　芸を磨こうって奴は、なにかと、

「下手だから誰にも見せたくない。人知れず努力して、モノにしてから披露するのがクール」

　なんて言いがちだけど、そういうことを言う奴がひとかどになったことなんかありゃしない。

　クソみたいに下手な頃から上手い連中に混じって、そこでゴミみたいな扱いを受けて、それでも恥じることなく胸張ってれば、選ばれし者じゃなくったって上手くなれる。変なアレンジ加えたり、俺のやり方だけが正解、なんて風にもならない。

　そんな感じで実践し続けていれば、自分を蔑む連中を遥かに超えた領域に達することができる。

　そのときの自分は今よりも人間が出来てて、それを人も認めるだろう。

　今じゃ「天下無双」ともてはやされてる人でも、笑われ、蔑まれ、泥を舐めてきた。

　それでもその人はしっかりと学び、その道を着実に歩んできたからこそ、人に伝え、教えることができる次元に至ったんだ。

　どこの世でも、だいたいそうだろ。

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