風の聖痕

感想

過去に見たアニメ一覧の中でも割とマイナーであろうこの作品をここで持ってきたのには理由がありまして。

私がライトノベルに初めて触れたのがこの作品でした。

思い入れが深く、そしてライトノベルの世界、作家を目指す理由の一つになった作品でもあります。


それはそれとしてアニメの評価は感情論抜きでやりますからご安心ください。

まずは出版は富士見ファンタジア文庫、著作山門敬弘(敬称略)。


作者山門先生は亡くなってしまっているので永遠の未完ですが、出版社の方々が尽力してギリギリまで書き続けていた原稿が掲載された最終巻があります。


ではアニメの感想ですが、2007年、2019年現在から考えて12年前の作品です。

結果的に技術力などの差異もありますが、その点は無視します。


内容重視ということで、まずはあらすじから。

炎術師という炎の精霊の力を借りて妖魔や悪霊と言った類のものを打ち滅ぼす一族の名門神凪家に生まれた主人公、和馬。

彼は炎術師の家系でありながら炎術の素質を一切持っていませんでした。

炎を操ることはもちろん、精霊の声を聞くこともできない彼を勘当した神凪家はそんな和馬が日本に帰ってきているという話を聞きつけます。


落ちこぼれとして一族の中でも酷い扱いを受けてきた和馬は、なんと風を扱う風術師となっていたのでした。

そんな和馬は、性を変えて八神と名乗るようになりヒロインである次代神凪家当主の神凪綾乃ととある事情から敵意を持たれるのですが……。


と言う始まり方です。

さて、これらを踏まえて初めにアニメ版の感想は【軽い】でした。

精霊が騒ぐといった表現や、戦闘シーンではこれでもかと言う重厚な描写がなされた原作。

それをアニメで再現しろと言われれば当然限界があります。


更にだいぶキツい表現が用いられている作品ですのでその辺りの緩和もあってかだいぶ原作とは空気が違ってしまっていたというのが私の感想です。


悪いとは言いませんが、方向性が違うというべきでしょうか。

がつんとくる豚骨醤油ラーメンが食べたかったのに出てきたのはかつお出汁のあっさり塩ラーメンだったというような気分でした。


決して悪い作品ではなく、ギャグとシリアスの塩梅もそれなりによかったです。


しかしやはり何かが違う、言葉では言い表せないなにかが。

それが常に心のどこかで引っ掛かり続けていたため私はアニメ版はそれほど熱心に見ていませんでした。


原作でも短編集の方はギャグパートが多く、そちらを描いた話もいくつかありましたが満足には至らないという結果でした。


今でいう所のチート主人公と言う言葉がふさわしいかと思いますが、制限付きのチートで相手はそれと同等かもっとやばい敵と言うのが通例だったため人類最上級同士の戦いみたいな内容ですね。


そこから重厚感が減ってしまったためいまいち満足できない結果になってしまったのだと思います。


結果、私がこのアニメにつける評価は2点。

入門編としては申し分なく、重厚感のあるライトノベルのアニメ化の難しさを教えてくれた作品でしたがそれはそれということで。


評価:☆☆


悪くは無いんだ……決して悪くは無い……。

だけど物足りなかったんだ……。


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