135話 心配な日々
レイ・クラウド帝国 闘技場控え室廊下ーー
「さっきの人は誰だったの?ウタゲちゃん」
「ん?ああ、昔のチームメイトだよ……」
「冒険者時代の?」
「そう言うこった……まあ、そんな長い期間やっていたわけじゃないけどな」
「へぇー強いの?」
シェルが他の人に興味を示すのは珍しかった、それほどあの人物に対抗心を持ったのだ。
「あの頃は私よりも強かったなぁー今は私の方が上だけどね」
「ウタゲちゃんって変な人とパーティ組むこと多いよね」
「なんだそれ、私から見たらあんなの普通の部類だぞ」
「そう言うとこだよー」
シェルが私を抱きかかえるようにひっついてくる。
「ほら、じゃれてないで行くぞ……」
「はーい」
今日シェルは意外と素直に離れてくれる。
シェルもシェルで教えてきた生徒の事が心配でいつもより早く離れるが一段とウタゲを締め付ける力が強く、震えていた。
シェルも心配でたまらないのだ……人一倍人には相談出来ず、人一番責任感の強いというのはウタゲは知っていた。
「でも、何しに来たんだろうねぇー」
「どうせ、労いにでも来たんだろ。あいつは世話焼きなところあるからなぁー」
「まさか、うちの生徒と接点があるなんて驚きだよねー」
「それには驚いたが、まあ別に今考えてみれば無いことはないからなぁ」
フィールドに先回りするために教師用に作られた魔法陣の上に立つ。
帝国の兵士が私たちの身分を確認し、厳重な審査をした後フィールドに入場する。
「みんな大丈夫かなぁー」
「心配か?」
「まあねぇー特にバルトくんはちょっと危なっかしいから」
「あいつは問題ないだろ」
「でもー」
「大丈夫だってその為に今さっきあいつがわざわざ会いに行ってんだから」
「今一番問題なのはどこが勝つとかでは無く、無事に魔導修練祭をおわらせられるかだな」
二人が視界が開くとそこには、広大な大地が広がっている。もう何度も来ている場所なのでもう驚き自体は無いが良くこんなものを用意出来るなぁといつも思う。
「じゃあ、仕事しますかー」
「了解です!ウタゲ教官!」
「……おちょくるなよな、恥ずかしい」
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