序章
――大阪府の南側にある街、堺市にてその噂は学生の間で流れていた。
「なぁなぁ、知ってる?」
「何が?」
「あかしや橋の噂」
中休み中に数人の男女達は怪談でも始めるみたいにクスクスと笑い、または、ヒソヒソと話しをしていた。
「知ってる知ってる!」
「それ、最近流れた噂なんやよな?」
「そうそう」
「確か………」
――子の正刻に、神社に続く"あ
「でもさ、それって本当なんかな?」
「さぁ〜? あ、なら試してみるか?」
「いやいや。それ、マジやったらどうすんねん」
「その時はその時やな!」
話しをしている男女は、お互いからかいあうように笑い始め、彼等の隣で話しを密かに聞いていた少年が座っていた。
少年は目を隠すような長い前髪をし、俯くようにして少し猫背気味で本を読んでいる。カバーをしていて何を読んでいるかはわからない。
少年は顔を上げると、ズレた黒縁の眼鏡を少し上げ本をゆっくりと閉じた。
(妖怪の町。あやかし商店街、か……)
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