第26話 天国と地獄
とある世界、審判の間。ここでは生前の功罪が計られ、死者の来世が決まるのだ。この日も、ある男が最期の裁きを受けることになった。
「主様、私は天国か地獄、どちらに召されるのでしょうか?」
「ふむ。お前の生前最大の罪は、他人を騙し金品を盗んだこと、なのだな」
「はい……。やはり、私は地獄に堕とされるのでしょうか?」
「だがお前の生前最大の功は、その金の全てをか弱き野犬の愛護に費やしたこと」
「……では、私は一体、どこに向かえば良いのでしょうか?」
「この二つの功罪はほぼ同じ度合いである。このような例は稀にあるものだ。安心せよ。お前には、きちんとした来世が待っている。次の生も存分に謳歌せよ……」
そして男は、生まれつき両足の不自由な野良犬として、生まれ変わった。
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