TRUTH OF A CROSS
柊さくの
第1話:終わりの始まり
エデン・・・・・古来より楽園と呼ばれる彼の地は神々の食卓だった。
神の食材となる人間の魂は清くそして強いほど最高の味だとされていた。
しかしその神々にも世代交代の規則があり初代の神、主神ゼウスはその権力を次世代の神であるキリストに譲らねばならなかった。
権力を失う事を恐れたゼウスと旧世代の神々はキリストを地獄の最下層コキュートスに封印しその鍵を12の守護神に守らせた。
「マリア、貴方たちは彼の為に良く戦いました。」
エデンの門の前で揃った使徒たちに優しく微笑みながら彼は呟いた。
「あなたの警告は聞き飽きました。」
エデンの門を貫くような視線で見つめつつ少女が答えた。
少女の後ろに控える使徒たちも一様に頷いている。
「引き返す気はない様ですね、はぁ…」
呆れた顔で彼は門の方に向き直り迫りくる天使と悪魔の混合軍に意識を集中する事にした。
「あの数相手には分散させるしか手は無いねぇ~」
前髪を弄りながら自意識過剰な振る舞いをしている男が皆に意見する。
「うざっ!マジでテメーから消えれば良いのに!」
ナルシストのまともな意見を一撃で台無しにするシスター姿の女。
「ひどっ!?と、言ってる場合でも無いな、『後で』また会おう!」
ナルシストの一言に反応し全員がバラバラに動き出す。
数億の混合軍は別れた彼等を追いかけ分散した。
それから数日間使徒達と混合軍の激戦が展開され決着が着いた。
「全く減らない気がしてきた」
混合軍の死体が埋め尽くす崖で眼帯を付けた女がため息をつきながら相棒にぼやく。
「…最後の御客様だよ」
相棒がメガネを掛けなおしながら水筒の水を手の平で固めて剣を作り出した。
「会えて楽しかったよ、又皆で馬鹿騒ぎしよう!」
愛おしそうな瞳で告げるその言葉に小さく頷く相棒を確認した彼女は、右目の眼帯に手を掛けて御客様に向き直った。
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