読書感想文『日本の税金』

茜町春彦

所得税

僕は、会社員だった頃、税制に関心が全くありませんでしたねぇ.給与明細をもらっても、まあ取り敢えず銀行に振り込まれてれば、税制なんてどうでもいいや、と云う感じだったかなぁ.


個人事業主になった後、確定申告は自分でするようになったけど、計算が終わればそれっきりで、税制自体には中々関心を持てませんでしたね.取っ付き難いしねぇ・・・


消費税10%とかは直接支払いに関係しますから、気になりますけど、それでも制度の中で消費税や所得税などがどのような位置づけになっているのか、なんて事はスルーしてました.


この新書では、税金の計算方法自体の解説はしていません.解説している事は、税金の意味は何かと云う事や、どのような仕組みにするべきかと云う事です.




ちょっと引用してみます.

(P33~P34)・・・AさんもBさんも、ともに給与所得が500万円ある.Aさんは奥さんと子どもが二人いるが、子育てのために奥さんは家事に専念している.一方、Bさんは独身で、親も元気に働いている.この場合、二人の所得税の負担はどうあるべきか?


二人の税負担が同じでよいと考える人は、「所得」税を「所得」に課税する「物税」と理解していることになる.


しかし、所得税は物に課税するのではなく、あくまでもその所得を得た人について、その負担能力を考慮して課税する制度であり、「人税」としての性格を持っている.この点が、固定資産税や消費税と基本的に異なるのである.


所得が同じ金額であっても、その人の人的事情を考慮すれば税金を負担できる力(担税力)はいろいろ異なってくる.


子どもが多い人や病気の家族を抱えている人など、様々な事情がある.所得税法の最大の利点はこの点を適切に配慮しうる点にあり、だからこそ憲法の要求する公平原則(応能負担原則)にふさわしい税制とされているのである.このような人的事情を配慮する制度が各種の人的所得控除であり・・・


(P51)・・・応能負担を重視すれば税額控除の方が優れているが、結局のところ、税額のある者しか適用を受けることができないという限界もある.したがって、課税最低限以下の者も平等に取り扱うという観点からは、所得控除や税額控除に替えて、諸外国が様々な方法で実施している手当制度を充実させる方が、より公平であるかもしれない・・・

引用を終わります.




僕も手当制度を充実させる方がいいと思いますね.控除は全て廃止して、税金の計算を簡単にしてもらいたいです.


憲法が最低限度の生活を保証していることを、税金制度で解決すべきじゃないと思いますよ.生存権と税制は全く別物です.税金は財務省が担当して、手当は厚労省が担当する、それがいいと思います.


集金と給付を同じ省庁の官僚に任せていては、出鱈目な事をされても気付けないと思うんですよねぇ.

(続く)

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