第31話 いい名
思えば随分遠くまで来た。僕は現在、故郷から海を隔てた寒冷地にいる。
「もうすぐオーロラが見られるわよ、××」
遠くのキャンプから、湯気の立ちのぼるマグカップを二つ持った女性が呼ぶ。僕が現地で知り合った方の一人で、今は彼女と行動を共にしている。
カップに注がれたコーヒーを飲んで、彼女と一緒にキャンプへ入る。
「××、オーロラを撮ったら、次はここよ」地図を指差して彼女は微笑む。
「ねぇ、どうして君は僕をアシスタントに選んでくれたの?」
僕はふと気になって、彼女に質問する。すると彼女はまっすぐ青い瞳で僕を見て
「あなたの名前、私の国だと縁起がいいから」いたずらに笑ってくれた。
僕の名前を肯定してくれる人。照れつつ僕が笑うと、白い息がふっと上がった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます