第29話 威嚇
「この前、帰り道でよく見かける野良猫がいるんで、近づいて挨拶しようと思ったんですよ。猫ちゃーんって。そしたらその猫、思いっきり俺の方向いて、シャーて威嚇したんすよ。あれは悲しかったなー! そんなことってありません?」
赤ら顔の青年と、その友人らしき人が、連れ立って歩くのを私は眺めていた。青年は世間話をしているが、友人はその話題には特に興味なさげである。
「俺思ったんすけど、猫とか猿って威嚇するじゃないすか。でも人ってそういう威嚇、しないっすよね。不思議だと思いません?」
隣の友人は、早くその話を切り上げてくれと言わんばかりに、青年を睨んだ。
「? どうしたんすか。俺の顔になんか付いてます?」
青年。多分、たった今友人が行っているのが、人間の威嚇というやつだろう。
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