第38話 空爆される南鳥島

『海烏野郎を確認しました。 どうやら、あの三角形の島に上陸するようです。』

「やはりそうか・・・ エネルギーの補充かもしれんな。」

『隊長、こうなったら、あの島ごと制圧しましょう!』

「そのつもりだ。・・・いいか、各員、俺のEMP弾発射が合図だ。 全弾ヤツに

ぶちこんでやれ。出し惜しみするなよ!」

『了解!!』


頭上に飛び交う戦闘攻撃機の存在は、すでに確認済みの少女と秀太だった。

「・・・やだなぁ・・ また攻撃されちゃうのか・・・」

島を見渡すと、短い滑走路から慌しく輸送機が離陸しようとしていた。

停泊していた船も、島から離れようとしている。

高い山と木々の無い島は、隠れる場所などどこにも無い。

亜熱帯地域で快晴に近い晴れ。

炎天下の地面にゆらゆらと見える陽炎。

レイザービルが立っている狭い砂浜は、少し動いただけで足がめり込んでしまう。

上陸しようか、今いる砂浜に留まるべきか?を考えているうち・・・

秀太は、島の中央にある白い平屋の施設が気になった。

「もう、みんな避難したんだよな・・・?」

砂浜から見えている限り、窓とドアは開けっ放しのように見えた。

でも、ここは・・・


     ・しまにじょうりくして・


の、指示に従い、滑走路の端っこ部分に足を掛ける。

その動きだけで、風を受けた竹林がざわめいた様な音がした。

無数に近い数の黒いトゲから粉のようにこぼれ落ちる、海水が蒸発してできた塩。


     ・しまの まんなか まで いどうして・


おそらく、彼女なりの考えがあるのだろう。

そう思うことにして、島の中央部まで歩を進める秀太。

そして、改めて白い平屋の施設を覗き込んでみた。


『海烏野郎、おあつらえ向きに島の中央へ移動したようです!』

「やはり、あの島には何かありそうだ。・・・各員、フォーメーションをとれ!」

『これで、同胞の仇を討てるんですね!!』

『まず、隊長が突破口を開いてくれる! そのためのバンカーバスターだ。』

「おまえら、無駄口叩くな! 気持ちは分かるが・・・ 発射準備!」

島全体を取り囲むように旋回飛行を始めた、9機の戦闘攻撃機編隊。

ダークグレー一色に統一され、D.M.Zの白い文字がペイントされている。

そのサークルの中央を急降下する一機の戦闘攻撃機。


ミサイルの発射音がした瞬間だった。

レイザービル上半身部分の無数に近いトゲが、一斉に逆立った。

計10発のミサイルが頭上から降り注ぎ、今にも命中しようとした時・・・

鞭を硬い地面に打ち付けたような大音響がした。

      大爆発。

爆炎が瞬時に見られた後、火山の噴煙のような煙が島全体を覆った。

レイザービルの姿も、この様子では確認の取りようが無かった。

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