ジャングルエリア_3

 バスは鬱蒼としたジャングルを切り開いて作られた未舗装の道路を進んでいた。


<<あと少しで休憩所だが…クソ、セルリアンの反応を検知!キョウ、左の方から来るぞ!>>

「了解!バスの上で迎え討つ!」


 素早く屋根に上がりライフルを構えるが、生い茂った様々な植物のせいで視界が悪い。

ルイスがバスを停め、隊長達もバスの前で周囲を警戒を始めた。


 ガサガサと草木を掻き分ける音が接近してくる。


「来るぞ!構えろ!」

<<セルリアンの反応、まだ少し距離があるぞ!?>>

「この音…待って、セルリアンじゃない!」


 セーバルが叫んだ直後、フレンズが木の上から飛び出してきた。


「おわっ!?セーバル!?」

「あ、ジャガー。ジャパリフォースが応援にきたよ」

「ああ、この人たちが…って、気をつけて!私が引き付けてたセルリアンが来るよ!」

「大丈夫だ、我々に任せろ!」


 再びガサガサという音が近づいてくる。


「総員!射撃用意!」


 多数の小型セルリアンが飛び出してきた。


「射撃開始!!」


 隊長の合図で、一斉射撃が行われた。


「とりゃー!」


 最後の1体をセーバルが倒し、セルリアンの反応は消滅した。


「へぇー、すっごいなぁ…」


 ジャガーも初めて見る銃での戦闘に驚いているようだった。


「君はジャガーだね?私は隊長のゲンだ。ケガはないか?」

「大丈夫。ガオガオ病のせいで、引き付けておくことしかできなくて困ってたんだ。ありがとう」


 ジャガーにそれぞれ自己紹介をした後、オオイヌが後片付けをしている間に周囲を確認する。


<<うへぇ、そこら中に虹色の粘液がついてるな>>


 セルリアンが倒された場所や、セルリアンが通ってきた道に、虹色に怪しく光る粘液がついていた。


「近寄らない方がいいよ。それに触れるとガオガオ病になってしまうんだ…」

<<ヒトには感染しないとしても、触りたくはないな…>>

「でも念のためサンプルは取っておこうかしら」


 アリサが小瓶に粘液を回収しているのを見て、ルイスは再びうへぇ…と呟いていた。


「セーバル、大丈夫か?」


 いつもならすぐに戻ってくるセーバルが、少し離れたところで佇んでいる。


「セーバル?」

「にゃあ…」

「セーバル!?ガオガオ病に感染したのか!?」

「うにゃ、うにゃにゃあ」

「うーん、ひとまずミライさんに相談しよう」

「にゃあ」


 とりあえず粘液が残らないようセーバルに手を洗わせ、バスに連れていく。


「セーバルもガオガオ病に罹っちゃったかぁ」

「うにゃあ。みゃうにゃにゃにゃ?」

「うーん、今はもうフレンズだからじゃない?」

「なぁん」

「サーバル、セーバルの言ってることわかるのか?」

「うん、なんとなくだけど」


<ええと、セーバルさん。意識ははっきりしていますか?>

「みゃあ!」

「大丈夫だって!」

<では、言葉がしゃべれない以外に変わったことはありますか?>

「うにゃー…にゃあ!にゃ、うみゃーみゃ!」

「ないけど、お腹空いたって!」

<うーん、大丈夫そうですね!ジャパまんを食べて、治療薬を飲むまではガオガオ病の粘液に近づかないようにしてください>

「にゃあ」


「なんだ、意外と平気そうだな」

「にゃあ、にゃーんにゃあうみゃ?」


 セーバルは申し訳なさそうな顔をしている。


「キョウ、心配かけてごめんね…かな?」


 セーバルがこくりと頷く。


「無事ならそれでいいさ。だからそんな顔するな。治るまではオレ達に任せて、いっぱい食べてゆっくり休んでな」

「にゃあ!」

「よし、いい返事だ」


 そう言って、ついうっかりセーバルの頭をわしゃわしゃと撫でてしまった。


「に…にゃああ」

「あ、すまん。嫌だったか…?」


 セーバルは首を横に振ってくれた。


「良かった。じゃあ、ルイスにジャパまん貰いに行くか」

「うにゃ!」

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