TS指南書(MtF)

アニメ・マンガ・小説etc…


色々なファンタジーな世界でTS物がありますよね。




TS方法も色々あります。


薬で、魔法で、すごい科学で、転生して、何かの奇跡で…。




でも実際、現実ではそんなに簡単にTS出来る訳ではありません。


テレビで極稀にタレントさんが手術したというお話がニュースになりますけど、手術ってどんな事するのかを知っている人って当事者くらいしか興味ありませんよねー。


意外と大変なんですよ?




今回はその手術を含めて、男の子から女の子になるまでどんなことをしているのかをお話ししたいと思います。






まず初めに、これから書く内容はGIDガイドラインというGIDの専門医の皆さんが設定した手順に沿って書いていきます。




その際、私の個人的な考えとか経験も合わせて書いていきますので、あくまでも参考としてくださいね。






①ちゃんとしたGID診断をしてくれるメンタルクリニックに通う




これが一番最初の治療?です。


これまで生きてきた中で、自分自身の身体と心の違和感がぬぐえないと感じていたと思います。




でも、本当に心と体の性別が違うのでしょうか?


鬱になったり、ツラい出来事から解離性同一性障害になってしまった時、心を守るために心は女だと思い込んでしまうこともあります。


他にも単純に異性装(女装)が好きすぎて、ひょっとして本当は心は女なんじゃないか?とか、ゲイセクシャルなのにひょっとして?みたいに勘違いをしちゃうこともあります。




ちょっと逸れちゃいますが、一般ではあまり知られていませんが、自己女性化愛好症(オートガイネフィリア:AG)という、『自分が女性化したことを想像して、その女性の自分自身に興奮する』性的指向の方の事です。




つまり、女性の自分が好きという、ある意味究極のナルシスト!


女装が好きな方の半分くらいはAGと言われてるみたいです。


でもこのAGさん、心は男性ですからねー。


男性的な性欲が無くなっちゃうとダメなんですよね。


だから、ちゃんとした診断無しでフライングでホルモン治療始めちゃって、男性的な性欲が無くなってくると後悔するんです。




もちろん、中にはナルシストの部分が強い方もいて、男性的な強い性欲が無くなっても充分興奮出来るという方もいます。


そういう方はむしろ手術した方が幸せかもですね。


だって、理想の身体になっていて、鏡を見ればいつでも興奮出来るんだし。




そんな訳で、専門の精神科医の元で『本当に性自認と身体の性が違う』のか、今後望みの性で生きて行けるのかをじっくりと確認する必要があるんです。


そのため、最短でも半年~1年は通院して下さいね。




その時に、『自分史』という生い立ちから現在までどんな生き方をして、心と身体の性別とのギャップやエピソードを話していきます。


過去を振り返ることで、一時的な感情であったり、今後後悔なく治療を進めたりできるかを見るんですね。




その時に、GIDの方であっても、ホルモン治療までは望まないという方もいらっしゃいます。


理由は色々あって、そこまでの違和感を持っていない場合であったり、治療のリスクと今の生活を比べて今の生活で良いという場合、周囲の人間関係などのしがらみがあって治療に進めないという場合など本当に色々あります。




ホルモン治療は本当に元に戻ることが出来ない不可逆な治療ですので、最新の注意としっかりと考える必要があるんです。




さて、自分史以外にも鬱であったり解離性同一性障害かどうかを確認します。


これはホルモン治療に行く前に、先に治療をしておかなければならないと判断されるためです。






また、身体的な確認もします。


染色体がXXY等の性分化疾患の方もいらっしゃる場合があるそうです。


もちろん、その場合は性同一性障害の治療ではなく、性分化疾患の治療という形になるのでここではスルーします。




以上をクリアすると晴れてGIDですよという診断書が出ます。






が、これで終わりではありません。




ガイドラインでは精神科医2名の診断書があって初めてホルモン治療開始への意見書を書いてもらえます。


この意見書が通れば晴れてホルモン治療になるんですね~。






でも、現在の日本ではホルモン治療は自由診療です。


もし社会医療保険適用で国内で手術をしようと考えているのでしたら、ホルモン治療はしちゃダメみたいです。(2018年3月現在)


自由診療でホルモン治療を受けちゃうと、保険適用の治療が出来ないみたいなんですよね。




なので、もし国内で手術を考えている方は手術するまでホルモン治療を我慢するか、早くホルモン治療が保険適用になることを祈っていてください。




でも、ホルモン治療無しで手術すると、術後ものすごく反動が大きいと思うんだけどね…。


だって、術後はある程度回復するまではホルモン治療出来ないのに、急に体内のホルモンが無くなるんだからね…。


ホルモンって結構精神に影響与えるからそれが心配かなぁ。




それに関しては次の項目で話しします。






②身体的治療→ホルモン治療




今は意見書が通ればホルモン治療に移行している方が多いと思います。


※治療を望まない人は治療しなくても良い




さて、何故ホルモン治療をするのでしょうか?


それはこれ以上の男性ホルモンによる身体影響を無くしたいからです!(断言)




男性でも嫌に思っている人がいると思いますが、このまま男性ホルモンの影響下にいると後々頭髪が薄くなってきちゃう可能性があります。


特に女として自認している私たちにとっては恐怖以外の何物でもないと思います。




それに、タイで手術を受けたいと思っている場合、大抵の病院ではホルモン治療は1年以上経過している必要があるんです。


これは術後の負担とかに関係しているんじゃないかなぁと思います。




あと、人によって程度が違いますが、男性的な性欲を無くしたいという気持ちもありますね。




ホルモン治療を開始してから3ヵ月くらい経った頃でしょうか?


段々と性欲が薄まってきてるんですよね。


もちろん、好きな人と一つになりたいという欲望はガッツリありますよ?


でも、男性時代のような強い性欲が無くなってきてるんですよね。


男性の場合だと、定期的に出さないといけないので、そのために性欲が急激に強まることがあると思います。


ですが、ホルモン治療をはじめてある程度経過すると、男性機能が壊れていくんですよ。


そして、男性ホルモンもドンドン下がっていくから、出す必要が無くなって来るんです。


そうなると、そこまで強い性欲は不要になって来るんだと思います。




私の心境としてはめちゃくちゃ面白かったですね。


どんどん性欲が落ち着いてくるから心も安定しますし、男性ホルモンが無くなってきているって実感できることでした。




また、この頃からちゃんと胸が成長しだしているのが実感できてきます。


女性ホルモンを摂るとちゃんと乳腺が成長してくれます。




でも、これは本当に人によって差があります。


胸の成長はおそらく女性ホルモンを受け取って成長を促すレセプター(受容体)がどれだけ多いかが関係しているんじゃないかなぁと推測してます。




生まれた時から体も心も女性の事をこちら界隈では純女じゅんめさんと言ってますが、この純女さんの胸のサイズも、その人のレセプターの影響もあるんじゃないかなぁと思っています。


もちろん、過度のダイエットや栄養の偏りにも大きく影響すると思いますけどね。




ただ残念なことに、ホルモン治療をしても体毛、特にヒゲは無くなりません。


一度第二次成長してしまえばもう戻りません。


骨格も男性の骨格なのでゴツイ人はゴツイままです。


私も骨格、特に胸骨や肩幅は厚みがあり大きいため、まさにゴリラ…。


ホルモンで筋力落ちて来るけど、体格がゴリラ…。


泣けてきますね。




あ、でも確かに腕や足の体毛は若干…ほんの気持ち程度だけ薄くなった気がしますが、ヒゲは全く効果ありません。


ほんと、早いうちに永久脱毛することをお勧めします。




ある程度女として生活するようになった状態でメンズのクリニックやサロンで脱毛するのはちょっと泣きそうになります。


もしくは家庭用のレーザー脱毛器とかで地道にやっつけるしかないですね。




そして6ヵ月を過ぎたあたりから男性的な性欲はほぼなくなり、ガンバって出しても透明な何かが出てくるだけです。


こうなってくるとホルモン治療を中止しても二度と男性機能が復活することは無いと言われています。


ホルモンに手を出すのに慎重になる理由がこれですね。


間違えていたら取り返しがつきません。




おそらく、ちゃんと診断受けずに気の迷いでフライングしてホルモンしちゃった人はこの段階で怖くなります。


ですが、もう二度と子供を作るための精子が作られることはありません。


たとえ男性ホルモンを摂取してもです。


精子を作る機能自体がもう壊れていますから。




逆に、ここでホッとする人や嬉しくなる人なら安心して治療を続けられると思いますが。




ただ、デメリットも存在します。




一つは女性ホルモンを摂ると血が固まりやすくなります。


血が固まりやすいという事は血栓症になりやすいという事です。


ですが、本来であれば血栓を溶かす機能を人間は持っていますので問題はありません。




ですが、過剰に女性ホルモンを摂ってしまうと、許容を超えてしまい、最悪は脳血栓になってしまいます。


なので、定期的に血液検査を実施して下さい。




また、注射で摂取するのではなく、錠剤を呑んで摂取する場合にも注意することがあります。


女性ホルモンを経口摂取すると、まず肝臓で分解されます。


毎日ホルモン剤を飲むので、肝臓に負担がかかります。


それなのにアルコールを大量に飲んだり糖質を摂りすぎると、肝臓が弱ってしまいます。


そのため、普段から暴飲暴食しないことと、こちらも血液検査を定期的に実施して下さい。




もう一つのデメリットは精神的な影響です。


女性ホルモンが増えると鬱になりやすいんです。


これは本当にスゴイです。


元々超楽観的な精神だった私ですが、感情の落ち込みが強くなりましたし、もともと少なかった闘争心とかほぼなくなりましたね。


めっちゃ涙もろくなりました。


まぁ、元から泣き虫だったんですが。




ホルモンバランスの変動で、イライラしたり憂鬱になったりヘコんだり、本当に大変です。


純女さんは生理周期で大きくホルモンバランスが変わるので、本当に大変だと実感できます。




あと、コレは確証はありませんが、MtFレズビアンだった方が男性を好きになるようになったという話をたまに聞きます。


私も元々バイに近かったんですが、完全なヘテロセクシャルになりましたし。


これは気持ちの変化なのか精神的な影響を受けたのか、難しいところです。






さて、そうして1年以上治療を続けて、それでも更に戸籍を変更したい、女性の身体に近づけたいという場合、手術をすることになります。


これが③です。




良く性転換手術とか言われてますが、現在正式には『性別適合手術』と言います。


英語で略すとSRSともいわれます。


テレビで性転換手術と書かれているのを見た時、いつの時代やねんと思います。




MtFの場合は陰嚢切除と陰核形成と尿路変更とかが戸籍変更には必要かな。


男性器を使って女性の見た目に変える手術です。




膣は作らなくても戸籍変更できますが、男性のパートナーがいる場合は夜の営みもする方が多いと思いますので、膣を作っている人も多いと思います。


もちろん、現在いなくても将来的に望むなら造膣したほうが良いでしょう。


私も欲しいです(切実)




さて、造膣の場合は大きく分けて2パターンあります。


S字結腸の一部を切り取って使って、膣壁を作るS字結腸法と、陰嚢の袋部分と陰茎の皮膚を材料として使って膣壁を作る陰茎陰嚢反転法があります。




色々なメリットデメリットがありますが、国内でSRSしたい場合はS字結腸法が推奨されています。


理由は色々あると思いますが、術後のダイレーションが比較的楽な事と、膣が塞がらないという事があげられるのではないでしょうか?


反転法にもメリットがありますし、個人の望む方法で実施して下さい。


ちなみに私は反転法を望んでいます。




そう言えば、よく冗談でアレを切るの?とかからかわれますが、内心では『そんなもったいない事できるか!』と思っています。


機能としては要らないものですが、材料としては必要なので。


むしろ、大切な材料としか思っていませんがね。






そして手術が終わると戸籍変更の申請をすることが出来ます。


④ですね。




診断書やその他資料を家庭裁判所に持って行き、手続きをして、許可が下りると戸籍変更できるという訳です。




基本時にホルモン治療・性別適合手術・戸籍変更には2名の精神科医の診断書が必要になります。


もしかしたら、今後はGID学会の認定医かそれに準ずる精神科医の診断になるかもですが。




そんなことをしてやっと女性として再出発できるわけですね。


もちろん、ホルモン治療は手術後も必要です。


ホルモンを作る臓器がないから。




でも、戸籍が変わればホルモン治療は保険適用になりますので、負担は軽減されます。


これから先どんな人生になるのか分かりませんが、新しい性で生きていきたいものです。




これが基本的なガイドラインに沿ったGIDの治療です。






ちなみに、一番最初のメンタルクリニックはちゃんとしたところを選んで下さいね。


1日で診断書をくれるところもありますが、その診断書でSRSをした人の自殺率は非常に高いです。


ツラくても面倒でも、長期間ちゃんとしっかりと診断してくれるメンタルクリニックに行けば、自殺率は一般の人と変わらないですから。




今後を決める本当に大切な事なので、しっかりと診断を受けて望んだ性別で生きて行けると良いですね。


駄文すみませんでした。


あくまでもご参考までに。




では、また機会があったら何か書いてみます。




ご拝読ありがとうございました。

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