第41話 遊園地 その12

観覧車から降りて、南城さんを探す

しかし、南城さんの姿は見えない


俺「南城さんいないね」


堀北「そうね、まだお土産見てるのかしら」


俺「とりあえず、見に行ってみようか」


堀北「そうね」


南城さんを探しにお土産の売ってる店へ向かう



すれ違わないように回りをしっかり見ながら行ったが、南城さんは見当たらなかった



2、3店舗ある

ならそのどれかに南城さんがいるはずだ


俺「俺はコッチの店見てくるよ」


堀北「じゃあ私はアッチのお店に行くわ。見つけたら連絡してね」


俺「うん」


二手に分かれ南城さんを探す


えーっと、南城さん南城さんは、っと……

見当たらないな……


店内はそんなに混んではいないし

殆どの客はmobだったから、南城さんと見間違えることもないな


いないな

ってことは堀北さんの方かな


一先ず外へ出てみる

スマホを確認したけど見つけたって連絡は入ってない

もしかして堀北さんの方もハズレ?


スマホを眺めていたら堀北さんが戻ってきた


俺「こっちはいなかったよ」

見ればわかるけど、一応は報告しておく


堀北「私の方もよ」


俺「ってことは、残るはあの店だね」

それならもう見つかったも同然だな


堀北「こっち着いてから千秋にメッセージ送ったんだけど、見てないのよ」

メッセージに気付かない程買い物に夢中なのかな


俺「とりあえずあの店ん中入ってみよう」


堀北「そうね」


二人で入店し南城さんを探す

しかし、南城さんは見当たらない?

おかしいな……

あとは……トイレとか?


堀北「あ!千秋からメッセージ来たわ」

よかったよかった

これで合流できるな

しかし、メッセージを読んだ堀北さんの様子がおかしい


俺「どうしたの?」


堀北「それが、ね」

スマホの画面を俺に見せてくる


千秋 今ジェットコースターの裏

   すぐ来て


と書いてあった


うん?

なんでそんな所にいるんだ?


堀北「なんでそんな所に行ったのかしら」


俺「さぁ……俺たちを待ちわびて一人でジェットコースターにでも乗りに行ったとか?」


堀北「それなら、行く前にメッセージくれると思うわ」

それもそうか


俺「なんで……だろうね」


堀北「何かあったのかしら」


俺「何か?」


堀北「千秋ってば昔から、トラブルに遭いやすいのよ」

トラブル体質かぁ……

そういや昼間も変なのに絡まれたしな


俺「もしかして今回も?」


堀北「可能性はあるわ……」


俺「そっか……どんなトラブルかは?」

二人は付き合い長いし、予想付くんじゃ


堀北「そうね……多分だけど、連れ去られたんじゃないかしら」

連れ去られた⁉

それって誘拐⁉


俺「それって大変なんじゃ」


堀北「そうね。でも、今回は大丈夫そうね」

大丈夫なの⁉


堀北「こうやって、事前に気付けたから助けを呼べるわ」

あ~、なるほど!

南城さんを装ってメッセージが送られて来た場合は、そのまま行っちゃうもんな


堀北「とりあえず、この遊園地の職員さんに手を貸してもらうわ」


堀北さんは店を出て総合案内カウンターへ向かう

俺の出番は無さそうだし、黙って着いて行けば問題無いかな

意外と速足でカウンターへ向かい、すぐに到着する


堀北「すいません」


職員「なんでしょうか?」


堀北「友達が危険かもしれないんです。手を貸してもらえますか?」


職員「はい?」


堀北「友達が危険かもしれないんです!警備の人とかに一緒に来てもらえませんか?」


職員「そうですか、では本部の方へ連絡を入れますので少々お待ちください」

あんまりにあっさりした対応に不安になる

これって手を貸してもらえるのか?


職員「はい…はい…そうです…それで警備を……はい…わかりました」

電話を終えた職員さんは堀北さんに向き合って


職員「残念ながらお客様のご要望を叶えることはできません」


堀北「はい⁉なんでですか⁉」


職員「規則ですので」

規則、か


堀北「友達が、千秋が危ない目に遭ってるんですよ⁉」


職員「すみません。規則ですので」

これは……ダメだ……

この職員さんに何言っても無駄だ

この人は上の決定に従ってるだけだ

警備の人の手を借りるには……本部とやらに直談判しないとダメだ


堀北「そんな……」


黙ってるつもりだったけど……


俺「すいません。本部の人と話させてもらえませんか?」


職員「それは出来ません。規則ですので」

くそっ……それも規則違反か……


堀北さんが何とか手を借りられないか聞いている

そんな時、堀北さんのスマホに新着メッセージの通知音が鳴る


慌てて堀北さんが確認すると

顔を青くした


堀北「千秋……⁉」


悪いとは思うけどサッと画面を盗み見る


千秋 女を無事返してほしかったら20分以内に来い

   さもなければ、二度と人前に出れなくしてやる


こ、これは……不味いことになったな

本部に直談判なんて悠長な事言ってらんなくなった


堀北「行くわ」

キリっとした表情で南城さんがいるであろう方向へ目を向ける


俺「なら、俺も」

全く力にはならないけど……


堀北「いいえ、君は来ないで」


俺「足手まといかな」


堀北「そうじゃないわ……でも来てはダメ。もしかしたら……」


俺「もしかしたら?」


堀北「死ぬわ……これはそれほど危険な相手よ」

死ぬ……?

そんなヤバイやつなの⁉

それなら堀北さん自身も危ないんじゃ


俺「堀北さんは?大丈夫なの?」


堀北「大丈夫よ、死にはしないわ。軽いケガはするかもしれないけど」

大丈夫なんだ……

さすがは名前持ちだな


俺「俺はどうしてたらいい?」


堀北「そうね、三人でお揃いのモノが欲しいから選んでおいてくれるかしら?」

お揃い、か……

まぁ、俺は普段身につけなければいいか


俺「俺が選んでいいの?」

センス自信ないんだけど


堀北「ええ、きっと君が選んでくれたモノなら千秋も喜ぶわ」


俺「わかったよ」


堀北「じゃ、行ってくるわね」


俺「行ってらっしゃい」


堀北さんはジェットコースターの方へ走って向かっていった

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