まればどういう目に合うか理解しており最悪の想像をしてしまうが、ケビンがそうではないと説明をする。


「いや、奴隷として高く売るつもりだったらしくて襲われてはいないよ。ただ、裸にされて隷属の首輪がつけられてた」


「……そうなのね……」


 襲われていないだけマシとは言っても、好きでもない男性に裸を晒す目に合っておりマリアンヌは力なく答えるのである。


「で、救助のためとは言っても俺は裸を見たわけで、さすがにそのまま放置にはできないから5人とも連れて帰りたい」


「それがいいわ。盗賊たちに捕まって襲われていないとわかっていても、貴族たちは外聞を気にするから今後結婚をすることは難しいでしょうね。最悪一生を独身のまま過ごすことになるわ」


「そうじゃの。盗賊に捕まった時点で穢されたものとしてみなすからの」


「うむ、第4班の者たちについてはケビンに任せよう」


「それでなんだけど、俺が彼女たちを気に入って報酬として強引に引き抜いたって形にしてくれる? それなら盗賊に捕まった云々の話を表に出さなくて済むし、彼女たちも同情の目で見られることもないよね?」


「それではケビンの印象が悪くなるではないか」


「別にいいよ。彼女たちが何か言われるくらいなら、俺が節操のない女好きって言われた方がまだマシだ」


「ケビン君……」


「ターニャさんたちだって同僚たちから同情の視線を受けるより、笑って別れを告げたいだろ?」


「……カッコつけすぎだよ……」


 ターニャたちがケビンの優しさで涙していると、ケビンとヴィクトール国王たちはどういう状況で第4班を救い出したのか偽話を詰めていく。


「それじゃあ森を探索中に盗賊を見つけて、一刻も早く女性たちを救い出すために報告を怠ったという感じでいいかな?」


「ふむ、そこは村についた時には既にもぬけの殻で、森へ入って行く盗賊らしき者を見つけて森への探索に向かったということにしておこう。報告を怠った点は最悪を想定して、同じ女性として気が急ったということにしておこう」


「そして盗賊らしき者を尾行していたらアジトを見つけたから、少しずつ誘き出しては始末して交戦していたというところかの」


「そこへケビン君が到着して一網打尽にして村の女性たちを救い出した。怒ったケビン君が盗賊たちをゴブリンやオークの巣へ放り投げて、殺されたあと食われたということにしておきましょう」


「それから盗賊たちは始末をしたけどアジトはそのままだから事後処理を頼んで、今回の報酬として第4班の子たちを気に入ったから他国の騎士だけど強引に引き抜いたってことにするのですね」


 ひと通りの話し合いが終わると、ヴィクトール国王はケビンへニヤリとしながら話しかける。


「しかし、こういう悪巧みは楽しいものがあるな。特に誰かを傷つけるものではないしな」


「そうだね。誰かを救う悪巧みならこれから先もしていけば、義兄さんの生活はもっと楽しくなると思うよ」


「ヴィクトールがハマらないように目を光らせておくのよ?」


「はい、お義母様」


 それから少し談笑をしたケビンたちだったがヴィクトール国王は執務へ戻り、ターニャたちは別れを告げに騎士団へと挨拶へ向かって、村の女性たちをイスへ座らせると残ったメンバーで引き続き談笑が始まる。


「ケビン君、香水屋を忘れないで開店させてね」


「え……まだ覚えてたの?」


「昨日の今日よ、忘れるわけないじゃない」


「そうですよ。楽しみにしているんですから」


「すまんの、ケビン。取り急ぎすることでもないが手が空いた時にでも王都支店を作ってくれんか」

 

「わかったよ。今は城に帰れない事情があるから戻り次第取りかかるよ」


「あら、何かあったの?」


 マリアンヌの疑問にケビンが包み隠さず答えると、その場にいた大公夫妻が呆れ半分驚き半分になり、ローラや村の女性たちはその所業に戦慄してしまう。


「ケビン君……若いのはわかるけど程々にするのよ」

「凄まじいのぉ……」

「ケビン君はあっちの方も凄いのですね……」


「私たち耐えられるかしら」

「みんなで頑張りましょう」

「あれが1日以上……」

「お姉ちゃん、一緒に頑張ろ」


 そのような時に話に取り残されたプリモが、団結の意志を見せていたヒラリーへと問いかける。


「お母さん何のおはなし?」

「プリモも今度ケビンさんにお相手してもらいましょうね」


「お兄ちゃんが遊んでくれるの?」

「そうよ。気持ちよくなる遊びをしてくれるの」


「やったぁー!」


 娘であるプリモを仲間に引き込もうとするヒラリーを見て、ケビンが慌てて止めに入るのだった。


「ちょ、ヒラリーさん! そんなことしたら俺の社会的何かが失われるだろ」


「大丈夫です。盗賊にされていたので何をされるかは事が進めばわかります」


「いや、そういう問題じゃなくて」


「この子も泣き叫んで嫌な思い出しかありませんので、ケビンさんが塗りつぶしてください」


「んー? おじさんたちがプリモにしてたことをお兄ちゃんがするの?」


「いや、しないからね」


 何とかその場を逃げ切ったケビンは大きく息を吐くと天井を見つめて、異世界の性教育事情に戦慄するのであった。

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