九十四段
弓を習う奴がいた。そいつは、二本の矢をもって的に向かった。
それを見た師匠が、
「初心者のうちは、二本の矢は持たぬことだ。後の矢があれば、はじめの矢に油断が出る。当たり外れは、ただこの一矢のみのことと思え」
と言った。
どのみち二本しかない矢のことだ、油断など生じるはずはないと自分で思っていても、そんなものは見る人が見ればすぐに安メッキだと分かってしまうもんだ。
誰にでも、心当たりがあるだろ。
誰しも、朝になれば夕方やればいいと思い、夕方になればまた明日やればいいと思ってしまう。そんな中で一瞬の間に生じる油断や甘えなどに、どうやって気付くっていうんだ?
今この一瞬。今この一瞬にすべきこと。
それを選び行うってのは、難しいもんだな。
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