第29話 開校記念日(特別な休日)

そういえば、今月末に開校記念日がある

平日なのに学校が休みという特別な日だ


そんな特別な日は、ダラダラと過ごすのはもったいない!

てな訳で来週に控えた特別な休日を楽しく過ごすべく、BとDに声をかけた


俺「なぁ、ちょっといいか?」


B「今度はなんだ?」


D「また何かあったのか?」


俺「来週の開校記念日って予定あるか?」


B「いや、まだない」


D「同じく」


俺「なら、遊ぼうぜ」


B「お、いいね」


D「何する?」


俺「隣町の遊園地にでも行かないか?」


B「はぁ?」


D「なんでまた」


俺「最近お前らと遊べてないし、折角の平日の休みなんだ。普段と違うことがしたいんだよ」


B「まぁ、そういう事なら……なぁ?」


D「そうだな」


俺「でだ、この計画は絶対に他の誰にも知られちゃいけない」


B「男だけで遊園地だもんな」


俺「それもあるが……南城さんたちにバレたら(俺が)大変な事になる」


D「そうか、それを回避するためでもあるのか」


俺「だから、無いと思うがもし予定を聞かれても適当にごまかしてくれ」

あの二人は基本俺にだけ関わってくる

BやDが危険に晒されることはないはずだ

今まで南城さんも堀北さんもついでに仁科さんもBやDに話し掛けたことはほぼないはずだ

そう、俺さえ黙っていればバレるはずない


B「はいよ」


D「わかった」


俺「それじゃ、決行は来週の開校記念日」


B「誰にもバレずに」


D「俺たちだけで」


俺「遊園地を楽しむぞ」


B&D「おー」




BとDと三人で久しぶりに遊びに出かける為に

俺は全力で名前持ちの二人南城さんと堀北さんに悟られないようにする!!






















そして次の週、開校記念日がやってきた!


この一週間とても大変だった

南城さんと堀北さんに予定を聞かれ、ごまかして

ごまかした内容を詳しく質問され

ほんと、大変だった……



でも、それもこれも今日を気兼ねなく楽しむため!


さぁ!楽しい楽しい遊園地へ行くぞ!






待ち合わせはゲート前だ

三人が合流したら速やかに中へ入る

そして、尾行が居たとしても人込みにさえ入ってしまえば追っては来れまい!




俺は無事、遊園地入場ゲート前に着いた


尾行をされてもいなそうだし、今日は名前持ちと関わらずに済みそうだ!



時間を確認すると、待ち合わせまであと数分だった


おかしい……

あいつら滅多に遅刻なんてしないし、もし遅れるとしてもちゃんと連絡をくれるのに……

連絡も無し、到着もしてない

何かあったのか?


少し、心配だな


ヤキモキしてると

スマホがバイブで震えた


画面を確認するとBからメッセージが来ていた


開くとそこには一言だけ


B すまん


と書かれていた

遅刻だろうか?


A 遅刻か?


と返信する


B 今日行けなくなった


はぁ⁉ドタキャンかよ⁉

今までそんな事無かっただろ⁉


A なんで?


B 言えない


言えないって……どうしたんだよ……


もうこうなったら電話してみるか

Bへ電話をかけようとすると

ちょうどDから電話が入った


俺「もしもし」


D「Aか」


俺「おう、どうしたんだ?」


D「実はな、今日行けなくなったんだ」


俺「お前もかよ⁉」


D「Bからも連絡来たか?」


俺「ああ、でも理由わけ聞いても言えないって」


D「そうか……責任感じてるんだろうな」


俺「なんか、あったのか?」


D「実はな、南城さん達に今日の事がバレたんだ」


俺「どういう事だ⁉俺は上手くはぐらかせてたはずだぞ?」


D「Bと俺が話した……すまん!!」


俺「まさか、お前たちの方に南城さん達が行ったのか?」


D「ああ、何かお前の様子がおかしいからって」


俺「俺は誤魔化しきれなかったのか……」

くそっ


D「それで、お前が部活に行ってる間に詰め寄られてな」

名前持ち二人に詰め寄られた、か

さぞ怖かったろうな……


俺「それで」


D「あ、ああ。あの二人は俺達から情報を聞き出して、口止めした。サプライズゲストとして行くから、言うなって」

サプライズゲスト、だと……


俺「それで、お前達はなんで来ないんだ?来るなとは言われなかったんじゃないのか?」

あの二人南城さん達は流石にそこまで言うような人じゃない


D「Bのやつが最後に聞いた一言がな……『遊園地楽しみ』って」


俺「……そ、そうか」

もし、名前持ちのデートの邪魔をしようものなら……名前無しmobに未来は無い……

だから……二人は来れなかったのか……

そりゃ…命をかけてまで、遊園地に遊びには行けないよな


D「ほんと、すまん」


俺「事情は分かった。俺はお前達に消えてほしくない。だから、気にするな」


D「すまん……」


俺「頼みがある。Bのやつにも気にするなって伝えといてくれ」


D「あ、ああ。分かった」


俺「それじゃ、また学校でな」

生きていられればの話だがな


D「ああ、頑張れ」


電話を切り、考える

まだ二人はココに現れていない

という事は、二人に合わないままこの場を離れる事が出来れば?

今日は都合がつかなくてって事に出来ないだろうか……?


スマホで電車の時間を確認する

この場を離れつつ、二人と鉢合わせないような経路で帰れば問題ない

ここで乗り換えて、こっち回りで行けば……うん、行ける!


スマホをポケットへ突っ込み

顔を上げると……目の前に南城さんがいた⁉


うわっ⁉⁉

南城「や!おはよ!」


俺「お、おはよ」

くっ……一足遅かったか


堀北「お待たせしてしまったかしら」


南城「私も今来たとこー」


俺「えっと、何で二人がここに?」

とりあえず、ここは知らない振りで


南城「サプライズゲストだよ!驚いた?」


俺「う、うん?」


堀北「今日は私たちも一緒に遊びたいなって、ダメかしら?」


俺「そ、そーなんだ……」


南城「あれ?友達の二人は?」


堀北「B君とD君はまだ来てないのかしら?」


俺「あ、アイツら今日は来れないってさ」

二人のせいで!!


南城「そーなんだ~」


堀北「残念ね」


俺「そうだね」

ホントにね!


南城「それじゃあ、中行こっか!」


堀北「千秋、まずはチケット買わないと」


南城「あ、そっか!」





南城さんと堀北さんと俺の三人は遊園地のチケット売り場でチケットを買い

入場ゲートへ並ぶ


南城「楽しみだね!」


堀北「そうね」


俺「ははは」


入場すると何故か遊園地のスタッフさんが数人俺たちの所へ向かって歩いてきた


スタッフ1「おめでとうございます!!」

は?え?何?


スタッフ2「アナタ方は当テーマパーク10万人目のお客様です!」

10万人目!?


スタッフ3「記念すべき10万人目のお客様へ細やかながらプレゼントを贈らせてもらいます!」


スタッフ4「第一のプレゼントは記念撮影です!」


スタッフ5「こちらへどうぞ!お写真を撮ります!」


案内されるがままに俺達三人は記念撮影をした


スタッフ4「第二のプレゼントはコチラ!全アトラクションの早乗り優先券ファストパスです!こちらをアトラクションの係員に見せれば列に並ぶ時間が短縮できます!」


スタッフ5「写真出来上がりました、どうぞ!」

テーマパーク仕様のフレーム付き写真を専用の紙に挟んで渡される


スタッフ4「第三にプレゼントは……まだ秘密です!今日の午後センター広場でショーをやりますので、必ず見に来てくださいね!そこでお知らせします!」


スタッフ1「それでは、お客様!」


スタッフ2「当テーマパークを存分に楽しんでくださいませ!」


スタッフ3「いってらっしゃーい!」


スタッフ一同「いってらっしゃーい!!」



最悪なタイミングだ……

なんで俺たちが10万人目なんだよ……

これも名前持ちの力なのか?

こんな展開はmobの俺にはしんど過ぎる……


あ~……帰りてぇ……

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