第8話 ホットミルクにひとさじの……

 奇人街の数多生息する種の中に、鬼火キッカという種がある。

 元の字体は別にあったそうだが、読みを引き継いだその字は、種を表すのに適していた。鬼の字に相応しく、額には本数に個体差はあるものの小さな角を携え、続く火の字は、鬼火を語る上で欠かせない力を指す。

 すなわち、己の意のままに炎を生じさせ、操る能力。

 炎の質や制御には角同様個体差があり、火力は感情――それも激情と呼ばれる類に深く影響するという。そのせいか鬼火は総じて自制心の強い者が多く、情に厚い者も多い。

 中でもクァン・シウという鬼火の女は、経営者の打算を入れても、奇人街では珍しいほど自制心が強く、面倒見も良いと評判――だが。 


 気に入らない物事に対しては、トコトン能力を発揮する困った一面があった。  


*  *  *


 ガラスが溶けてしまうのではないか。

 低い透明度にも関わらず、荒れ狂う炎と分かる磨りガラス向こうの光景に、店主の弁明のことなど綺麗さっぱり忘れた泉。

 突然のことに惚けるばかりのこちらとは違い、うねる紅蓮に薄く笑った史歩は、泉の両肩から手を除けた。併せ、猫が自分の肩から離れてしまったことには、少しばかり寂しそうな顔をしつつ、

「店主の奴……今度は一体何を言ったんだか。クァンもどうせ不愉快になるだけなんだから、構わにゃ良いのに」

「こ、これ、クァンさんがやってるんですか? どうやって……?」

 泉の頭に、火炎放射器を担ぐクァンの姿が浮かぶ。彼女のそんな格好は、豊満だが細い身に何故かよく似合っていた。ついでに陰惨な笑みでも浮かべていれば完璧だろうか。

「店主、鬼火のことを教えていないのか。また面倒臭がりやがって」

 泉の呟きを受けての言葉に眼を向ければ、あからさまに面倒と分かる顔つきで、史歩が頭を掻いた。

「そういう種族なんだよ、クァンは。まじないなしで、炎を生じたり消したり、自在に操れるんだ」

「……便利、ですね」

 そう言いつつ史歩の言から、やはり彼女は自分とは違う場所の人間なのだと知る。

 まじない一つで炎を生じさせるなど、泉のいた場所では物語の中の出来事だ。現実味に欠ける目の前の炎も充分そちらの属性だが、はたと気付いて史歩をもう一度見る。

 今度ばかりは惚けず慌てた。

「わ、ワーズさん! 史歩さん、ワーズさんは!? あれじゃ、死んじゃいます!」

「まあ、普通は消し炭だろうが……。言ったろ? 自在に操れるって。激情に駆られてもクァンはきっちり制御してるさ。多少熱いだろうが死ぬことはない。それに……相手があの店主だしな」

 最後、忌々しげに吐かれた言葉は小さく、焦る泉の耳には届かない。

 ガラス戸の炎が治まったのを受け、無事を確認しようと手を伸ばしたが、伝わる高熱に指が引っ込んでしまう。まごついている間に勢い良く店側から戸が開いたなら、上がりかけた混沌と眼が合った。

 あれだけの炎の渦の中、服にすら焦げ跡のない無事な姿に、ほっと息をついた泉だが、対するワーズは奇妙な表情を浮かべていた。

 驚きと動揺、困惑を合わせ、固めてしまった、酷く難解な――

 けれど、すぐさま赤い口をへらりと笑みに歪めては、泉に言う。

「泉嬢、上がりたいんだけど。良いかな?」

「あ、はい、どうぞ……」

 遅れて立ち塞がる格好に気づいた泉は、慌てて横に避けた。

 これに続くようにふらふら居間に上がったワーズは、銃で肩を叩きながら台所へ向かう。

 ふらつく様子から、

「大丈夫ですか?」

 と尋ねた後で気付く、最初からふらふらしていたワーズの動き。振り向いたワーズも、今度は明らかな困惑を浮かべ、こめかみを銃で掻いた。

「んーと……うん、大丈夫。クァンの炎は見かけ倒しだし」

 どこか気まずそうな返事に低い笑いがもたらされる。何がおかしいのかと眉を顰めた泉へ、何でもないと手を振り、笑い終えた史歩はそれでも苦笑のまま。

「で、店主。クァンの奴、なんだってあんなに怒ってんだ?」

「性懲りもなく、昨日の今日だってのに泉嬢勧誘しに来たからさ。人間以外の住人、全部ウチに回すんだったら考えてやるって」

「確かに綾音の唄はクァンに取っちゃ魅力的だろうが……そうまでさせて考えるだけか。しかも、本当にやったところで了承する気、最初っからないだろう、お前」

「ご名答。当然でしょう? 食材なんて黙ってても入ってくるのに、わざわざボクのモノを鬼火と取引するって、馬鹿げてるじゃない」

 住人を食材と言い切るワーズに青褪めつつ、従業員を示すと理解してなお「ボクのモノ」と称された泉は、居心地の悪さから史歩の反応を窺った。

 しかし、そんな気持ちを汲み取る気配もない史歩は、盛大な溜息を吐き出す。

「ボクの、ね。そんなことを言うなら、奇人街の知識をもう少し叩き込め。起きて即行、逃げられる不手際のないように」

「知って……たんですか?」

「そりゃあ、向かいが住まいだしな」

「うわ、史歩嬢、それなら最初から追いかけてよ。お陰でボク、アイツに何度も会う羽目に――」

「馬鹿か? 何故私がお前の尻拭いをせねばならん? あの時綾音が自分の意思で逃げたのは明らか。ソレを邪魔する気はない」

 携えていた刀を肩に乗せ、ワーズへビシッと指を突きつける史歩。

「追いかけるのが面倒なら、説明を省くな。お前の悪い癖だぞ」

「省いてる訳じゃないけど……ほら、ボクって人間以外嫌いだからさ、なるべく話題にしたくないんだよ。それに、泉嬢も尋ねて来なかったし。ねぇ?」

 へらり、笑いかけられても泉には答えようがなかった。尋ねるといっても、一体何から説明を求めれば良いのか検討が付かない。

 まさか、奇人街の全てを一から教えてくれ、などとは言えまい。仮に説明を受けたところで、理解までかなり時間が掛かるだろうし、何より泉は一ヵ月後、元の場所へ帰っている身。求めるだけ答えを得られたところで、活用する場面は限られてくる。

 かといって、泉自身が求めなければ、ワーズは何一つ教えてくれそうになかった。

 返事に窮して史歩を見れば、虚を衝かれた顔になる。

 しばらく見つめ合うこと、数十秒。

「……仕様がない、か。監視がてら、必要最低限、私が教えてやるとしよう。昼飯も馳走になったしな。明日からで良いだろう?」

 確かに説明に関しては、ワーズより史歩の方が好ましいだろう。同性というのも心強い。

 けれど、「監視」という物騒な単語に眉を顰めれば、一転して史歩の顔つきが変わった。

 柳眉を寄せ、噛み付くように言う。

「綾音。私がいないからと、猫に何かしてみろ……」

 単語の意味を悟り、首を勢い良く縦に振る。

 これを受けて、綺麗な笑顔が史歩に浮かんだ。言葉を継ぎもせず去りかけた背が、短い声を上げてワーズを振り返る。

「そうだ、店主。買い物がしたい」

「うん、いいよ。どれでも好きなの持ってって」

「――え?」

 ぱっくり開かれた満面の赤い笑みに、泉は耳を疑う。

 あれだけ接客態度が酷かったくせに、タダで良いと聞こえる言い草。

 人間以外は嫌いと聞いたが、では、人間のことはどう思っているのだろうか。

「ん? どうしたの、泉嬢?……ああ、もしかして、代金のこと気にしてるの? さすが、従業員だねぇ。でも大丈夫。さっきの奴らから結構ぼれたし。ボクは人間は大好きだから、代金なんてそんな野暮は言わない――っだ!?」

 赤い笑みに、しなやかな影の巨体が圧し掛かった。勢いづいた身体は床でバウンドしかけるが、それすら許さず、ワーズの四肢を押さえ込む、虎サイズの影。起きようとする頭や胸にも、それぞれ打撃を加えていく。

「グルゥ……」

 終わりに白い牙を剥き、戒めの唸りが上がった。

 どういう仕組みで大きくなるのかは知れないが、金の双眸は確かに猫のモノだ。

 突然の凶行に呆気に取られていれば、史歩から溜息が漏れる。

「店主……仮にも商いを営むくせに、毎度毎度、あからさまな贔屓をしてどうする。第一、芥屋は猫のモノでもあるんだぞ? 横暴は許されない」

 史歩の言葉に動揺したのは泉の方だった。

 猫に潰された黒いコートは、その瞬間からうねうね動き、脱出を図ろうとしているので、身体の心配は必要なさそうだが。

「猫のモノって……じゃ、じゃあ、お店の食材勝手に使って、料理して……」

 サァ――、と血の気が引いていく。

 店主であるワーズが良いというから、特に考えもせず使っていたが、彼が飼っている訳でもない、それどころか芥屋を所有するという猫には、何も了承を得ていなかった。

(もしかして、後払いだった、とか?)

 急に居心地が悪くなって、若草の布を握り締める。けれど、これとてワーズから支給された品で、猫に関係ないと言い切れるものではない。

 本当に今更ながら、金銭の心配が身に振りかかった。

(呑気過ぎだ、私――)

 そうは思っても打開策が見当たらず、途方に暮れてしまう。ちらりと見た範囲、奇人街の貨幣は泉のいた場所に似た硬貨と紙幣だが、大きさが一回り二回り、小さい。大体、情け程度の小銭で、今まで食した分とあの服の数々が賄える訳がない。

 咄嗟に売れる物として考えたのはセーラー服だが、誰が好んで買うものか。否、そういうのを好む存在がいると知りつつ、あえて、絶対に売れないと決め付けてかかる。

 しかし、セーラー服以外で泉が持ち合わせるものと言えば……

 知らず知らず、視線が史歩の向こう、食材の並ぶ棚へ移ってしまった。

 芥屋では人間を扱っていない……が、他の食材店はどうなのだろう?

 ぱっと浮かんだ疑問に、今度は自分が恐ろしくなる。

 何だかんだで、この街にだいぶ順応してしまっている考えが怖い。喰われて堪るか、と最初に逃げたくせに、うっかり自分を食材として計算するところだった。

「……なあ、綾音。お前、妙なこと考えてないか?」

「え!? ど、どうしてですか?」

 通り過ぎる視線をいぶかしむ様子で史歩が尋ねるのへ、必要以上の声量で聞き返す。

 史歩はこれに溜息を吐き、

「隠し立てしても無駄だ。お前の動揺っぷりは、近年稀に見る分かりやすさだぞ? 心配せずとも、猫も店主も、お前をどっかの食材店に売り払ったりはせん」

「はあ? なんでそんな話になるのさ?」

 ようやく猫から解放されたワーズが床に胡坐をかき、倒れないギリギリの角度まで身体を傾けて問う。妙な格好だが、表情は傾きに比例して、困惑と嫌悪に歪んでいる。

 史歩はワーズへ答える素振りすらなく、泉に対して肩を竦めてみせた。

「金の心配なら、する必要はない。従業員という肩書きだけで釣りがくる。なにせ店主がコレだ。相手にしてるだけで神経を削られる奴が上役。私だったら、どれだけ金を詰まれようが、拝まれようが、頼んだ奴を即座に叩き斬ってやるところだ」

 慰めを通り過ぎた物言いに呆気に取られる泉。

 対して、当の本人は傾きをそのままに、苦笑を浮かべた頭を銃で掻いた。

「んーと、泉嬢? 例え従業員じゃなくても、ボクは君をどうこうしようとは思わない。それ以前に考えるのも嫌だからね」

 その割に、奇人街で人間がどういう扱いを受けるか語った時は、ずいぶん嬉々としていた気がするが。とはいえ、それはどうか、と思う面は多々あるものの、ワーズから危害を加えられたり、金銭を要求された覚えはなかった。今になって、彼の発言を疑うというのも、おかしな話だろう。

 理解を示して頷く泉に、ワーズは心底ほっとした息を吐く。

「ま、とりあえず従業員になると衣食住だけは困らん。芥屋の従業員には猫も手出ししない……が、お前は別口で、猫に手出しされないようだ」

 衣食住が揃えば充分ではないか、そう軽口を開きかけ、史歩の眼が不穏に鋭くなるのを認めて閉じる。猫が絡むと別人のように、素人相手に殺気を放つ少女を思えば、なるべく猫と関わりを持たない方が良いのかもしれない。

 顎で店主を呼び、食材を選択する史歩に対し、泉は深々と溜息をついた。


*  *  *


 夕食も入浴も終え、寝る前にホットミルクを飲めないか尋ねると、ワーズがへらり笑う。

「ボクが用意するから座ってて」

 自分で用意すると言っても、頑として譲らないワーズに、泉はありがたく、半ば仕方なくソファへ腰を下ろした。

 奇人街には、あらゆる場所の食文化が揃っているようで、小鍋に注がれる紙パックの白い液体を何ともなしに見つめる。

(ホットミルクだし、変なモノが入るわけないよね。……たぶん)

 一瞬だけ、(でも、何のミルクなんだろう……)という考えに及ぶが、それは危険だとすぐに取り消す。そんなことを気にし出したら最後、奇人街では何も口に出来なくなってしまう。一ヶ月は生活を余儀なくされている場所なのだから、どこかで妥協するのも大事だ。

 ――住人が食材になりそうなモノ以外は。

 泉がうっかり浮かんだスプラッタな光景を、頭を振って払っていれば、背もたれから影が頬をすり寄せてきた。

 大して驚かず、視線を横へずらしたなら、しっとりとした褐色のクセ毛に埋もれる、猫の姿がある。こげ茶の瞳と交わされる金色は、一度影の中に紛れ、「にー」と短く鳴いては座面に下りてきた。そのまま頭をぐりぐり左手に押し付けるので、撫でてやる。嬉しそうに目を細める猫に、こちらも頬が緩みかけ、瞬間、怒髪天を衝く史歩の顔が浮かんで硬直してしまった。

 昼間、そんな彼女への恐れから、なるべく猫に関わらない方が良いかもしれない、と考えていたことが思い出される。

 すると、動かなくなった手をいぶかしむ様子の猫が、頭を何度も手の平へ押し付けてきた。その度に影の靄がふわふわ舞う。

 同じ箇所をすり寄せて、減ったりしないのだろうか?

 いやそれよりも、段々と猫を叩いているような錯覚に陥った泉は、少しの逡巡の後、ぎこちない動きではあるが、撫でを再開した。猫は聞き入れられた願いに大人しくなると、小さな身体を泉へ寄せて寝転がる。

 関わらないと決心したところで、懐かれてはどうしようもない。

 無邪気な猫の様子に途方に暮れる泉。その耳に、くつくつ笑う声が届く。撫でる手は止めずに怪訝な顔を向ければ、差し出される白いカップ。礼を言いつつ受け取った泉だが、低い笑いが止まないのが癪に障り、じろりと睨みつけた。

 とはいえ、泉が睨んだところで怯む様子もないワーズは、椅子に座ると声を引っ込めて黒いカップの中身をズズズ、と啜る。彼が何を飲んでいるのかは判別できないが、漂う香りはお茶だろうか。

 気の抜ける音に、自分一人、睨み続けているのも馬鹿らしくなってきた。

 しかも、泉が手にしているのは、甘い香りが漂う、ほかほかのホットミルクである。

 せっかくの温かさ、冷めない内に飲まなければもったいない。

 気を取り直すように一口含めば、奇人街のモノであるためか、やはり、泉が居た場所よりも上質な舌触りと味が広がった。じんわり染み渡る乳白色の温かさに加わる、とろりとした口当たりの良い甘味。ミルクだけとは思えない、鼻孔をくすぐる香り。

「蜂蜜……?」

 思い当たった品名を出せば、ワーズがへらりと笑って言う。

「いや。幽鬼クイフンの蜜だよ」

「クイフン? へぇー……美味しいです」

 クイフンとは場所名、あるいは植物名なのだろうか。

 そんなことを考えつつ、しみじみ味わう。

 程なく飲み終えたなら、肘掛けにカップを置き、お茶とは違う心地良さの余韻に浸る。

 その唇を、ぺろりと舐められた。

 ぎょっとして目を開けば、金の細まる瞳。

「ま、マオ?」

「ああ、幽鬼は猫の大好物だからねぇ。味見したかったんだね、たぶん」

「味見って……猫の分はないんですか?」

 獣である猫の、悪戯とも甘えの延長とも取れる行為に困惑すると、ワーズがこめかみを銃で掻きながら言う。

「泉嬢の分だけしか作ってなかったからねぇ。蜜は貴重だし……そうだな」

 考える素振りでコツコツ頭を突くワーズ。

 拍子で撃ち抜かないかとハラハラする泉を他所に、その顔がぱっと輝いた。もっとも、闇と白と混沌と血という不気味な色彩が輝いたところで、不安を掻き立てる材料にしかならないのだが。

「どうしても、っていうなら、ボクに猫をご馳走してよ、泉嬢」

「と、唐突過ぎて話が見えないんですけど……?」

「いやぁ、恥ずかしながらボクは猫が好きでねぇ。とっても愛してるんだ。愛して愛して愛し過ぎちゃって、もの凄ぉく、食べたい」

「はぁ……いえ、そういう嗜好のお話じゃなくて、どうして私が猫を調理する話になるんですか?」

 ワーズの好みなど、どうせ泉の想像の外を行くのだ。そういうモノだと無理矢理にでも納得しなければ後が持たない。

 だが、そんな外側にあるものに、何故泉が関わらなければならないのか。仮に、店主命令だ!、と強要されたところで、やる気は更々なかった。

 いくら世話になっているとはいえ、それとこれとは別の話だ。

 なにせ猫は命の恩人であり、怒気を孕む史歩の太刀を弾くほどの力の持ち主。

 調理の対象になどなり得ない。

 第一、猫の分を求めて猫自身が食べられるなど、本末転倒も良いところ。

 これをそのままワーズに伝えると、本気の落胆を示した。あまりの落ち込みっぷりに、声を掛けたものか迷う。併せて傍観を決め込んでた猫が、また左手の下に潜って撫でるのを催促してくる。

 戸惑いつつ撫でてやれば、ごろりと無防備に腹を向けて寝転がった。

「泉嬢にそれだけ懐いているなら、捌くのも簡単だと思ったのに」

「……………………………………………………」

 反応しては駄目だと知っていてもなお、襲う脱力感に溜息が出かけた――矢先。 


 凄まじい爆発音と共に、部屋が揺れた。


「な、何っ!?」

 尋常ならざる音と振動に飛び上がった泉は、ワーズの下へ駆け寄ると、ソファに向かい合い、板張りの階段を凝視する。

 芥屋を揺らした音は、間違いなく、誰もいないはずの二階から轟いていた。

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