第20話 挽歌

 葉桜の枝がふわりとしなる。ただ風のみが意味を持つ。

 麗らかな春の色香を遺し、旅逝く人が今日もいる。

 

 『おつかれさまでした。安らかに』


 遠回りして見つけた色彩を集めて、最後にできた花束は、

 この告別に手向けられるだろうか?

 明日も、春風とともに旅立つ人がいる。はず。


 葉桜の枝がふわりとしなる。ただ風のみに意味がある。

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