第17話 侵掠すること火の如く
「そうだねぇ……あれは、俺がまだ土方だったころだから、もう三十年ぐらい前か。当時のR市南西部は、あの頃はG村っていうちっぽけな村だったな。正直、列車を走らせるにしては利用客は見込めなさそうだった。実際、村人たちもほとんどがその計画に反対してたし。まぁ、結局は強引に工事が取り決められたんだがな。
現場は酷かったな。ほぼ毎日デモ隊が近くに来て、拡声器かなんかでいうんだよ。『森林破壊を許すな! 環境破壊を助長させるな!』みたいな。俺は仕事だと割り切っていたが、煩わしいことこの上無かったね。
それでも、開通したらしたで住民たちは大いに喜んでたよ。小学生ぐらいの少年が万歳して喜んでたのが印象的だったな。……それにしても、お前さんも取材とはいえ大変だね。脱線事故で死傷者六十人余、U鉄はもうお終いだろうなぁ」
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