ひんやり、グラマラス。

 テーマは「ひんやり」、超・妄想コンテスト参加作品です。


      *




 しいたけのカサっていつひらくのだろう。


 スーパーからの帰り道、自転車をこぐ。

 肌に突き刺さる陽射しが痛い。

 うだるような暑さでもなければ、からっとしてさわやかなわけでもない。

 『おはようテレビ』のお天気コーナーで夕立になるかもって言ってたのに。


 何を作るか決めていたはずなのに、何を作るか考えている。

 あの人は食事をしてから帰るのだろうか。

 そんな馬鹿げたことを考えてしまうほど、私の心は揺れていた。



 話があると言われた。

 そう、とだけ答えた。



 ひとり残されたテーブルに冷たいおかずが並ぶ。

 もう、二ヶ月くらい前からなんとなく感じていたのに。

 ひんやりとした想いで胸がはちきれそう。


 しいたけのバター炒めは、いつもよりほんの少しだけしょっぱかった。




               ― 了 ―

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