DBP ~Dodge Ball Player~

偽りの輝き

1 転校、そしてつまずき

 俺の名前は太郎。親の仕事の影響で中学校を転校することになった。まぁ、こういう時はこんなにハキハキしているが、学校では世に言う

"陰キャ"という位置付けになっている。

 転校したのは中学2年生の時で、最初の頃は物珍しさに同級生のほとんどが話しかけてくれた。しかし、コミュ症の俺は分かりやすく動揺し、次第に皆が離れていった。

 例えば、

 「太郎君って何のテレビが好きなの~?」と聞かれると、

 「...? テレビ?あ、いや、特に」という様な会話が10分間の休み時間続いた。特に女子に聞かれた時は手汗がハンパじゃなかった。

 そんなこんなで裏では「マスター」と呼ばれる様になってしまっていた。色々なルートで聞くと、"喫茶店のマスターの様だから"という理由らしい。誰が付けたのかは知らない(というか興味ない)が、センスはあると思う。

 昔の学校でもあまり変わらないキャラだった。遡ると、小学校の頃からかも知れない。ただ、違うことは"幼なじみ"と言える同級生がそこにはいた。それらが今はもう会えないと考えると余計に新しい友達を作ろうとは思わない。

 思い出は作りたいとは思うが。

 

 ある日の事だった。

 「マスt...ゴメン間違った(w)。太郎って何か特技とかある?」

 周りではクスクスと笑いが起こったが、特になかったのでまたしても黙ってしまったが、ふと口に出したのが、

 「ドッジボール...?」と答えた。勿論、向こうも

 「え、ドッジボール...?何故に?」という感じだった。ただ、幸運な事にある一人の同級生が突然、

 「マァ、人それぞれっしょ。」と言ってくれた。それはクラス、いや、学年レベルでモテているマイだった。突然の彼女の発言に今度は皆が黙り込んだ。自分も驚いた。すると、

 「確かにそうかも」という声も上がった。それは俺の意見に対するものか、彼女の意見に対するものかわからなかったが、助かった。

 彼女を見ると、こっちを見てニコッと微笑んだ後、去っていった。

 -カッコイイ-

 素直にそう思った。「可愛い」「綺麗」とかじゃなく、本当に。

 その日からだろうか、同級生も俺を認めてくれたというか、自然と馴染んでいく事ができた。

 そのマイの"おかげ"であるのは間違いないが、この後、マイの"せい"で

大変なことをさせられるはめになるとは一瞬も思わない、俺である。

 

 


 

 

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