第385話 ピリピリした空気

四季島「さて、それじゃ南城さん達には2回目になるけど説明しようか」

どんな反応するのかな

変に責任とか感じなきゃいいけど


妹「あ、あの、私は」


四季島「妹ちゃんは、あの人について行ってね」

手を振っているのは、白衣を着た女医さんだ


妹「は、はい」

テトテト歩いて女医さんの元へ行くと、少し会話してコッチをチラ見し案内されるまま付いて行った

大丈夫かな……


俺「さて、俺は……あの人か?」

前に会った事ある気がするな


四季島「そうだ。それと、お前は諦めてしまったとしても…俺は、俺達は絶対に諦めないからな。忘れるなよ。お前の家族がお前の帰りを待ってるって事を」

あー、はいはい


俺「んじゃ、行ってくる」

白衣を着た男性が、俺を案内してくれるけど

多分、この人は医者じゃなくて……研究者だと思う

白衣から匂う消毒液以外の薬品臭が、その証拠だ









男に連れられて、検査室に行き




採血、レントゲン、CT、MRI、DNA採集……その他色々な検査を終えたら、2時間半も経過していた


俺「ずいぶんかかったな」


今度は紺のスーツを着た男性が、俺をみんなの所へ案内してくれた


「こちらです」

ノックをすると、中から四季島の声が返ってきた


四季島「入れ」

男の人がドアを開けてくれて、俺だけが入室する


長机が並べられた部屋では、イライラした友人たちが待ち受けていた


俺「うわぁ……」


妹「お、おにぃ」

心細そうに声をかけてきた妹の隣に座って、四季島を見る


この状況、どうしたんだよ!!


四季島「あ~、この場にいる全員がこいつの特異な体質を把握した所なんだが。改めて、言わせてもらおうと思う。俺はこいつ名前無しmobへ戻そうと思う」

でも、戻すって言っても方法が無いだろ?


東雲「だから、何で頑なに名前無しmobへ戻そうとするの?それを彼が望んでるの?」


四季島「望んでいるか、望んでいないかは関係ない!俺がそうしたいから、そうするんだ」


東雲「そんな身勝手が許されるわけないでしょう⁉」


四季島「そうだとも、俺は身勝手だ。君にいくら罵られても、俺は考えを変えるつもりはない」


東雲「んなっ⁉あのねっ!」


ヒートアップしてんなぁ


俺「あのさ、ちょっといい?」


東雲「ほら、本人が文句を言いにきたわよ?」

いや、文句なんてないよ?


俺「確認したいんだけど、南城さん、堀北さん、仁科さんはどう思ってるの?」

このままの方が良いって言ってくれたりはしない?


南城「私は……知らない」

まだ怒ってるみたいだな


堀北「私は、そうね……個人的な意見でいいなら。私は元の彼に戻ってほしいわ」

そっか


仁科「私は、よく分からないかな。今まで通りできるなら、無理に戻らなくてもいいけど」

中立か


って事は

名前無し派は妹、四季島、堀北さん


名前持ち派は東雲さん


中立が仁科さん


南城さんが回答拒否したからなぁ



名前無し派が半数なら、その意見に従う方がいいかな


俺「皆の気持ちは分かったよ。それじゃ、四季島には頑張ってもらおうか」

名前無しに戻したいって、そう思うならきっと並々ならぬ努力をするだろうし

その努力の先に、希望が無くてもきっとコイツは大丈夫だからな


東雲「君は戻りたいの?」

う~ん……


俺「どうかな、どっちでもいいかな」

どうなろうと、俺は俺だし


東雲「そう。君が決めないなら、私にはもう何も言えないわ」

自主性とか主体性が無くてゴメンね


四季島「話はまとまったな。なら、早速いくつかの薬を試そう」


東雲「私達はもう帰っていいかしら?」


四季島「ああ、勿論ウチの車で送ろう」



四季島の病院から皆はそれぞれ送ってもらい


俺は四季島に連れられて、病棟へ向かった

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