第28話 アンコール
大人になってから気付いたことがある。それは、気兼ねなく遊びに誘える友人の存在は貴重だ、ということだ。
昔は俺にも友人がいた。夕方ごろ会って、くだらないことで遊んで帰る。その話を昼休憩中、後輩に話したところ、
「え、そういうのはいなかったですねー。先輩、幽霊と遊んでたんですか?」
——午後の営業を一通り終えて、俺は車で来た街を観光する。空が茜に色めきたつ。
ふと、通り過ぎようとした公園の向こうに人影がいた。瞬間、俺の記憶の奥、彼らと遊んだ思い出が鮮明に蘇る。そうだ。車を降り、あの時のように彼を呼んだ。
「おーい! ぺとりこーる!」
人型の靄は俺に気付き小さく手を振ると、見た目通りに雲散霧消してしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます