第289話 モフモフとステータス確認

 翌朝目覚めたケビンは、5人からキスをされて朝の挨拶を受ける。


「おはよう、朝食は食べられそうか?」


「はい、ご主人様のお陰でだいぶ気持ちも落ち着きました」


「よし、それなら部屋へ転移させるから着替えたら食堂に来るんだよ」


 それからケビンはそれぞれの部屋へ転移させると、自身も朝食を食べに行くために着替えてから食堂へ向かうのだった。


 そして朝食後は憩いの広場にて昨日の続きとなり、今日の1番はジェシカが取ったようである。


「ジェシカ? どうしてそこに座ってるんだ?」


 ジェシカは対面のイスに座るでもなく、ケビンの上へ向かい合って座っているのだった。


「昨日、ご主人様が落ち込んでいるのに癒せませんでしたから、モフモフしながらステータスを見てください」


 ジェシカの献身にケビンは胸を打たれて、その言葉に甘えるようにモフモフし始める。


 ケビンが耳を堪能し始めると、連動するようにジェシカからも声が漏れだした。


「んっ……ど、どうですか? お風呂だと濡れちゃうから……あっ」


「フサフサのフワフワだ」


「良かったです……んっ……お手入れしたかいがありました」


 耳を堪能していたケビンがふと思いつく。お風呂ではお湯の中だったしっぽの触り心地はどうなのだろうかと。そして思い立ったが吉日と言わんばかりに、しっぽへと手を伸ばして触りだした。


「ッ! ダ、ダメ……そこは……んあっ……」


「凄いフワフワだ。この手触り……たまらない」


「ご主人さま……ご主人さまぁ……んん……くるっ――!」


 しっぽへのモフりでジェシカが達してしまうと、ケビンにしなだれかかってビクンビクンと痙攣してしまう。


「あ……またやってしまった……」


 とりあえずステータスでも見ようと、ケビンはジェシカが落ちないようにしっかりと支えてあげるのであった。




ジェシカ

女性 14歳 種族:兎人族

身長:152cm

スリーサイズ:88(E)-58-90

職業:奴隷、ケビン専属の癒し担当

   マジカル商会従業員、嫁会議傍聴者

主人:ケビン

状態:余韻に浸り中

備考:皇帝の奴隷だったがケビンに救われる。本来獣人族の耳としっぽは家族か伴侶にしか触らせないが、救ってくれた恩に酬いるためにケビンに触らせてみると、思いのほか触り方が上手く虜となる。


スキル

【家事 Lv.2】【農作業 Lv.3】

【人参栽培 Lv.4】【毛づくろい Lv.4】


加護

うさうさの加護


称号

人参大好き

モフられ中毒




【人参栽培】

 人参を作るためのノウハウ。美味しさはスキルレベルに依存する。


【毛づくろい】

 耳としっぽを毛づくろいするのが上手くなる。仕上がりはスキルレベルに依存する。


うさうさの加護

 うさぎ神の加護。人参作りが成功しやすくなり、栽培に関するスキルが限界突破できる。


人参大好き

 人参が好きすぎてたまらない人。3度の飯より人参。人参だけでも生きていけると本気で思っている。


モフられ中毒

 ケビンによるモフモフの虜となってしまった者。モフられている時は至福を感じる。




 ジェシカのステータスを見たケビンは、内容をジェシカに伝えるが本人が聞き取れたかどうかは定かではない。一応「ふぁい」と返事をしていたのでケビンは良しとした。


 ジェシカを別の場所へ移動させると、次なるお相手はまたしてもケビンの癒しとなる存在であった。


「次はオリビアか」


「はい……」


 オリビアはイスへ座らずにケビンの前でモジモジしていると、ケビンが少し頭を傾げて合っているかどうかわからないが一言告げた。


「おいで」


「はい!」


 満面の笑みを浮かべたオリビアがケビンの上にまたがると、ケビンはジェシカの時と同様に今度は羽をモフりだす。


「ぁ……ご主人様、どうですか?」


「スベスベしてて気持ちがいい」


「んっ……良かったです……」


「それじゃあ見てみよう」


 ケビンは先程のようなことにならないよう、自制しながらステータスを確認し始めるのであった。




オリビア

女性 15歳 種族:サキュバス族

身長:148cm

スリーサイズ:86(F)-56-86

職業:奴隷、ケビン専属の癒し担当

   マジカル商会従業員、嫁会議傍聴者

主人:ケビン

状態:モフられに浸り中

備考:皇帝の奴隷だったがケビンに救われる。人間から忌み嫌われる魔族であるため、幼少からの教育により自分は気持ちの悪い生き物だと思っている。


スキル

【夢精 Lv.1】【催淫 Lv.1】


魔法

【闇魔法 Lv.2】


称号

童顔

モフられ中毒




【夢精】

 夢の中で精気を採取する能力。


【催淫】

 色欲を高めるための能力。


童顔

 何歳になろうともその顔は幼顔である証。




(夢精に催淫……本当にサキュバスなんだな)


 ケビンがサキュバス特性のスキルを目にして考え込んでいると、無意識のなせる技か、羽をモフっていた手は自然とフリフリしているしっぽへと伸びていく。


「あっ!」


 しっぽを掴まれてしまったオリビアは、ビクッと反応してしまい為す術なく快楽へ堕とされていくのである。


「んっ……ご主人様……ダメです」


 オリビアの声など聞こえていないのか、ケビンの手がしっぽを堪能し始めると、オリビアの嬌声も一段と高くなっていく。


「そ……そんな……んんっ……」


(闇魔法は相手を眠らせるためか?)


「む……むり……ダメ……あっあっ……い、いっ――!」


 オリビアがビクンと体を跳ねさせてケビンに力なくしがみつくと、押し寄せる小刻みな余韻にその身を委ねる。


 そこまできてようやくケビンも自分の手がしっぽを掴み、オリビアに絶頂を与えていたのだと気づいてしまう。


「あ……」


 やってしまったことは仕方ないと早々に諦めたケビンは、ステータスの中身を説明しながらオリビアが落ち着くまで抱いたまま時を過ごした。


 ケビンがオリビアを別の場所へ移動させようと抱き上げて歩き出すと、いつの間にか憩いの広場に毛布が敷かれて、そこには寝そべっているジェシカの姿があった。


「何これ?」


 ケビンの疑問に答えたのはケイトである。


「貴方が女性を気持ちよくさせちゃうから、急遽簡易的な休憩所を作ったのよ。柔らかい絨毯の上だから別になくてもいいと思ったけど念の為ね」


「すまん、助かる」


「いいのよ。まだまだ被害者は出そうだから」


 そう言うケイトの顔はどこか悪戯っぽく微笑んでいて、ケビンはバツが悪そうに視線を逸らすしかできなかった。


 次にケビンの前に来たのはこれまた人間とは別の獣人族である。さすがにこうも続けばケビンもおかしいと思ってしまう。


「ん? 何か意図的なものを感じるが……」


「貴方が昨日落ち込んでいたでしょう? みんな貴方を癒してあげたいと思ってるのよ。耳とかしっぽが好きなのでしょう?」


「それはそうだが……」


「ご主人様は嫌かにゃ?」


「『にゃ』!? 『にゃ』だと……」


 目の前の猫人族であろう獣人は悲しげな顔を浮かべていたが、ケビンはそれどころではなかった。


「にゃ?」


 首を傾げる猫人族は一言で言い表すなら“あざとい”。これが的確な言葉となるだろう。


 ケビンがすぐさま抱き上げて自分の上に座らせると、気になる語尾について尋ね始める。当然ケビンの手は耳をモフモフしていた。


「何で語尾に『にゃ』がつくんだ?」


「んっ……それは昔――」


 猫人族の子が言うには、自身の故郷を訪れた勇者一行の1人が自分たちを見て、『語尾にはそれぞれの種族の特性をつけるべきだ、常考!』と熱弁をふるった経緯がある。


 当時の獣人族は困惑したが勇者をもてなす一環として少しずつ語尾に種族の特性をつけ始めると、今となってはそれが当たり前と思考が改変されてしまい、ほとんどの者が語尾に何かしらつけて話しているのである。


 だが、中には語尾に何もつけず話す者もいるみたいで、人間の集落へ向かうと視線を浴びてしまい恥ずかしいからだった。そういう者たちは人間社会へ出た時は語尾を普通に戻しているのだ。


「そういうことか……」


 ケビンは謎が解けるとステータスの確認を始めるのだった。




ミケイラ

女性 15歳 種族:猫人族

身長:157cm

スリーサイズ:82(C)-54-81

職業:奴隷、ケビン専属の癒し担当候補生

   マジカル商会従業員、嫁会議傍聴者

主人:ケビン

状態:初のモフられに悶え中

備考:皇帝の奴隷だったがケビンに救われる。語尾に種族特性の『にゃ』をつけて話している。癒し担当のグループに入ることをケイトに志願している。


スキル

【キャットアイ】【毛づくろい Lv.3】

【狩猟 Lv.2】【顔洗い Lv.2】


魔法

【風魔法 Lv.1】


称号

猫目




【キャットアイ】

 夜の暗がりの中でも少しの光さえあれば見通すことができる。


【狩猟】

 獲物を狩る能力。成功率はスキルレベルに依存する。


【顔洗い】

 顔がムズムズしてくると雨が降るかどうか判断できる。的中率、降水確率はスキルレベルに依存する。


猫目

 目尻が少しつり気味で二重の大きな目をしている者。




(顔洗いか……鍛えれば天気予報に使えそうだな)


「ご主人さまぁ……にゃ……にゃ……にゃあぁぁ――!」


「あ……」


 こうして学習しないケビンは、またしてもモフられ被害者を出してしまうのであった。


 その後は他の奴隷たちのステータスを確認していくのだが、今までの流れからケビンが何かをしてくれると期待されてしまい、それぞれの抱える悩みを解決できるものは解決する悩み相談と化していた。


 ちょっと場所的に無理だったものは、抱っこして頭を撫でたら満足したようで不満があがることはなかった。


 そして働ける奴隷たちのステータス確認が終わったら、配置を店員側と製作側で割り振り、店員側はもう部外者と話しても大丈夫なぐらい精神が回復した者を優先的に選んでいき、製作側はまだ人前に出られない者たちを優先的に選んでいく。


 外には出られるが部外者とはまだ喋れない人たちは、工場と店の間で荷物運びをしてもらうことになった。


 開店へ少しずつ形が整っていく中で、ケビンは商業ギルドへ赴いて帝城周りの空き地を買い取るために調べてもらうと、まだ誰も手をつけていなかったことがわかったのだった。


 その理由が旧皇帝チューウェイト新皇帝ケビンの戦いで城が破壊されていくのを見た者がいて、その力が恐ろしくなり周りに家を建てて怒りを買いたくないということだったのだ。わざわざ別の場所の土地を買って引っ越した貴族もいるらしい。


 そのお陰で土地の価格は買い取り手がいないということで地価が下がっていき、ケビンが安くなった帝城周りの空き地を全て買い取ることで、商業ギルドも不要物件の処理ができて得をして、ケビンも安く土地を手に入れて得をするというウィン・ウィンの関係が成り立って、ケビンは帝城周りの相当な広さの土地を自分のもにするのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る