おっさんが異世界で無双したりしなかったり
一条 治
プロローグ
「・・今日もつかれたなー」
仕事を終えて帰宅途中、コンビニに立ち寄る。
深夜2時という事もあり客は自分ひとり。漫画雑誌を軽く立ち読みした後、冷凍食品コーナーへ。
最近の冷凍食品はすごいよね、安いしおいしいし。おっさん、冷凍食品と風俗があれば一生独り身でも生きていけると思うの。
冷凍パスタや焼き鳥を手に取った後、スイーツコーナーへ。
メタボ気味のぽっこりおなかが気になる今日この頃だけど、食べたい物を我慢する気はまったく無い。
少しでもストレスを溜めないようにする事の方が大事である。
真剣にスイーツを吟味していると隣に人の気配がした。
目を向けると、フードをかぶっていて顔は見えないが背丈からいって小学校低学年くらいの子供がいる。
こんな深夜に感心しないなぁ、なんて思いながら店内を見回し親の姿を探すが他に客は無し。
まさか一人か?とか考えているうちに、子供は [期間限定すぺしゃるフルーツロール] を手に取りレジへと向かう。
まぁ俺が気にする事でもないか、と思い直し自分もプリンアラモードを手に取りレジへと向かう。
支払いを済ませ駐車場に出ると先ほどの子供がいた。
どうやら家まで我慢出来ないようで、その場で食べようとしているみたいだ。
一生懸命包装を開けようとする姿に思わず笑みがこぼれる。
まるでうちの甥っ子みたいだなと、食い意地のはった小学2年の甥っ子を思い出しながらそばを通り過ぎる。
その時『ギュキュキュキュキューーー』と擦過音を響かせ、かなりのスピードで車が駐車場に入ってくる。
このコンビニは交差点に面しているので、目の前の信号が赤になった車が駐車場を横切るため急に入ってきたのだろう。いわゆる“コンビニワープ”というやつである。
進行方向には [期間限定すぺしゃるフルーツロール] に夢中の子供がいる。
「危ないっ!!」
とっさに子供を抱き上げ、車との間に自分の体を滑り込ませるようにジャンプする。
その瞬間『ドンッ!!』という衝撃が体を襲う。
跳ね飛ばされゴロゴロと転がりながらも子供の体を必死で包み込むようにする。
徐々に転がるスピードが落ちてくるのを感じ、なんとか死なずにすんだか・・と思った瞬間、後頭部に『ガツンッ!!』と衝撃が。
(あ、これアカンやつや・・)
おそらく縁石にでもぶつかったのだろう。俺の意識は闇に呑み込まれた。
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