ジャングルエリア_13

 草原。目を覚ますと緑の草原にいた。

キレイな青空に、心地よい風が吹いている。


「キョウ!どうしたの?みんなまってるよ?」

「セーバル?」


 後ろからセーバルに声をかけられ振り返ると、サーバルや隊長達がビニールシートの上で団欒しているのが見えた。


「キョウー!セーバルー!はやくはやくー!」

「ああ、今行く」


 サーバルに呼ばれ、歩いていく。

ああ、今日はみんなでピクニックに来ているんだったか…


「大丈夫?なんかぼーっとしてるけど。ほら、これ飲んでシャキッとしなさい」

「ありがとう」


 カラカルにお茶を貰い、飲んだ。


「にッッが!!!」


 凄まじい苦みにせき込み、視界がブラックアウト。


「起きましたか。成功ですね」

「流石博士。キョウ、大丈夫ですか?」


 再び目を開けると、和やかな草原は消滅していた。

代わりに博士と助手がこちらを見下ろしている。


「今の状態は説明できるですか?」


「あー…コノハちゃん博士に何か飲まされて…」


 意識がはっきりしてくると、後頭部に違和感を感じる。温かい。


「ミミちゃん助手の…ひ、膝枕…?」

「正解です。問題ないようですね」


 無表情で助手が言う。


「もう起き上がれますか?」

「ああ、もう大丈夫だ」


 起き上がり、周囲を見回す。窓から入る光は赤くなり始めていた。


「そうだ、バリーは!?」


「安心するです。アリサが治療薬を作って飲ませたですよ。まだ眠っていますが、じきに目を覚ますはずです」


「そうか…よかった」


 ひとまず安堵する。

自分の役目は果たせたようだ。


「キョウ、その…すまなかった、です」

「ヒトの輝きがこれほどとは思わなかったのです…ごめんなさい、です」

「なに、こうして無事にあのセルリアンを倒してバリーを助けられたんだ。むしろあの弾がなければ倒せなかったし、気にするな」


 頭を下げる博士達に言うが、博士達は首を振る。


「それもあるのですが、問題はこっちなのです」

「これを見るのです…」


 そう言うと、助手がオレのライフルを持ってくる。


「これは…」


 ライフルの銃身が溶けて曲がってしまっていた。

サンドスター・バレットの威力に耐えられなかったようだ。


「残念ですがこれは我々にも直せないです…」

「サーベルタイガーからこれを大切に扱っていたと聞きました。申し訳ないのです」


「いや、別に新しいのが支給されるから問題ないぞ?」

「えっ!?でもいつもメンテナンスを欠かさずしていたと…」

「そりゃあ必要な時に壊れてたら大変だからな。最後に皆を守って壊れたんだから、コイツも本望だろう」

「そういうものなのですか?」

「そういうものだよ。まあ、中には名前つけて大事にしてるような奴もいるみたいだけどな」


 博士と助手が顔を見合わせる。


「むう、これは予定と違いますが、まあいいです」

「お詫びにライフルの改良を考えていたのですよ…新しいライフルが手に入ったら我々のところに持ってくるのです」

「またぶっ倒れるようなのはやめてくれよ?」

「当り前です!天才は同じミスは二度としないのですよ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る