14

 とんとん、とかげろうの部屋のドアを叩く音が聞こえた。

 その音を聞いて、かげろうは久しぶりにその視線を窓の外から、部屋の中に戻した。

「……かげろうくん。もう起きてる?」

 そんな声が聞こえた。

 それはかげろうのクラスメートであり、友達である幽霊(ホロウ)の一人、三日月よぞらの声だった。

 かげろうは部屋の中をドアのところまで移動してドアを開けた。

 すると、そこにはよぞらがいた。

「おはよう。よぞらくん」

 にっこりと笑ってかげろうは言った。

「うん。おはよう。かげろうくん」

 かげろうと同じようににっこりと笑って、よぞらは言った。

 よぞらは幽霊(ホロウ)の正装ともいえる『フードのついた黄色いコート』(かげろうが裏ポケットにネジを隠したコートだ)をその体に着ていた。それだけではなくて、その背中には小さなリュックサックを背負っていて、学校に行くための準備をすでに整えた服装をしていた。

 でも、まだ学校に登校するには少し早い時間だった。

「こんな時間に学校に行く準備を終えて、どうかしたの? よぞらくん」

 なので、かげろうはよぞらにそう言った。

「うん。ちょっと中で話をしても、……いいかな?」

 体をもじもじさせながら、よぞらは言った。

「もちろん、いいよ」

 かげろうはそう言ってよぞらを自分の部屋の中に案内した。

「お邪魔します」

 そう言って、よぞらはかげろうの部屋の中にお邪魔をした。

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