「妹のパンツを拾ったら、妹が勘違いして急に甘えてくるのだが?」

@kitayama-kawara

プロローグ「妹のパンツ…………だと……?」

君達は、『運命』というものを信じるだろうか。




ある漫画では、「運命は自分で決めろ」「運命は変えることができる」とキラキラした主人公達が豪語するが、実際のところそれは確かめようのないことなのであって、神のみぞ知るものである。いや、神でさえも知らないかもしれない。




かく言う俺、櫻井涼介は『運命』というものをこれっぽっちも信じておらず、なるように生きていれば、なるようになるだろう、そんな心構えで過ごしてきた。




しかし、そうやって生きてきた俺でも、高校二年生にもなると、将来のことへの不安や、可愛い彼女が欲しいなどの人並みの欲望が生まれてきた。




しかしこれもまた、人間なるようになるだろうと深くは考えていなかった。




そんな至って平々凡々な俺が今、人生最大と言っていいほどの局面に立たされていることに誰が気づくのだろうか。




そう、今俺の前には




























妹のパンツがおちているのだった。






























もう一度言おう、妹のパンツが落ちているのだ。
























大事なことなので2回言わせてもらったが、高2の夏休み初日...終業式帰りの汗を流そうとお風呂場に足を踏み入れると、そこには中学二年生の妹、櫻井ゆうなの水色パンツが落ちていたのだ。




絶賛思春期の妹とは、小学六年生以来話さなくなってしまったし、中学から部屋をつくってもらったことで妹は引きこもりがちである。両親共に忙しいこともあり、家族揃っての食事など何年前だろうというレベルなのである。








「どうすっかな...」








ため息混じりに呟くと、俺は妙案を思いついた。




そう、なにもなかったことにすればいいのだ。




風呂場にパンツなど落ちていなかった。




俺は水色のパンツ(ヒラヒラ)など見ていない。




そうだ、そうに違いない。




そう言い聞かせ、慎重にパンツをつまみ、洗濯機に入れようとした、その時だった____






ガラリと勢いよくドアが開かれ、約2年ぶりに妹とご対面を果たした。






___そう、絶賛 妹のパンツを持っている俺と。







「え……?そ、、、そ、それで一体何をしてるの!?」











これは、妹のパンツをたまたま拾ってしまったがために起きた、幸せなのか不幸なのかよく分からない……そんな俺のある夏休みのお話。

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