第19話 門松
住宅街にはとめどなく雪が降っていた。夕暮れ時にしてはやけに寒さを感じるのもそのせいだろうか。時勢は大晦日、林立する住宅の前には、簡素に据えられた門松が、来たる新年に向けてぽつぽつと並んでいた。
今日はどこまで行こうか。そうだ、この門松を目印に行けるとこまで行こう。
雪は休みなく降る。足元が積もり始めていた。
市井には大小様々な門松が並んでいる。はやくこい、と正月へ急かしているようだ。私は一つ一つ、門松を目印に進む。
ふと、前方から少女が忙しくこちらへ駆けてきた。そして、私の傍を通りすぎた。少女の走った後には、小さな靴の跡が雪上に点々とできていた。
私の跡も気になったので、背後を振り向く。雪上に足跡は——無い。
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