第4話 これが私のプログラム

「私の名前は『小枝 絵里』。どこにでもいる小学4年生だったんだけど、ある日突然、魔法少女になっちゃった。とは言っても、普通に学校に行ってるし、普通に友達と遊んだり、普通の女の子として生活してるよ。今日は土曜日、お友達と水族館に遊びにいく予定。まだ会ったことない子と一緒だけど、どんな子なんだろう。仲良くなれるかな?」


 絵里は待ち合わせ場所の駅前に来た。絵里の幼馴じみのアサミがいた。

 今日の絵里は黄色いシャツにピンク色のカーディガン、チェック柄の緑色のミニスカートと白い靴下、トレードマークのようなツインテールである。アサミは明るい緑色の丈の短いワンピースを着ていた。髪型はストレートのセミロングであった。


「おはよう、アサミちゃん」

「おはよう、エリちゃん」


 絵里とアサミは待ち合わせ時間よりも早く到着した。


「アサミちゃん早いね。リカちゃんのお友達ってどんな子なんだろう……」


 絵里とアサミとリカは面識があるが、もうひとりの子はリカの友達である。絵里もアサミも顔を合わせたことがないのである。


 遠くから、2人の女の子が絵里のほうに歩いてくるのが見えた。リカともうひとり……


「紹介するね。プララちゃん。で、エリちゃんとアサミちゃん。よろしくね」

「どうも、よろしくね」


 少女たちは笑顔で挨拶する。


 リカは大人っぽい容姿の女の子である。髪の毛は長めのストレートで背丈は絵里とほとんど変わらない。今日は白いドレスを着ている。

 そして、新しい友人のプララ。絵里よりも少し背が高いが、絵里たちと同じ4年生のようである。赤いジャケットで黒いミニスカートを着ている。黄色の髪を三つ編みで垂れ下げている。頭には赤いバンダナ。


(あ、あのときの……なぜココに!)


 絵里は、すぐに気づいた。以前、敵として戦った相手である。だが今回はリカやアサミが一緒である。2人は初対面のように何とか無理して振る舞った。

 

 絵里たちは電車にのって目的の水族館に向かう。水族館に着くと仲良く写真をとったり水槽の中を観察したり、楽しそうに過ごしている。


「きれいだね」

「いろんな魚がいるね」

「今日は人が多いね、一緒に居ないと迷子になりそうだね」


 休日の水族館は人が多い。今までプララは何度か魔法で騒ぎを起こしている。と思われるが、犠牲者が出たという報告はない。見た目は普通の可愛い少女である。


「せっかく、ここに来たんだし、やっぱりアレを見ないとね」


 アサミが言った。今日の水族館に行くことについて、最初に案を出したのはアサミであった。


 絵里たちはアサミの先導で奥に進んでいく。


「やっぱり、見るなら一番前でしょ」


 絵里たちは一番前の席に座る。


「何がはじまるんだろう? わくわくするね」


 水族館の楽しみは水槽の魚を見るだけではない。イルカやアシカのショーがある水族館もある。

 ショーが始まると、トレーナーのお兄さんやイルカが登場して芸を披露する。イルカのショーの見せ場の一つは、高いジャンプである。


「すごーい。ジャンプ力。カッコイーなー」


 そして、イルカがジャンプして着水するときに大きな水しぶきが上がる。


「きゃぁ、冷たい。 服がびしょびしょになっちゃった」

「やっぱりこれだよなー」


 アサミはびしょ濡れになりながらも、ケラケラ笑っている。


「もうー。最悪ってほどではないけど、こんなに濡れるとは思わなかったよー」

「でも楽しいだろ。」

「そうだね」


 みんなは、なんだかんだ言って笑顔である。


 絵里たちは、ショーが終わると昼食を取ることにした。


「プララちゃんとリカちゃんはどこで知り合ったの?」


 アサミが尋ねる。リカは答えた。


「この前、雑貨屋さんで買い物してたらね。私が欲しいネコのぬいぐるみと同じものを欲しがった子がいて……私と同じくらいの学年の子だったから声かけてみたの……」


 意外とプララも普通の女の子のような生活をしているのかも知れない。悪の道に染まっていても可愛いものは可愛いのかもしれない。


「このハンバーガー美味しいね」

「こっちのジュースも美味しいよ」

「来てよかったね」


 少女達は楽しそうに喋りながら昼食をとった。いっぱい食べて、いっぱい飲んだ。


「よし、お腹いっぱいになった。私トイレ行くけど、みんなも行く?」

「うん」


 絵里たちはトイレに向かう。女子トイレはちょっと混んでいた。すでに長い行列になっている。近くにトイレはないので、4人は仕方なく列に並ぶ。


「おトイレ混んでるね」

「まぁ仕方ないね」

「我慢できる」

「多分大丈夫」


 女子トイレは行列ができやすい。女の子はトイレで化粧したり着替えたり、携帯電話の充電をしたりと、トイレの中でやることが多いので多少は仕方ない。町中の店舗や商業施設では女子トイレの数が足りてないところは多い。それでも何とかやっていける際どいバランスで成り立っている。


 時間とともに列が進んでいく、絵里たちはトイレの個室に近づく。アサミ、絵里、リカ、プララの順番で並んでいる。


「私、まだちょっと我慢できる余裕あるから、一番最後でいいよ。みんな苦しそうだし」


 絵里はそう言って、プララの後ろに並び直した。行列はどんどん進み、アサミから順番にトイレの個室に入っていく。リカが個室に向かう。絵里とプララ2人が残された。


「プララちゃん、話したいことがあるんだけど」


 絵里が静かに尋ねる。


「それは、こっちのセリフよ。 あんたは邪魔なの? 今まで黙ってたけど……」


 プララも反発する。


「どうして? 訳を聞かせてよ」


 絵里はどうしても知りたい。そして争いはしたくない。そう考えている。


「今日の夕方4時、埠頭で決闘! そこで残念ながら、あんたには消えてもらうよ」


 そう言い残し、プララはトイレに向かう。


 絵里が最後になった。

 

(やばいかも……順番変えないほうが良かったかも……行列がすすまない)


 絵里はモジモジしている。なかなかトイレが空かない。絵里の表情はどんどん苦しくなっていく。ようやく個室のドアが空いた。絵里は個室に向かう。


(ふぅー、間に合ってよかった)


 絵里はトイレを済ませて個室を出る。今回は何事もなく下着も綺麗なままトイレを出ることができた。

 4人はトイレの入口で待っていた。


「おまたせー」

 絵里はみんなと合流した。

「次はどこに行く……」

「じゃあ、あっちだね」


 絵里たちは帰りの時間まで、いろいろと楽しんだ。 楽しい時間はあっという間に過ぎていき帰る時間になってきた。


「そろそろ、帰るか?」

「そうだね」

 絵里達たち、電車で駅に向かう。駅に着く。

「今日は楽しかったね。またねー」

 そう言って、絵里たちは友達と別れる。


絵里は今日の出来事をスマホでチーちゃんに連絡する。


「チーちゃん、プララちゃんって知ってる?」

「知らないニャ」

「今日ね。その子と会ったんだ……そしてね……」


絵里は詳細にチーチャーに伝えた。プララの存在、そして今日、これから決闘することも。


「わかったニャ。ニャーもそっちに行くニャ」


 約束通り、絵里は埠頭に来た。すでに戦う準備はできていた。絵里は魔法のコスチュームを身にまとっている。ピンク色のドレス。胸には大きな赤いリボン、厚手の白いハイソックス、ちょっとゴツいパッドのついた丈夫なブーツ、頭には猫耳。これが魔法少女エリーの戦闘服である。

 少し立ってから、プララも現れる。プララは黒いドレスで胸には黄色く光る大きな宝石をつけている。頭にはバンダナを巻いている。


「よく来たわね。逃げても良かったのよ。まぁ自分から危険なところにのこのことやってくるとはね」


プララは、笑いながら言った。


「それは、こっちのセリフ。プララちゃんって本当は、いい子なんでしょ。会ってみてそんな気がしたよ」

「うるさいうるさい。私には役目があるの?あんたの友情ごっこしてる暇はないの?」

「だったら、その役目を聞かせてよ。私も力になれるかも知れないよ。戦い合う必要なんて無いかも知れないでしょ」

「あんたには私の気持ちはわからない。この前は油断したが、今回は違う。覚悟しろ。そして、二度と私の前に現れなくしてやる!」


 プララはそう言って、攻撃体制に入る。突然プララの前が虹色に光だし、鎌のような武器が現れる。プララはそれを手に取り、ゆっくりと空中浮遊して上昇していく。

 魔法世界のである程度の経験を積んだ魔法使いとなれば空中浮遊することは珍しくないのである。


「まずは、これでもくらいな」


そう言ってプララは鎌を振った。鎌から黄色く光る絵里の背丈ほどの大きな弾が現れ、絵里に向かっていく。


「この前よりも、強い攻撃。速い、回避は無理。だったら、GFILLでバリア!」


 絵里は回避よりも防御を選択した。弾が速いというよりは不意打ちに近い状況だったため、移動するよりも魔法で防御するほうが速く行動できたわけである。

 絵里の前に四角い光のバリアが出現する。プララの攻撃をかろうじて防いだ。


「いきなり、攻撃なんて。ちょっとズルい」


絵里は少し怒った口調で言った。確かに不意打ちに近い状況と言えなくもない。


「そんなこと言ってられるのは、今のうちだけよ」


 続けてプララは鎌を振って攻撃に入る。光の弾がどんどん絵里に向かって飛んでいく。絵里は素早く反応して移動する。逃げ回るように攻撃を回避した。


「逃げてるだけでは、話にならないね」


プララはあざ笑うかのように言う。


 絵里は回避に慣れてきたのか。だんだん移動する量が小さくなっていった。プララが鎌を振る度に複数の光の弾が出現し扇状に広がりながら絵里に向かっていく。プララは何度もその攻撃をしていた。


「攻撃は強い。だけど、ここなら当たらない。今度は私の攻撃。いっけー!」


 絵里はプララの攻撃を回避しながら、反撃するため魔法を放った。絵里の攻撃も光の弾であった。しかし、大きさは野球ボール程度しかない。だが、弾の速さは、プララの想像を超えていた。攻撃はプララに当たった。ダメージはそれほど大きいようには見えない。


 絵里は強気にプララにむかって言った。


「どうやら、あなたはそのプログラムをちゃんと理解してないようね。その攻撃のプログラムには弱点がある。プログラムをわかっているなら、その弱点を補うように書き換えることができる。なのにあなたは、それをしていない。そのプログラム書いたの、あなたじゃないんでしょ?」


 プログラムというものは誰が書いても同じ記述であれば実行結果は同じである。つまり自分でプログラムを組まなくても、他人が書いたプログラムをそのまま実行したり、他人が書いた一部のプログラムをコピー&ペーストで貼り付けて、自分のプログラムに組み込んだりすることもできる。そのプログラムの詳細を理解していなくても問題がないということである。

 プログラミングには関数というものがある。関数には入力と結果がある。プログラミングでは関数を組み合わせて目的のロジックを組み立てる。関数はプログラミング言語に組み込まれているものと、プログラマーが自由に作成できる『ユーザー定義関数』というものがある。

 どの入力を与えればどのような結果になることかがわかれば、プログラムのソースコードの詳細がどのようなものなのかはあまり意識しなくても、アプリ制作といったプログラミングには支障がないのである。


 プララが実行していたプログラムによる攻撃は、プララが書いたプログラムではなかった。


 プララは次の攻撃に移る。プララは意見を論破されたときのような少し悔しげな表情を浮かべている。


「今のは単なる小手調べ。これからが本番。むしろあんな攻撃に苦戦するようではこの先、私には勝てないわよ」


 プララの動きが変わった。プララが絵里に接近してくる。ものすごいスピード。絵里に接近して直接鎌を振って攻撃してきた。絵里もとったにバリアの防御プログラムを発動する。


「さぁそのバリア。いつまで耐えられるかな?」


 プララは絵里に対して鎌を振って連続攻撃。絵里はバリアでなんとか防ぐ。

しかし、プララは絵里の弱点に気づいていた。鎌を防ぐことのみに集中していた絵里は別の攻撃には反応できなかった。プララのキックが絵里に当たった。絵里は数メートルほど蹴り飛ばされた。


「プログラミングは、頭の良さだけではないの? 時には力づくでどうにかするものよ」


 魔法攻撃だけが攻撃ではない。勝つため目的を達成するためならスタイルに拘る必要はないのである。


 絵里が受けたダメージはそれほど大きいものではなかった。すぐに戦闘体勢に戻る。


「スピードなら、私も負けないよ。SPSETで召喚。SPLINKで合体!」


 絵里の背中に飛行機のスプライトが出現した。絵里の杖の先端が剣のように変わる。

 絵里も空を飛びながらプララに向かう。激しい空中戦となった。両者飛行機のように飛び回り、遠距離では射撃。接近したら武器で打撃。どちらもほぼ互角の戦いとなった。だが絵里とプララはふたりとも魔力を使い切ることはなかった。

 プララと絵里が接近、両者同時に打撃攻撃を繰り出す。鎌と剣が激しくぶつかり、ふたりとも大きく怯んだ。

プララは疲れ始めた表情を見せる。絵里まだ余裕がありそうであった。


「私のほうが魔力は上なの。圧倒的なの? なのに何であったはそんなに動けるの? 私のパパが作った最強で万能で何でもできるように設計されたフレームワークが、あんな魔力の小さい素人に負けるわけなんてないんだから?」


「そのプログラム、あなたが全部組んだものではないのね?」


 魔法世界では魔法使いによって魔力の大きさや量は異なる。上級魔術師は大きな魔力でたくさんの魔力を備えている。プララの父は上級な魔術師である。プララの父にバランスよく最適化されたロジックはプララと比較して大きな魔力を消費するものであった。

 現実世界のコンピューターのプログラムでも、新しい言語やフレームワークはハイスペックなハードに合わせて使いやすくするために、たくさんのメモリやCPUの性能を必要とするものがある。


「そうか? 私は大切なことを忘れていた。そう、私は私、パパのプログラムぱパパのもの…」


 プララの心境が大きく変わる。

 

「私には、私のプログラムがある!」


 プララは決心する。ここからが本当の戦い。私の戦いを見せてあげる!


「さぁ、これが本気の私」


 プララは攻撃を仕掛ける。プララが鎌を振ると数個のプラモサイズの小さいヘリコプターが出現し、絵里に向かっていった。絵里を囲むように浮遊する。そして、無数の小さい弾を発射した。不意をつかれた絵里は自分の正面にバリアを張ったが、周りの攻撃を全て防ぐことができなかった。いくつかの攻撃が絵里に当たる。


「あれっ、痛くない。戦闘コスチュームだからというのもあるけど、全然ダメージはない」


絵里は杖で、プララの攻撃と小さいヘリコプターを追い払う。プララは笑みを浮かべながら


「あんたの管理番号ゲット! 次の攻撃は手強いんだからね」


 プララは次の攻撃を仕掛ける。プララが杖を振ると、直径1メートルくらいの大きさの大きな光の弾が現れた。そして、ゆっくりと加速しながら絵里に向かっていった。


「あれ、さっきと違ってゆっくり。これなら当たらないよ」

「それはどうかな?」


 光の弾は少しずつだが加速する。絵里が避けようと移動すると、光の弾も絵里についてきた。誘導弾である。どんなに避けようとしてもいつまでもついてくる。

絵里は仕方なくバリアを張って攻撃を回避しようとする。

 絵里がプララのほうを見ると、無数の大きな光の弾がプララの周りに浮かんでいた。


「1個なら防げても、これならどうかな? この前、徹夜して組み上げてた私の最強最大の攻撃魔法! 発射!」

 無数の光の弾が絵里に向かって飛んでくる、バリアでは防ぎきれるものではなかった。絵里は大きく飛び回る。飛び回りながら考えた。


「どうしよう。避けきれないよ。防ぐこともできない。どうすればいいの……」


敵の弾は誘導弾、どんなに避けても必ず向きをかえて絵里に向かってくる。そしてだんだんと早くなっていくのだ。どんなに逃げても最後には追いつかれてしまう


「これで終わり。 残念ね」


 絵里は更に考える。弾はどんどん速くなる。弾から逃げるスピードを出すには魔力がなくなるくらいで逃げるしかない。でもいずれは追いつかれてしまう。


「そうだ!」


 絵里の動きが変わった。大きく飛び回りながら、魔力を使い切るように加速した。魔法の誘導弾からは逃れることはできない。どんどん絵里も光の弾も早くなる。


 絵里は逃げ回っているように見えた。しかし、絵里はプララに近づいた。


「まだチャンスはある」


 プララは逃げようとする。絵里は何とかプララを捕まえて上昇した。絵里の魔力は残り少ない。プララも大量の誘導弾を放つのに魔力を使っている。眼下には大きな波の海が広がっていた。


「道連れ。こんなバカがいるとは、ちょっと予想できなかったわ」

「ごめんね。『SPCHR ○○○○,433』」


そう言って絵里は最後の気力を振り絞って魔法を使う。絵里の魔法のコスチュームが虹色の光とともに変化した。絵里は変化したコスチュームを手にとった。そして、プララの服の背中に放り込んだ。絵里の魔法のコスチュームはゴキブリに変化していた。


「あなた何を」


絵里は真っ逆さまに落ちていった。


 次の瞬間、プララの放った。無数の光の弾がプララに遅いかかる。


 BASIC言語で誘導弾のプログラムを作る場合、特定の座標、つまりプレイヤー自機に向かって行くように作る必要がある。BASICではスプライトから表示座標を取得することができる。つまり、誘導弾を作るには座標を知る必要があるのである。


 プララは一度絵里に攻撃を当てている。そのときに当たり判定の命令の機能を利用して、標的のスプライトである絵里のコスチュームの管理番号を知ることができた。

 それにより、プララは絵里に追従する誘導弾を放つことができた。わけである。

そして、絵里のコスチュームがSPCHRの命令で変化しても、管理番号は変わらない。

 よって、いつまでももともと絵里が来ていた物体、現在はプララの背中に入っているゴキブリ目がけて突き進むのである。


「避けきれない。うぁーー」


 プララは光の弾に直撃。激しい爆発が起こる。


 そして、そのままプララは真下の海に墜落する。


 絵里も海に落ちた。プララの攻撃魔は回避したが、魔力をほとんど使い切っており、戦える状態ではない。残っている魔法を使って、スプライトの船を召喚し何とか海から上がった。


 すぐさまプララを探しに海を見渡す。


「確かこの辺にいるはず」


 絵里はプララを探す。絵里はプララを見つけて、船まで連れてきた。プララはもう魔法を使うことも自力で動く力も残っていなかった。


「大丈夫?」


どうみても、大丈夫ではないが、絵里はプララに声をかけた。


「あんたの勝ち」


どうやら、息はしているようであった。


「どうして、あんなことをしたの? 訳を聞かせて」


 プララは口を開こうとした、こんなになるまで戦ったのに私を恨んでいる様子がまるでない。この人になら本当のことを伝えても良いかも知れない……


「私は……」


 そう言いながら、プララの体は宙に浮かんでいった。

 そうして、謎の光に包まれてプララは消えてしまった。


 絵里とプララの決闘は幕を閉じた。

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