第79話 スーパーへ買い物へ

昼飯を無理やり口に突っ込み片付ける

慌ただしく保健室を後にする


駆け足で教室へ戻り

午後の授業の支度をし席に着く


ふぅ、なんとか間に合ったな












無事に午後の授業を終えて帰り支度をする


堀北「帰る?」

特に予定はないし……あ、最近部室行ってないなぁ……

ま、いっか


俺「そうだね。帰ろっか」

ま、明日にでも顔出しに行こう


堀北「どっか寄ってく?」


俺「あ~、それなら寄りたい所あるんだけど」

スーパーでプリンの材料を買っておかないとな

妹に作るって約束したしな


堀北「どこかしら?本屋さん?ゲーセン?」

あはは

確かに寄り道っていうとソッチだよなぁ


俺「ごめん。スーパー行きたいんだけど、いいかな?」

さすがにダメかな


堀北「スーパー?」

そりゃ、ポカンってするよな


俺「妹にプリン作る約束しててさ、明日でもいいんだけど念の為今日のうちに行っておきたいんだ」


堀北「いいわよ。スーパー行きましょ」

おお、ありがてぇ


俺「ありがと。助かるよ」

堀北さんと俺はカバンを持って教室を出る

どうやら南城さんは今日は堀北さんに遠慮してるみたいだ



学校を出て真っ直ぐスーパーへ向かう


俺「ごめんね、付き合わせちゃって」


堀北「いいのよ。私は一緒にいるだけで幸せだから」

笑顔を浮かべる堀北さんは、本当に幸せそうだ


俺「サクッと買い物終わらせて、家でゆっくりしよ」


堀北「ふふ、そうね」


スーパーへ入って材料を選ぶ

通路を二人で歩いていると

試食販売の店員さん(おばさん)が声をかけてきた


店員「お一つどうぞ~」

爪楊枝に刺さったウインナーを差し出され、つい受け取る

ま、食べてみて美味しかったら母さんに教えておこう


店員「そちらの可愛い子もどうぞ~」

堀北さんにも、ウインナーの試食を渡す


少し冷ましてから口に放り込む

もぐもぐもぐ……う~ん?

美味いけど……特別何かが違うって訳じゃなさそうだな……


店員「それにしても、お若い夫婦ですね~」

……なんつった⁉

夫婦⁉


堀北「えっと……夫婦に見えますか?」

見えない見えない!

だって制服着てるんだぞ⁉


店員「ええ、素敵ね~。旦那さんが一緒に買い物に来てくれるなんて……羨ましいわぁ」

羨ましいって部分だけやたら感情が籠ってるなぁ


堀北「……その、ありがとうございます」

いや、否定しないの⁉


俺「冗談はその辺にしてくださいよ。じゃないと、買う気が無くなりますよ?」

ま、元々買わないけどね


店員「照れちゃって可愛いわね~」

まだ言うか……


俺「はいはい。それじゃ、さようなら」

店員の元から離れる


堀北「ふ、夫婦……ふふ……」


俺「堀北さん?さっきのアレはセールストークだから、真面目に受け止めちゃダメだよ?」


堀北「そう、なの?」


俺「そうなの。堀北さんってあんまりスーパーとか行かない?」


堀北「そうね……。念の為に言っておくと、スーパーに行き慣れてる学生ってあんまり多くないと思うわ」

……そうか?


俺「もしかして、俺ってちょっと変わってる?」

まさかね?

mob of the mobの俺が変わってるなんて

そんなこと……


堀北「え?自覚ないの?」

自覚とは、何の自覚だろう……

俺はザ・一般人だよ?

若干オタクだけどさ


堀北「お菓子作りが趣味で、お料理作れて、スーパーでの買い物に慣れてる男子高校生って普通かしら?」

……そいつはちょっと変わってるかもな


俺「そんな奴いるのか?変わってる奴だなぁ」

よくよく考えると、まったくもって変わった奴もいたもんだ

俺の趣味はアニメ鑑賞だし、買い物も殆ど親に頼まれて行く程度だからなぁ


堀北「君って時々天然よね……」

天然?

パーマかかってるかな?


俺「さて、買うモノは揃ったからレジ並んでくるね」

堀北さんと一旦分かれてレジへ向かう


堀北「出口の辺りで待ってるわ」







レジで精算し、マイバッグに買った物を入れる

よし、そんなに重くないし大丈夫そうだな


前にセールで買い過ぎて重くて苦労したからな

俺はその時、学習した

安いからと言って、必要以上のモノを買うのは愚策だという事を……


カバンとマイバッグをそれぞれ肩にかけて堀北さんと合流する


堀北「そのバッグ、持ってきてたの?」


俺「いや、いつもカバンに入れてあるんだ。母さんからお使い頼まれたりするし」


堀北「常備なのね……」

何かおかしいかな?


俺「そんな事より帰ろう」


堀北「ええ、そうね」








二人で俺の家に入ると、仁王立ちの妹が出迎えてくれた

なんか前にもあったな、こんなの


俺「ただいま」


堀北「ただいま、妹ちゃん」


妹「おかえり、おにー。、春香先輩」

ん?

ああ、確かに堀北さんはここに住んでるわけじゃないから

いらっしゃいませの方が正しい……のか?


妹「おにー、この後何するの?」


俺「そうだなぁ、とりあえずゆっくりするかな。あ、プリンは明日作るからな」


妹「うん。後で部屋行っていい?」


俺「いいぞ?でも勉強はいいのか?」


妹「うっ……多分大丈夫だよ!今ちょっと分かんないトコあるから休憩してるだけだし」

わかんないトコあるのか……

俺で教えられるトコだといいんだけど


俺「何の教科だ?」


妹「数学……」

数学かぁ……まぁ、何とかなるかなぁ


俺「荷物置いたらお前の部屋行くぞ」


妹「教えてくれるの⁉」


俺「ああ、俺に分かればだけどな」


妹「やった!それじゃ部屋で待ってるね!」

階段を元気に駆け上がる妹を見送る


俺「ごめん、堀北さん」


堀北「よく妹ちゃんの勉強見てあげるの?」


俺「いや、たまーにね。アイツが分かんない所を聞いてくるから、俺の分かる範囲で教えてるだけなんだ」


堀北「妹想いなのね」

またこの流れか⁉


俺「シスコンとかじゃないからね⁉」


堀北「別にそんな事思ってないわよ?でも、君の教えてるトコ見たいから付いて行っていいかしら?」

お客さん堀北さんを一人で放置するわけにもいかないし……

堀北さんがいれば俺が教えられないトコも頼めるし


俺「うん。一緒に行こ」

あいつも、堀北さんがいるんだから

わざわざ俺に頼まなくてもよかったんじゃないか?

前に勉強教わった時は、どんな感じだったのかなぁ


俺は買った材料で冷蔵しなきゃダメなモノだけ冷蔵庫に入れて

一度俺の部屋に行きカバンを置いて、筆記用具とかを持って妹の部屋に入る


俺「おーい、来たぞ~」

ガチャっとドアを開けると、妹が何故か着替えて待っていた

さっきまで制服だったのに、ラフな部屋着になっていた

早着替えだなぁ


俺「そんじゃ、始めるぞ。どこが分かんないんだ?」


妹「おにー、何で春香先輩までいるの?」

何言ってんだよ


俺「当たり前だろ?お客さんを一人には出来ないんだから」


妹「ぶー……」


俺「そんな事より、何処がわからないんだ?」


妹「ココなんだけど」

あ~……コレ苦手なやつだ

公式覚えるのメンドクサイんだよなぁ

えーっと……なんだっけ……?


俺「えーっと……」

考えろ、思い出せ

確かに習った内容なんだよ

ココまで出てきてるんだけどなぁ

だめだ……思い出せない……


俺の反応を見て妹も察したみたいだ

妹「もう少し自力で頑張ってみるね」


俺「頼りにならなくて、すまん」


妹「いいよ」


堀北「あの、私で良ければ手伝うわよ?」

頼っちゃっていいのかな?


妹「でも」


堀北「いいのよ?朝の事も気にしないでね」

朝のこと?

何かあったっけ?

………………!


俺「ああ、キツイ」

ってやつか

妹が堀北さんを揶揄うネタの


堀北「私だって君に言われたら傷付くからね⁉泣くわよ⁉」

うぇ⁉

口に出てた⁉


俺「ごめん!」


妹「イチャつくなら出てってよ……!」

そんなつもりはないぞ⁉


俺「えっと、堀北さん。お願いできるかな?」


堀北「ええ、何処が分からないのかは見てたから」

スッと妹の横に移動し、丁寧に説明してくれる

教えるの慣れてるなぁ

堀北さんが先生役になった妹の勉強は、想定以上の速度で進んでいく

さすが、南城さんに教えてるだけあるなぁ


順調に進んだおかげで向こう3日分のノルマが終わったと、妹は喜んでいた


でも、3日もサボったら……やる気を出すのが大変になるだろうなぁ

ま、今はそんな野暮な事言わないけどさ

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