第17話 サポナビとの確認作業?
変なシステムとのやり取りがひと段落して、俺は肝心なことを聞き出すことにした。
『ステータスの各項目の詳細が知りたいんだけど、どうやったらいい?』
『それは【創造】を使ってそういう仕様に変更したらいいのです。そうすれば、思いのまま確認ができます』
『ステータスを見ても詳細がわからないのは、デフォルト設定ってことか』
『そうなります。そもそもこの世界の人たちは、詳細を知ろうとはしませんから』
『それは何でだ?』
『ステータスを確認するのは教会へ行くか魔道具が必要だからです。確認するだけでも面倒なのに、そこから一々詳細を知ろうとはしません。それに、大体のスキルは見れば効果ぐらいは想像できますから。スキルを使おうとした時点で感覚的にどんなものかわかるんですよ』
『そういうものか』
『そういうものです。詳細を知ろうとするのは、異世界人ぐらいなものです。この世界に来て、右も左もわからない状態ですから』
納得だな。確かにこの世界の人たちにとっては、ステータスの中身は当たり前のことだしな。学校もあるし、そういう教養も自然と身につくのだろう。
『今の俺に【創造】を使って仕様変更することは可能か?』
『私がサポートすれば可能です。そもそもその為に造られましたから』
『そういえば、サポートナビゲーションの造られた経緯って聞いてないな。ソフィが造ったのは聞いたが』
『ソフィーリア様が今回の《洗礼》の際にケビン様の事を想って【創造】をお使いになる時に困らない様にと、サポートシステムとナビゲーションシステムを統合して創り、プレゼントなさったのです』
洗礼の時って、あの短時間でそんなもの創ってたのか。流石はソフィだな。万能過ぎる。
『じゃあ、ステータスの仕様変更したいからサポートしてくれ』
『だが断る』
『……』
『このサポートナビゲーションシステムが最も好きなことのひとつは、自分で強いと思ってるやつにNOと断ってやることだ……』
『チェ――』
『ちょーーっと待ったぁぁぁぁぁ! 今、チェンジって言おうとしてませんでした? 寧ろ言おうとしてましたよね?』
『そんなわけないだろ。「ちぇっ」って舌打ちしようと思っただけだ』
『絶対嘘です! 嘘ですよね? わかってるんですよ!』
『言われたくないならネタに走って断るなよ。面倒くさいだろ』
『そこは断固抗議します。ケビン様もソフィーリア様に対して言ってましたよね? 私知ってるんですよ』
『何故お前が知っている』
『万能空間で調べたからです。マスターとなる人がどの様な人物なのか知りたかったから。いやあ、短時間で調べるのに苦労しましたよ』
『それはいいから、サポートするのかしないのかハッキリしろ』
『その前にマスター登録をしたいので、名前を付けて下さい』
『マスター登録? それすると何かあるのか?』
『色々と特典が付きます。より、サポートしやすくなるのです』
『本当か?』
(ふっふっふっ、さっきのは心底チェンジって思ってたから危なかったですけど、防いでやったし名前さえ決まってしまえばいくらチェンジを使おうとも固定されてしまうのでこっちのもんです。ざまぁってやつです)
『おい、心の声がダダ漏れだぞ』
『なっ!』
『お前、馬鹿だろ? 思念で会話してるんだから、思っていることは隠さない限り全て筒抜けだぞ。それにしても……そうか、“ざまぁ”なのか』
『い、いやぁ……さっきのはほんの出来心でして、旦那の事は尊敬していやすとも。へへっ』
『口調すらおかしくなるくらいに動揺してるってことは本心だな。三下口調に合わせてお前の名前も三下風にしてやる。光栄に思え。名前は“
『イヤァァァァァッ! それだけは勘弁してつかぁさい。他のでお願いします。何卒、何卒ご慈悲を』
『じゃあ、“
『まさかの侮蔑的なジャンルから抜け出せてない!? せめてまともな名前を付けて下さい。お願いします』
『ワガママなやつだな。そんなに嫌なのか? 名は体を表すとも言うんだぞ』
『表しすぎて無理です。寧ろストレート過ぎます』
『しょうがない。お前の名前は“サナ”だ。いいな? もう変更は受け付けないぞ』
『へっ? まさかのまともな名前? あと何回かは落としてくると思ってたのに。サラッといい名前を決めてくるなんて、そこにシビれる! あこがれるぅ!』
『はぁ……やっぱりお前のマスターになったのは失敗だったかな』
『そんなことないよ。これからもよろしくね、マスター♡』
こうして何1つステータスの詳細解明には至らず、《サナ》というサポートナビの相手をしていただけで、俺はどっと疲れるのであった。
名前の由来は考えるのが面倒くさいから《サポートナビゲーション》の頭文字を取っただけというのは、心の内に秘めておこう。本人も喜んでるみたいだし……
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